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歌う身体は千差万別。
歌うという行為は、なんて繊細な身体操作を伴う営みだろうと、このところまたひとつ深く驚いでいます。
いま僕は、自分の出演する予定の作品稽古に参加しながら、歌唱指導として韓国ミュージカルの現場にも携わっています。
ミュージカルの現場における歌唱指導の役割というのは、本当に現場ごと・歌唱指導の方ごとに違ったりして、そこがとても難しく興味深いなぁと思うのですがそれはまた機会があるときに書くとして。
歌唱指導として作品に携わるということは、自分が本番では歌わずに、出演する俳優の皆さんが歌うことをサポートすることで作品のクオリティを上げていくという仕事だといまの僕は感じています。
楽譜や台本を読むという工程は自分が出演するときと変わりませんが、じっさいにそれが歌として表出するときには自分とは違う頭と身体を通して表現されます。当たり前なんですが。
でも、そうすると、自分が楽譜を見たときに想定したのとは、まったく違うことが稽古場で起きたりします。
歌にとって最も重要な楽器は、歌う本人の身体です。この身体は人それぞれにまったく違う癖や特性を持っています。
僕の身体でできることがイコール他の人もできるとは限りません。逆に、他の人が簡単にできることなのに、僕の身体だとうまくいかないということもたくさんあります。
この、身体の違いから生まれるパフォーマンスのギャップや、発想/イメージのギャップをどう理解していくのかが、人に歌を教えたり、歌い方を提案したりするときの大きな鍵だと感じます。
音程を取るのが得意な身体もあれば、苦手な身体もある。
高い声を出すのが得意な身体もあれば、苦手な身体もある。
明るい音色を出すのが得意な身体もあれば、苦手な身体もある。
それぞれの項目についての「得意さ/苦手さ」を稽古の中で見極めていって、その人の身体性にあわせたフィードバックを出せるのが、僕の理想とする歌唱指導や歌の教師の姿です。
得意/苦手には、それ単体で良い/悪いの評価がつくわけではありません。
たとえば、明るい音色を出すのが得意な身体を持つ俳優が、暗い音色の方が音楽性とドラマが引き立つ場面でいつも明るい音色しか出せないとなると、明るい音色を出すのが得意な性質はそのシーンにおいての「改善するべき課題」になるわけです。
身体の特性は千差万別だからこそ、それを聞いて判断をするような立場の人間も千差万別な指導方法を身につけておくことを目指したいです。
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![山野 靖博(ぷりっつさん)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/94593603/profile_ad8529a32a639529dc098f068eb83154.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)