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第3話【登山記】日本で2番目に高い山と後悔の山行

夜の闇が深く、霧が濃くなり始めた。

最初はぼんやりと周囲を覆っていた白い霞が、次第に視界を奪い、ついにはヘッドライトを使っても3メートル先すらおぼろげにしか見えない状態になった。

「やべえな、登山ってこういうふうに遭難するんだなあ」

S木の不用意な言葉が、霧とともにぼくらの心に冷たい影を落とす。

「どうしよう……」僕はこうなった理由を思い返す。


この話は、憧れの槍ヶ岳を登った後のことだ。

ぼくは縦走登山(複数の山を合わせて登る登山のこと)に完全にはまってしまっていた。いうなれば、槍ヶ岳を登る前は富士山に登りたいだけであったが、今のぼくは、ただただ登山をしたいという気持ちが強くなっていた。

そして縦走ができる山として、次の山の目標は劔岳(つるぎだけ)と考えていた。この山は一般ルートでは最も難しい山と言われていて、立山と縦走ができるのだ。次のステップアップにちょうど良いと思ったからだ。

ところが、直前になって劔岳の天気は100%雨、SCWという雨雲レーダーで見ると、なんとか登れそうなのが、北岳という富士山の次に高い山のエリアであった。(参考:ヤマノが使っている天気アプリの使い方

消去法ではあったが、北岳も登りたい山であったので、ぼくらは縦走計画を立てたのだった。

雨前提で登る初めての登山であり、ぼくが実力不足を大きく感じた後悔の山である。

ぼくにとって恥でもあるこの山行を公開するのは、似たような失敗をする人が一人でも少なくなればという思いからだ。

今回のパーティ

今回の登山は、富士山、槍ヶ岳を共に登ったT子と上腕二頭筋に自信のあるマッチョS木と行く3人のパーティだ。マッチョS木は腕力は強いが、登山の経験はやや少なめであった。

体力にやや不安はあったが、この山行の前の週は、S木と山梨県の瑞牆山(みずがきやま)を登り、岩山に興奮して駆け登っていたので、体力は十分と判断できた。

登山準備

北岳を登るのにあたり、白根三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)を合わせて登ることを考えた。

しかし、今回は2泊3日しか猶予がない。北岳を登るのにあたって、マストで通りたかったのが、百名山である北岳と間ノ岳。

金曜日に有給をとり、芦原で前泊、広河原登山口から北岳を登り、北岳山荘に宿泊、翌日に間ノ岳を登り、下山する計画とした。

ルートとしてそこまで長い距離ではないが、富士山の五合目からの往復が約9km、標高差が1500mであることを考えると、距離が約18km、標高差2000mでおよそ2倍の負荷である。

