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スポーツと五感

本日は、分子生物学者・福岡伸一さんの著書「動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか」の中に出てきた言葉から、スポーツについて考えていきたいと思います。

その言葉とは、こちらです。

美を感じる心とは、人間が生き延びるための知恵、そして生きる本能そのものである。そして、美とは「五感」すべてを通して感じるものである。

私は、スポーツをずっと生きがいだと感じて生きてきましたが、何故なのかうまく言葉に表せずにいました。しかし、この言葉に重ね合わせてみると、「生きるために、スポーツを通して美を感じようとしているのだ」ということに気づかされました。

恐らく、スポーツ好きの人は皆ここに行きつくのだと思います。逆に、スポーツを提供する立場から考えると、この五感をうまく活用すればより高い価値を発揮できるのではないかと思います。

ではスポーツは、五感を活用できているのでしょうか。スポーツには大きく分けて「する」・「見る」・「支える」の視点がありますが、今回は「見る」に焦点を当てて考えていきたいと思います。

想像しやすいように、サッカーの試合をスタジアムに観戦しに行く1日を考えて、五感に関連する内容を洗い出してみます。

【視覚】
・応援グッズ、チケット
・家からスタジアムまでの道のり
・スタジアム
・ウォーミングアップ、試合
・スクリーンの映像

【聴覚】
・最寄り駅のアナウンス
・駅からスタジアムまでの道のりで聞こえる音
・スタジアムのアナウンス
・スタジアムの応援、歓声
・ピッチ上の選手、監督の声

【味覚】
・行きの腹ごしらえ
・スタジアムグルメ
・帰りの居酒屋

【嗅覚】
・最寄り駅の匂い
・駅からスタジアムの道のりの匂い
・スタジアム内の匂い

【触覚】
・応援グッズ、チケット
・座席
・スタジアム
・スタジアム内での配布物
・スタジアムグルメや飲み物の容器

これ以外にもたくさんあるかと思います。ただこれだけでも洗い出しをしてみると、サッカー観戦における美を高めるために改善できるポイントはたくさんあるように思えます。例えば、下記のとおりです。

・電子チケットをただの白黒QRコードにするのではなく、チーム特有のカラーやデザインを施す(視覚)
・駅の構内アナウンスを、試合日だけスタジアムDJに変更する(聴覚)
・スタジアムオリジナルのお酒を提供する(味覚)
・スタジアム内に花畑を作る(嗅覚)
・スタジアムのピッチを触れる体験ゾーンを作る(触覚)

今は、スタジアムで観戦できない日々が続いていますが、スタジアムに行った姿を想像して五感を高めてみるのも良いかもしれません。五感を意識してみると、家の中でも様々な場面で五感を感じることができます。

最後になりますが、著書の中で「現代の人々はバーチャルな世界を前にして、視覚に頼りすぎている」という指摘があります。日常生活で、気がつけばパソコンやスマホを使っている。最近では、スタジアムでスポーツ観戦する際にもスマホは必須になってきています。テクノロジーの進化はうまく利用すればもちろんポジティブになります。本当に重要なことは、いかにして五感すべてを通して感じる空間を創るかということではないでしょうか。

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Yamashi
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