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「スティーブン・ユニバース」が面白いなんて嘘だと思ってた
Twitterのタイムライン上で「スティーブン・ユニバース」の話題を見かけるようになったのは、確か一昨年ぐらいから。カートゥーン・ネットワークで放映中のアニメで、なんか同性愛を取り扱った挑戦的なアニメで、海外版宝石の国みたいな感じ・・・らしいな?ということがわかった
https://www.cartoonnetwork.jp/cn_programs/view/00662
元々カートゥーン系のアニメの雰囲気は好きだったし、ジェンダーフリーなものに対して興味があったので、その時点で結構気にはなっていた。でもカートゥーンネットワークに契約しないとみられなさそうだし・・・とその場では特になにもせず、つい最近まで忘れかけていた。
が、ツイッターで最近アマゾンプライムで見られるようになったというのを知って、何の気なしに見始めてみた。
スティーブン・ユニバース https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B082YLGT6K/ref=cm_sw_tw_r_pv_wb_wxxcG2mDc9y0I
びっくりした。ぜんぜんおもしろくない。
絵はかわいいけど、主人公は未熟で周りに迷惑ばかりかけているし、特に大きいカタルシスがあるわけでもない。エピソード4まで視聴し終えて、私は完全にがっかりしていた。同性愛っつったって女同士が仲良いだけじゃん。主人公スティーブンの父親グレッグもなんか育児参加してない役立たずっぽいし、なんだこのアニメは?面白いとか嘘をつくな。視聴をやめそうになった。し、実際数日見るのをやめてしまった。
しかし、私は先日見終えたばかりの、おなじくカートゥーンネットワークのアニメ、アドベンチャータイムのことを思い出した。あのアニメも最初の数話はつまらなくて飛ばし飛ばし見ていったが、楽しくなってきた後半からの怒濤の伏線回収のために結局全ての話を通しでみる羽目になったんだった・・・と。もう少し見てみるか・・・と重い腰を上げた。
そして勿論、その選択は完璧に正解だった。
おい!!!!!!!!こんな素敵なアニメがあっていいのか!?!?!?!?!!!?!!スティーブン・ユニバース!!!!!!ありがとう ありがとう 本当に 神様 あっという間に手のひらが綺麗に回転した
丁度視聴を再開したエピソード5から、少しずつジェムズ(主人公と同居する人たち)の不思議についての説明が詳しくなっていき、その面白さを確信したのはエピソード12「ジャイアント・ウーマン」の辺りから。最高のアニメなのでは?と気づいたのはエピソード25「魔法の鏡」からだった。
結構ネタバレになるが、スティーブン・ユニバースは「遺された人々」の話だ。
昔、あるところに偉大で美しく優しい、魅力的な指導者がいた。
彼女はその世界の為政者が存在を否定してきた者達に「あなたはそのままでいい」「自分らしく生きて良いのよ」と説き、大切なものを守るために勇敢に、それでいて慈悲深く戦った。
そんな彼女のために、彼女に救われた者達はみな、命を惜しまず共に戦った。
多くの者が戦争で死んだ。
そして彼女も、戦争を終えた後、いなくなってしまった。
彼女を愛し、尽くした者達の手元に残ったのは、彼女が愛した土地と、彼女の赤ん坊だけだった。
その赤ん坊が、主人公スティーブンだ。
彼は、彼女の愛する、彼女を愛した人たちと共に、海辺の町で健やかに優しく強く育っていくが、実は戦争の遺恨はまだくすぶっていたのだった・・・という感じの話が、実はこのアニメの主軸になっている。絵柄にだまされてはいけない。スティーブン・ユニバースは愛と追悼のお話だ。
そのことに気づいてからは、寝ても覚めてもスティーブン・ユニバースのことばかり考えていた。エピソード45「ローズの剣」を見たときなんかは、ホントに声を出してしゃくり上げながらめちゃめちゃに号泣してしまった。スティーブンユニバースのキャラクター達は全員魅力的だけど、私はパールが一番好きだ。ヘッダー画像の左下にいる白くて細い人。パール。何者でもないただのパールだったパール。「It's over Isn't it ?」と歌うパール・・・!!ヴッ・・・・・・詳しくはぜひ本編を見てほしいが、彼女はただのヒステリックで神経質なお節介ママではない。彼女も、多くの悲しみを抱えながら立っている。
主人公スティーブンも、序盤はただジェムズに守って貰うだけのやんちゃで時に邪魔くさいただのちびっ子だが、愛に包まれて育った彼は、色々なことに気づき、悩みながら少しずつ成長していく。その姿はとてもかっこいい。
ジェムとスティーブンだけじゃなく、平凡な町の人々もみんな魅力的だ。彼らは人間らしく間違い、戸惑い、悩み、それに向き合ったりごまかしたりしながら暮らしている。
そうした悲劇的だったりリアリティーのある要素を盛り込みながらも、作品全体に流れている雰囲気が穏やかで優しいのは、監督の目指す世界観の根底に人間愛があるからなのだろうと思う。そういう目線に気づいて、つまらないと思っていた1話を見直すと、全く違って見えた。愛おしさすら感じる。
物語だけじゃなくて、劇中の音楽も全ておしゃれでかわいくてやさしくて素敵だ。チップチューンとかエレクトロニカとか、そういう音楽が好きな人には絶対刺さると思う。ミュージカル的な曲が好きなひとにも合うかも。
私は「スティーブン・ユニバース」が面白いなんて嘘だと思っていた。
嘘じゃなかった。スティーブン・ユニバースはめっちゃくちゃ面白い!!
数話見て「合わなさそうだな」とか「イマイチおもしろくなかった」と思っている人がいたら、もう少しだけ我慢して12話くらいまで見てみてほしい。1話大体10分くらいだしね。
現在日本ではシーズン4までが公開されている。いいところで終わってるんだこれがまた・・・シーズン5の放映が待ちきれないので、マジでカートゥーンネットワークへの加入を検討している。みんなにもこの気持ちを味わってほしい。