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〈溜め〉の大事さ:Xデザイン学校大阪分校第4回〈ユーザー情報の可視化〉

怒涛の6月から7月。先々週に日本デザイン学会で報告させてもらって、先週は常葉大学のイアラボさんと合同LT&WS祭りをさせてもらって、そして今週はXデザイン学校大阪分校。デザイン漬けの日々でございますw

さて、今日は〈ユーザー情報の可視化〉がテーマ。手法としてはインタビュー(デプスインタビュー)&ペルソナ / シナリオ法なんですが、まことに難しい。そして、おもしろい。ここから生じるモヤモヤ感が尋常ではありません。

最初に、ミルグラム実験(アイヒマン・テスト)の話がありました。もちろん、内容そのものは存じています。ただ、あらためて実践的な文脈で聴くと、また印象も異なってきます。今回の場合、とりわけ組織のありようそのものを問うことにもなるという点が、個人的には色濃く浮かんできました。知っている話であっても、それを話してくださる方(今回はもちろん浅野先生です)が異なると、当然それに対する捉え方、見方は異なってきます。そこって、けっこう楽しいだけでなく、大事なポイントじゃないかなって、個人的には思っています。なので、「あ、それ聞いたことある」って言うて、関心を向けなくなってしまう人を見ると、すごく残念な気分になります。自分のことじゃないからいいんですがw

内省を促す〈問診〉としてのインタビュー

まず、今期のプロジェクトのお題が提示されました。すでに前回の段階でも先生から示唆はありましたが、

象印マホービン株式会社のゲームチェンジを実現・支援するための、これまでにないサービスを提案する。

というお題で、制約条件として

象印マホービン株式会社のブランドを「適温サービス企業」と定義する

という点がつきました。他にもあるのですが、あまりネタバレになるのはよろしくないので、省略します。

その前提を置いたうえで、今日はインタビュー。技術・手法についての説明ももちろんありました。名称は知っていても、あらためてそのねらいであったり、特徴であったりを教えてもらって、「あー、なるほど!」っていう場面は何度もありました。そのあたりを縷々書いてもしょうがないので、省略(笑)

そのなかで、特に非構造化インタビューに関して、〈オープンクエスチョン〉〈問診〉という説明がありました。とりわけ、後者の問診という概念は、すごくツボというか、リアルに状況が思い浮かびました。

加えて、インタビュイーに内省を促すというところ。その意味で、今回のような非構造化インタビューは、インタビューという以上に〈対話〉の側面が強いといえるかもしれません。

って書きながら、私自身がインタビュアーになったデプスインタビューでそれができてたかなってふりかえると、凝然と身も心も固まってしまいますw そのあたりは、後ほど書きます。

グループインタビューでの“成功(?)”とデプスインタビューでの“モヤモヤ”

さて、他にもすごく肚落ち満載な状態で講義のパートが終わり、いよいよトレーニング。2段階のトレーニングでした。

(1)グループインタビュー(2)デプスインタビュー

グループインタビューは、お題がある状態でメンバーがそれに該当するシーンなどを提示しあい、そこからいいこと、悪いことなどを掘り下げていって、そこから得られた知見・洞察を示すというもの。

「〈なぜ〉を繰り返す」「洞察を見つける」という点は、けっこう高頻度で浅野先生もおっしゃられているし、私自身も学生に要求しているので、ここは外さないようにってのは意識しました。

デプスインタビューでも意識したんですが、なかなかそう一筋縄ではいきませんでした。後で述べます。

インタビュー(相互インタビューのような感じになっていきました)のなかで、共通する点や相違する点などが浮かび上がってきたので、じつは概念化していく作業はそう難しくありませんでした。むしろ、やりやすいくらいでした。

ふりかえって考えてみると、これはお題がちゃんと設定されているからなんですよね。だから、メンバーから出てくる内容も話題が共有されているから、抽象化しやすい。

でも、デプスインタビューの場合は、そうはいかなかったんです。

メンバーのおひとりにインタビュイーになってもらって、今回は私がメイン・インタビュアーになりました。講義で説明があった点も念頭に置いて(いるつもりで)やってみました。

で、いろいろ訊いてみました。もちろん、いろいろ答えてくださったので、現象としていろんな情報は得ることができました。さらに途中からは、他のメンバーのみなさんもインタビュアーとして参加してくださったので、いろんな側面から訊けたようにも思います。

でも、自分自身にはすごくモヤモヤが残っています。おそらく、そのモヤモヤはインタビュイーの根源的なところを酌み出すことができたのかどうかっていうところである気がします。
あと、今回の場合はチームである程度うちとけた雰囲気が生まれていたので、ラポール問題を意識しなくてよかった点は、留意しとかないといけないかもです。複数のインタビュアーからいろいろ訊かれたら、心理的な圧迫を感じさせてしまうケースもありうるでしょうから。