1日目:芦安での宿泊

今回はT子とS木の最寄り駅が同じなので、ぼくが車を出すことにした。

S木はサークル内では必ず遅刻することで有名なので、10分前の時間を伝えたが、それでも一番最後に登場した。

金曜日に有給をとっての移動なので時間は十分ある。のんびりと山への思いを語りながら、芦安へとたどり着いた。

北岳までのアクセスは、電車やバスやマイカーで芦安・奈良田・戸台まで移動し、そこからバスで広河原まで移動、広河原から北岳へ登山するのが一般的だ。

そのため、今回は南アルプス温泉ロッジで泊まることとした。
大人素泊(1泊)4,500円である。

ロッジの店主によると、この周辺は毎週のように交通事故が発生するような山道であるとのことだ。この地の険しさを語ってくれた。

ロッジでは自販機で飲み物が買えるので、出発前に飲み物を調達してザックにしまった。

今日は運が良かった。他に宿泊客の姿は見当たらず、温泉を独り占めできるようだ。温泉は別館にあるので、ぼくとS木は夜の静けさの中を歩いて向かった。

浴場に入ると、S木は一瞬のためらいもなく服を脱ぎ捨て、豪快にかけ湯をすると、湯舟に向かって大きくジャンプ。

「うおおおおーっ!」

まるで大海原に飛び込むかのような雄叫びを上げた。

湯のしぶきが飛び散り、温泉の静けさを破ったその瞬間、ぼくは思わず笑ってしまった。

どうやら元気は十分らしい。

湯舟に身を沈めながら、ぼくらは旅の疲れをほどき、身体にじんわりと染み込む温もりに心まで癒されていった。

心地よい湯気と、ぽかぽかと暖まる体。

それでも、明日の早朝に備えて休息は必要だ。

風呂で思い切りはしゃいだS木も、部屋に戻るなりあっという間に眠りについた。

ぼくもまた、まぶたの重さに身をゆだね、静かな夜の中で深い眠りに落ちていった。

バスの時刻表

2日目:芦安~広河原~北岳山荘

朝4時。まだ真っ暗の中、芦安から広河原までのバスの並びに加わった。すでに登山者が集まってきており、バス乗り場はににぎわっているようだ。

バスに乗り込み、広河原につく頃には辺りも白んできていた。


いよいよ北岳への登山が始まる。空は重たげな雲に覆われ、晴れ間がのぞく気配はまるでない。それでも、ぼくらの胸は高鳴っていた。


一歩を踏み出すたびに心の奥底からわき上がってくる、この感覚――それは新たな冒険への期待と興奮だ。目の前にそびえたつ山の高さがぼくらの気持ちを盛り上げてくれているような気がした。

9月の風は肌寒く、天候に恵まれないことは分かっていたが、目の前には紅葉に染まった山々が広がっていた。赤や黄色の葉が風に揺れるたび、ぼくらの心も踊った。

「今日は景色は期待できないかな。でも、この景色も悪くないな」

ぼくがぽつりとつぶやくと、T子が「うん、でも紅葉がすごく綺麗!」と嬉しそうに言った。

山の中腹に差し掛かった頃、S木の顔には少し疲れの色が浮かんでいた。息も荒くなっているように見えたので、「大丈夫か?」と声をかけてみる。

すると彼は、すかさずニヤリと笑い、「大丈夫に決まってんだろ!何言ってんだよ!」と言い放ち、その場でいきなり腕立て伏せを始めた。腕の筋肉をわざわざ見せつけながら、「ほら、元気だろ!」と上腕二頭筋のアピールを始める。

この調子の良さがS木らしいところで、ぼくも嫌いじゃない。むしろ彼のこうした陽気な面に助けられることも多い。だが、頼むから無駄に体力を消耗するのはやめてほしいと思う。

「せめてこれを使えよ」と、ぼくはトレッキングポールを差し出した。S木は「おお、これなら行けるかもな!」と満面の笑みで受け取り、そのまま勢いよく駆け出していく。だが、どう見ても腕の力だけでポールを押し込んで登っている状態だ。

彼は頑固で、人の話をほとんど聞かない男だ。トレッキングポールの正しい使い方を説明しても、「そんな小難しいこと言うなよ」と笑って取り合わない。

まあ、元気なのは分かった。でも、山ではペース配分も大事だ。ぼくは苦笑いしながら、「ゆっくり行こうぜ」と声をかけ、再び一緒に歩き出した。
す。


一方で、息一つ乱さず軽やかに歩き続けるのがT子だ。

まるで疲れという言葉を知らないかのようなその足取りに、ぼくは思わず感嘆する。

表銀座を一緒に歩いたあのときよりも、さらに体力がついているのがはっきりと見て取れる。

「先週はどこの山に行ってたんだ?」

気になって問いかけると、T子は何でもないことのようにこう言った。

「友達と荒川三山行ってたよ」

荒川三山。2泊3日で長い距離を歩く、手ごわいルートだ。それをさらりと口にするT子の姿に、ぼくは内心驚きを隠せなかった。

(※荒川三山は、この時登っている山行よりも1.5倍は大変な山である)

