熊との遭遇
先日は人生の中でたぶんTOP1 or 2になるであろう特別な日だった。
何がって、山でクマと鉢合わせた。 運転中目の前を過ぎ去る光景は以前見たことあったけど、目の前はもちろん初めて。
ナメコ狙いに毎年行くいつもの沢を登り、おーあったあった。まだ早いかもなーなんてのんびり楽しんでいた。
もちろん、槍を装備し、ベルはジャラジャラ、たまに拍手で警戒を出す。そのくらいはやってたけど、多分頭のどこかで「まさか」と思ってた自分がいたはず。
目の前に若い雄鹿が突如現れた。
「あっ 雄鹿だ。」と認識すると同時に何か違和感を覚える。
距離はたぶん10メートル以内。
次の瞬間ちょっぴり奥に、出た。
熊。
鹿からほんの数メートルだけ後ろ。
その瞬間、怖いとか感情が現れる前に、身体の全てが戦闘モードにバゴーン!と入って、気づいた時には、前のめりに身体を屈めて腹の底から大声をあげて威嚇の声をあげていた。
その声にちゃんと反応してくれて、クマは即座に背中を向けて走り去って行った。
それを見送った後、何度も後ろを振り向き確かめながら、一目散に走った。
もうそうするしかない。
命からがらってこういうこと。
そしてそれだけじゃなかった。
鹿を見た時の違和感。
頭のどこかでそれを分析しながら走ってた。
わかったのは、あの鹿、顔がなかった。肉がぶら下がってた。
初めは一瞬、肉を咥えてたのかなと思った。
でも鹿は肉食じゃない。
たぶん、クマに襲われ顔を損傷して逃げてきた場面にあたし達は遭遇した。
鹿に遭遇した瞬間から5秒くらいの出来事。
出た時も逃げる時も獣臭もなく静寂だった。 風があたしの背後から獣たちの方向に吹いていたのだろう。
走りながら、振り向いた時鹿が沢の中に力尽きて座ったように見えた。
下手したら獲物を確保しに熊が戻ってくるかもしれない。
沢でゴタゴタの道を集中力を研ぎ澄ませて一気に駆け降りた。
車の場所に戻って初めて熊スプレーの存在を思い出した。わかってはいたけど、とても手にかけられる余裕はない。
運良く熊が反応して逃げてくれたから良かったけど、鹿の二の舞になってもおかしくない状況だった。
世界の名だたる難所に命をかけた挑戦を挑んで得るなにかと、同等の体験をしたかもしれないと、一緒に行った友人と話してた。
遭遇する前は、「友人とのどかにナメコ採りを楽しむ休日♡」という認識だったのが、遭遇した瞬間「地球上生物2匹」に切り替わり、自分を俯瞰する角度が一気に上がった。
山に入ることが魅力的で堪らないのは、人間が作った日常から離れて、この「地球上生物でしかない。」ということを認識するためなのかもしれない。もっと言えば、宇宙の微生物レベル笑
とにかく無傷で生きて帰って来れて良かった。
おねしょとかしちゃうんじゃないかと思ったけど大丈夫でした笑