インタビューをしながら、あえて象印さんのコア(上に書いたブランド)のところとは切り離して訊くように、今回は心がけてみました。可能な限り、インタビュイーの生活あるいはシーンそのものに目を向けるように、というところです。でないと、ついついこちらの視野に限定してしまって、インタビュイーの〈ゴール〉を見いだせなくなってしまう、あるいは捻じ曲げて見てしまうような怖さがあったからです。

実際にインタビューしているときにどこまで意識できていたかは自分自身怪しいのですが、講義の中で「ゴールは、人によってそれほど違わない場合がある」「ユーザーの好みは人によって異なる」というお話がありました。

もしかすると、ここが〈意味〉に当たるのかもしれない、そう思いながらインタビューをしてみたのです。

ただ、先だってやったグループインタビューでの抽象化がけっこうすんなりできたのに比べて、デプスインタビューでの抽象化はすこぶる難渋しました。

まぁ、そりゃ一遍やったくらいでうまくいくなら苦労はしませんよね(笑)

なぜ、難渋したのか。それは、おそらくまだ〈ゴール〉をクリアに捉えきれていなかったからなのかもしれません。あ、いや、ここでこれを書きながら懇親会で浅野先生がおっしゃってくださった一言が頭をよぎりました。最後に書きます(笑)

でも、ここの難しさを実感できたのは、モヤモヤするけど、すごく収穫感もありました。逆に言えば、ここをしっかり酌み取ることができるようになれば、新たな価値の創造につながる〈意味〉を見いだせるかもしれない、そんな感覚もありました。

でも、それがまだまだ浅いんやなぁってのは、行動シナリオを記述するときに痛感しました。

具象度と抽象度:行動シナリオの記述

最後に行動シナリオの記述をしました。表面的には、時間的な問題と紙幅的な問題で「なんか、表面的になってもうたなぁ」ていう感覚も残りつつ、まとめてみました。先生からも「ペルソナになっっちゃったね」というコメントをいただきました。推量するに、具象的な記述が薄くなってしまったというところかなと考えています。

次回、再度ペルソナ / シナリオ法なので、あらためて具象と抽象の往還のトレーニングになると思います。

今回のデプスインタビューで、観察やインタビューによって得られる現象・事象についての情報をしっかり見、訊き出して捉えていくこと、そしてそれを抽象化していって根底にある〈意味〉を酌み出していくこと、そしてそのあいだを行ったり来たりすることの重要性を、あらためて体感しました。

その具象と抽象の往還によって織りなされたところに、インタビュイーの〈ゴール〉がちゃんと描き出されているかどうか。言葉でこう整理してますが、実際にやるとなるとなかなかなかなか大変です。

でも、こういうの、けっこう好きなので、何度も繰り返しながら身につけていきたいと思います。

〈溜め〉の大事さ

懇親会で、浅野先生にデプスインタビューが難しかったことをお伝えすると、「そりゃ、そうですよw」ていうコメントの後に、私の場合は「〈溜め〉が必要」というコメントをいただきました。

大学教員という職業柄、しゃべるのは好きです。ついつい自分から話し出してしまいます。なので、「しゃべっちゃダメ」ってよくご注意をいただきます。最近はだいぶ気をつけるようにしていますがw

要はガマンが足りないのです。

インタビュイーその人に即して、話を訊き、また(この日はそこまであまり意識できていませんでしたが)その際のしぐさや声のトーンなどもしっかり観て、聴き取って、そこから「その人がどうありたいか」「どうなりたいか」(=ゴール:だから、ゴールにもさまざまなレベルがある)を抽象化しながら、具象性を持った状態で描き出すってことが大事なんだろうと思います。

そのために、私にとって必要なのが〈溜め〉なんだろうな、と。その〈溜め〉がないと、インタビュイーに内省してもらう〈間〉も生まれないし。

モヤモヤへの登山口

今回は、これまでと質の異なる感じのモヤモヤでした。なんかすごくおもしろそうなモヤモヤなんですよね。このモヤモヤに分け入っていくことになるのか、っていうドキドキ感もありつつ。

懇親会、毎回いろんなお店で、自分ひとりやったら絶対に行かへん店ばっかりで嬉しいです。いつもセッティングありがとうございます!!

浅野先生、teamBのみなさん、そして大阪分校のみなさん、今回もありがとうございました!!次回もどうぞよろしくお願いいたします!



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