なるほど、これでは疲れ知らずのわけだ。

知らぬ間に、ぼくはT子に大きく差をつけられていたのかもしれない。

その事実にほんの少し焦りを覚えると同時に、燃えるような闘志も湧き上がってきた。

「負けてられない」

心の中でそう強く思いながら、ぼくは自分に言い聞かせる。

もっと頑張らなければ。自分もまた、あの堂々とした背中に追いつくために、山を登り続けるのだ。

しばらく歩き続けると、ようやく北岳 肩の小屋に到着した。見上げると、山の稜線に沿って建つ小屋が、まるで登山者を温かく迎え入れているようだった。  

空腹がピークに達していたぼくは、迷わずカレーを注文する。湯気の立つ皿から漂うスパイスの香りに、思わず胃が鳴った。

スプーンを手に取ると、勢いそのままにカレーを口に運び、「うまい、うまい!」と夢中で食べ進め、気づけばあっという間に皿は空になっていた。  

満足げに息をついたその時、ふと視線を落とすと、ザックの一部が妙にテカっている。よく見ると、カレーの汁が垂れて染みを作っていたのだ。

慌てて拭き取ろうとしたが、スパイスのしぶとい香りは消えるはずもなく、しばらくの間ぼくの荷物はほんのりカレーの香りをまとい続けた。  

この一幕を見ていたS木とT子は、「何やってんだよ!」と大笑い。ぼくは照れくささをごまかすように、「まあ、登山中にスパイスの香りが漂うのも悪くないだろ?」と冗談を飛ばしたが、二人の笑いはしばらく止まらなかった。

ご飯を食べてひと息ついた後、ぼくらは北岳の山頂を目指した。道中、風の音に耳を澄ませながら足を進めると、次第に山頂に近づいている感覚が心を高鳴らせる。

時折晴れ間が見え、もしかして山頂で富士山が見えるかもと期待させてくれた。



しかし、いざ山頂に立つと、視界は一面の雲に覆われ、眼下に広がるはずの景色は何ひとつ見えなかった。

「やっぱりダメか…」と少し肩を落としつつも、ぼくらはまだ時間に余裕があった。

せっかくここまで来たのだから、と気長に晴れ間を待つことにした。冷たい風が頬を撫でる中、ぼくらはレインウェアを羽織りった。そして岩場に腰を下ろし、少しでも景色が見える瞬間を心の中で願った。

そして、ふいに訪れた奇跡のような瞬間。
雲がスーッと切れ、青空が顔をのぞかせたかと思うと、眼前に雄大な山並みが現れたのだ。

「あっ!」
ぼくらは思わず声を上げた。その景色はほんの数分でまた雲に包まれてしまったが、待ち望んで得た絶景の感動は、一瞬でも胸に深く刻まれるものだった。

たとえ富士山の姿こそ拝めなかったとしても、心の中にはしっかりと山頂の記憶が刻まれた。そう、ほんの一瞬だからこそ、その輝きは何倍にも増すのだ。

山を登っている人は、だれしもそんな思い出を1つは持っていると思う。

北岳山荘に着くと、テントがまばらに点在している。あたりはこまかな水粒が落ちてきて、霧雨のようだった。
ゴアテックスのレインウェアとはいえ、蒸れて暑いほどだ。

北岳山荘は暖かった。ごはんには焼き魚も提供され、山の上とは思えないほど美味しいごはんを頂いた。


山小屋の夜は静かで冷たい。部屋の中は相部屋が基本だ。プライバシーなんて言葉はここには存在しない。

ましてや、これはコロナウイルスが流行するよりも少し前の話。布一枚の仕切りすらなく、混雑時は1枚のふとんを二人で使って寝るのが当たり前の時代だった。

ぼくらの隣には、九州からやって来たパーティがいた。彼らは悪天候にも関わらず、「せっかく遠くから来たんだから」と、夜中の2時に出発して間ノ岳を往復するつもりだと言う。(ぼくらは日の出を待ってから行動する予定であった)

その言葉を聞いた瞬間、心のどこかにあった慎重さが、ふっと霧のように消えてしまった。

「ぼくらも行こうか」

その場の雰囲気と彼らの熱意に影響され、ぼくは軽々しく決断してしまったのだ。

山の計画を他人の話をもとに変えるのは、経験者なら誰もが口を揃えて「やってはいけない」と教える。遭難事例を見ても飽きるほど出てくる事例だ。それでも、その瞬間の高揚感に飲まれてしまうことがある。

そして、そのときのぼくがまさにそうだった。

さらに悪いことに、百名山を制覇したいという野心を抱くT子とS木もその提案に賛同してしまった。ぼくらは興奮の中で間違った選択をしていたことに、まだ誰も気づいていなかったのだ。

