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【ありがとうマレリ】マレリ社とTEAM IMPULのスポンサー契約解消


初めに

先日、マレリ社とTEAM IMPULの共同声明が発表された。
内容はこうだ。

マレリは、慎重に検討を重ねた結果、2025年2月の契約満了を持ちまして、ホシノレーシング(Team IMPUL)とのスポンサー契約を終了することを決定いたしました。

https://www.marelli.com/jp/news/marelli-hoshino.html
「マレリとホシノレーシングの共同声明」より

1982年の日本ラジヱーター時代からTEAM IMPULのスポンサーとして支え続け、多くの苦楽を共にしてきた。

しかし、その関係も今シーズンで終わりを迎える。

今回は43年にもわたる長きパートナーの歴史と共に、TEAM IMPULの将来について考えて行こうと思う。

マレリの歴史

創立

1938年に日本ラヂヱーター製造株式會社として創立。
自動車用ラジエーターの分野では「日本ラヂヱーター株式会社」時代から市場占有率が高く、当時は「ニチラ」の愛称で親しまれた。

社名変更と合併、そして離脱

1988年、カルソニック株式会社と社名変更。
2000年に日産系の自動車部品メーカーの株式会社カンセイと合併を果たし、カルソニックカンセイ株式会社となった。
以降も日産との関係が深く、2005年に同社の連結子会社となった。
しかし、2017年に投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ傘下のCKホールディングス株式会社の株式公開買い付けに、日産は保有していたカルソニックカンセイの全株式を放出し、日産グループを離脱。
同年カルソニックカンセイはCKホールディングスの完全子会社となった。

買収による成長と債務

2018年、フィアット・クライスラー・オートモービルズの自動車部品部門であったマニエッティ・マレリを買収。
自動車サプライヤーの売上高は世界7位にまで成長し、大手自動車部品会社として、当時は34の子会社と14の関連会社を持つ。
2019年に現在のMARELLIへ社名変更をした。
MARELLIは2022年までに再上場を目指し構想を練っていたが、新型コロナ流行による世界的な景気減速によって断念。
2022年には金融機関に対する債務が1兆円規模に達し、同年、持ち株会社を含むグループ5社の事業再生ADRを申請。
しかし、申請手続きが不成立となり、民事再生法の適応を申請することとなった。
負債は2020年12月期時点で1兆1856億円以上という、製造業では過去最大の経営破綻となってしまった。

マレリのロゴ

日本ラヂヱーター・カルソニック・カンセイが歩んできたモータースポーツ

初めは認知度向上のため

旧日本ラヂヱーター時代、1964年にダットサンフェアレディ1500(SP310)のレース用エンジンオイルクーラーの量産に着手したことをきっかけにレース界へ進出。
また、旧カンセイでは日産R380やR382の計器製作を行い、日本グランプリ優勝を経験している。

1982年になると、スーパーシルエットでシルビアターボで参戦するホシノレーシングにスポンサードを開始。
「日本ラヂヱーター」という社名と「ニチラカーエアコン」という商品の認知度向上のための参画から始まった。

現在では、自社の広報・PRのほかに熱交換器・空調機器のフィールドテストなども共に手掛ける関係性となった。

2022年のニスモフェスティバルより シルビアターボ

星野一義とともに歩んだ歴史

1985年に富士スピードウェイで行われた世界耐久選手権、星野一義氏が豪雨の中、日本人初の世界選手権優勝を果たした。
この優勝に弾みをつけ、日産はル・マン24時間レースへ挑戦すると共に、後に社名変更するカルソニックがB型チューブラジエーターを送り出す道筋をつけることとなった。

1990年には伝説の29連勝を果たしたR32型スカイラインGT-R グループA仕様にカルソニックが熱交換器を、カンセイがレース用計器とE-TSコントローラーを供給した。

その後も一義氏とともにF3000選手権やル・マン24時間、全日本GT選手権など、様々なレースで戦い、勝利をもぎ取ってきた。
一義氏引退後もJGTC・SUPERGTを中心に現在もチームを下支えしてきた。

2023年のニスモフェスティバルより R32型スカイラインGT-R

F1でも活躍したカルソニック製製品

1992年にF1に参戦していたマクラーレンにアルミラジエーターを納入。
1995年にはホンダからの要請でインディカーシリーズ用の熱交換器の共同開発を開始。
カルソニックとカンセイが合併した2000年以降も、複数のコンストラクターにラジエーターやエンジンオイルクーラーを供給した。

カルソニックとTEAM IMPULは一番長いスポンサー?

最も長いメインスポンサーランキング

上の画像を見ていただきたい。
この画像は2016年時点でのメインスポンサーとチームが共に歩んできた期間のランキングである。
二輪・四輪合わせて、マレリ時代を含めたTEAM IMPULが1位となっている。

SUPERGTにおいて、前身の全日本GT選手権を含めて全レースに出場し続けている唯一のチームとして、最長の関係となっているIMPUL。
同じカテゴリーで戦うRAYBRIG×TEAM KUNIMITSUよりも長いことがわかる。(現在のSTANLEY時代と合わせると28年)
また、この画像にはないがF1のマルボロ×フェラーリの38年よりも長い。

モータースポーツの歴史上最も長い関係性を築いてきたマレリとIMPUL。
この関係が終わるとなると、感慨深い感情になるのも納得だ。

これからのTEAM IMPULは?

現状、TEAM IMPULの将来は決まっていないというのが現状であるとされている。

SNS上では来期の様々な予想建てが繰り広げられた。

スーパーフォーミュラのメインスポンサーであるITOCHU ENEXが来る。
スーパー耐久のメインスポンサーであるナニワ電装が来る。
SUPERGT・スーパーフォーミュラにスポンサードしているマツモトキヨシがメインスポンサーに昇格する。
どこかのチーム・企業とジョイントして参戦する。
GT500から撤退するorGT300でやり直し。

などなど・・・。

個人的な予想を立てるのならば、GT500にはこれからも参戦し続けるだろう。
GT500のチーム間バランスに影響が出そうなことは無いと思いたい。(ただでさえトヨタ6チーム6台、ホンダ4チーム5台、日産4チーム4台という既に崩壊しているだろうバランスが崩れてほしくない思いが強い)
異なるメインスポンサーを引っ張ってくるのが予想としては大きい。
来期も乗るであろう平峰やバゲットがスポンサーを引っ張ってくるのか、ITOCHU ENEXやマツモトキヨシのような他カテゴリーでスポンサードしている企業がついてくる可能性があるのではないだろうか。

とにかく、GT500に残留できる道であってほしい。

2023年のニスモフェスティバルより ナニワ電装Z GT4

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