3日目:北岳山荘~間ノ岳~広河原~芦安

午前3時。暗闇の中、ぼくらはスマホのアラームで目を覚ました。眠気をこすりながら、そそくさと登山の準備に取り掛かる。冷たい空気が肌を刺し、緊張感が全身を包み込む中、ヘッドライトを装着しようとしていたその時だった。

「ヤバい……ヘッドライト忘れた」T子の声が、静かな部屋に響いた。

「えっ、マジ?」と驚く間もなく、S木も呟く。「俺も……持ってないわ」

一瞬、時が止まったように感じた。

「嘘だろ……」心の中で叫び、声も漏れる。ヘッドライトを持っていないなんて、そんなことはあり得ないと思い込んでいたぼくは、事前に確認すらしていなかった。山の常識とも言える準備不足に、自分の浅はかさを悔やむ間もなく、ぼくらは決断を迫られた。

中止か、それとも強行か。

冷静な判断なら後者を選ぶべきではなかっただろう。だが、その場にいた多くの登山者たちの姿に、ぼくらは奇妙な安心感を抱いてしまったのだ。「みんな行っているから大丈夫」——そんな根拠のない楽観的な考えが心を支配した。

外へ出ると、ひんやりとした空気が頬をかすめる。霧雨が舞い落ちていたが、降りしきる雨ではなかった。それでも、足元を照らす光がないぼくらには、その道がどれほどの困難を隠しているのか、知る由もなかった。


ぼくらは出発直後、いつものようにごきげんに歩き出した。薄暗い道を照らすぼくのヘッドライトの光に、3人の足音だけが響く。その足取りにはまだ余裕があった。

しかし、しばらくすると霧が濃くなり始めた。最初はぼんやりと周囲を覆っていた白い霞が、次第に視界を奪い、ついにはヘッドライトを使っても3メートル先すらおぼろげにしか見えない状態になった。

「やべえな、登山ってこういうふうに遭難するんだなあ」

S木の不用意な言葉が、霧とともにぼくらの心に冷たい影を落とす。

「どうしよう……」

T子が不安そうな目でぼくを見上げた。その瞳にはかすかな動揺が浮かんでいた。

この瞬間、ようやくぼくは冷静さを取り戻した——いや、取り戻したというよりも、後悔という冷たい現実に打ちのめされた

責任の重さがのしかかる。ぼくはふたりをここまで連れてきてしまったのだ。何があろうとも、安全に戻らなければならない。それだけは絶対に譲れない。

小屋へ引き返すべきだ。そう考えた。だが、振り返ると、そこには何もなかった。暗闇が支配する世界に、ぼくたちの後方にはひとつの光も見えない

戻る道を、光のないまま歩けるのか?

もし、ぼくのヘッドライトの電池が切れたら? その先に待っているのは完全なる暗闇だ。雨は降り続いている。水滴が冷たく、重く、心に染み込んでくる。

なぜこんな時に限って、予備の電池を持ってこなかったのだろう。いつもなら持っているのにと——自らの過ちを呪いながらも、ぼくはただ歩みを止めず、ふたりを守る方法を探し続けた。

ここにきて、急に風が強まってきた。湿った霧雨が顔に叩きつけられ、立ち止まると冷気が骨まで染み込むようだった。

このままじっとしていては、低体温症のリスクが高まる。ぼくらには、もう止まるという選択肢はなかった

前方には、登山者たちのヘッドライトの光がちらほらと見える。ぼくは決断した。

「前に進む」——それがぼくらの取るべき道だった。

最も恐れるべきは暗闇の中での滑落だ。小屋へ引き返すことも考えたが、完全な暗黒に包まれた後方の道には、一歩も踏み出せる自信がなかった。
下りは登りよりも危険だ。

安全に戻れる保証がない以上、少なくとも光の先を目指す方が、まだ可能性があった

もちろん、前の登山者にくっついて歩くのはよく思われないだろう。

だが、ぼくにはもしヘッドライトが切れたとしても、他の登山者に助けを求めるという「最悪の場合の選択肢」がある方法を選ぶしかなかった。

ぼくらは前に進み始めた。霧と闇の中、まるでひとつの生き物のように肩を寄せ合い、少しずつ、慎重に足を運ぶ。

その歩みは、果てしない時間の中をさまよっているかのようだった。

やがて、間ノ岳が近づいた頃、ふいに空が白み始めた。

日の光——その一筋の光が、まるで天の助けのようにぼくらを包んだ。

「助かった……」

心の中で誰かがそうつぶやいた気がした。だが、その瞬間、風がさらに激しさを増した。

風速10m/s——いや、それ以上だろうか。

間ノ岳の山頂にたどり着いた時には、風は小柄なT子の体を吹き飛ばそうとするかのように荒れ狂っていた。

精神的にも肉体的にも限界を迎えていたぼくらは、山頂を見てわずかな達成感を胸に、すぐさま引き返すことにした。

帰り道は、なんともあっけないものだった。

あれほどの時間を費やして進んだ暗闇の道も、太陽の下では、なんということもないただの登山道だった。

小屋に戻り、ぼくらはようやく深い息を吐き出した。その瞬間、一気に疲れが体中に広がった。

ぼくはT子とS木に間違った判断をしたことを謝った。

T子はしょんぼりと「ヘッドライトを忘れたこと、本当に後悔している」とつぶやいた。

S木はというと、笑顔で肩をすくめ、「まあ無事だったんだし、いいじゃねえか」と楽観的だった。しかし、続けてこう言った。

「今度は絶対ヘッドライト持ってくるよ」

その言葉に、ぼくらはほんの少し笑った。

霧は少し薄くなったが、まだ雨は降っている。
ぼくらはここから帰らねばならない。少しずつ、あゆみを進めた。

下りは景色もほとんどなく、ほとんど記憶なく、歩いていた。
ただ広河原へ向かう最後のガレ場にたどり着くと、足の疲労が一気に押し寄せてきたことだけはよく覚えている。

一歩、一歩、石の間を踏みしめながら進むたびに、筋肉が悲鳴を上げるのを感じた。

それでも、目の前に広がる山の麓が少しずつ近づいてくるたびに、安堵感が増していく。

ようやく、ぼくらは山から無事に降り立った。

見上げれば、山の上には今も黒い雲が立ち込めている。その重々しい雲は、まるであの時のぼくらの迷いと未熟さを象徴しているかのようだった。

振り返ってみれば、この登山はぼくらにとってかけがえのない学びの場だった。無事に戻れたことに心から感謝するとともに、自分の未熟さを深く痛感した瞬間でもあった。

この物語を読んでいる人の中には、「そんな判断ミスをするなんてありえない」と思う人もいるだろう。

だが、ぼくだってそう思っていた。

しかし、山の中ではアドレナリンが心を支配し、正常な判断力を奪うことがある。高揚感の中で、冷静さを失う瞬間があるのだ。

もし、あなたが山で計画を変更する場面に遭遇したとき、どうかこの愚かな事例を思い出してほしい。

ぼくらは山頂に立てなくたっていい。

大切なのは、『生きて帰る』ことだ。

そうすれば、また新たな挑戦の機会が必ずやってくるのだから。

続く

参考:白根三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)への登山ルート


当時のメモがこちらです。

・八本歯のコル周辺は梯子が多いので、下山時のルートにはおすすめしません。
・北岳山荘から農鳥岳間は尾根上で遮るものがなく、暴風雨時は厳しいルートとなる。
・広川原山荘から白根御池小屋への分岐までの間は熊の目撃量が多い。
・バスの乗り場は始発からものすごい行列になるので,30分前には並ぶことをオススメする。芦安からの乗り場では、おにぎりなどの販売もある。

https://hikingnagoya.com/other-shiranesanzan/

参考:一般的な白根三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)への登山ルート
広河原から奈良田へと至る登山ルートでは2泊3日となります。奈良田から芦安に戻るバスは本数が少ないので、逆ルートで奈良田から広河原を目指すルートでも良いと思います。

1日目
広河原山荘~大樺沢~右俣コース~小太郎尾根分岐~北岳肩の小屋~北岳~八本歯分岐~北岳山荘

2日目
北岳山荘~中白峰山~間ノ岳~農鳥小屋~西農鳥岳~農鳥岳~大門沢下降点~大門沢小屋

3日目
大門沢小屋~八丁坂~大門沢登山道入口~奈良田第一発電所~南アルプス公園線ゲート


参考:YAMAP 当時のGPSログ
1日目GPSログ
2日目GPSログ


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