ジャズ売場の品ぞろえ・・
おひさしぶりです。ジャズ担当の神尾です。
売場の品ぞろえについてのお話です。品ぞろえ・・新譜だったり、いわゆる名盤だったり。その時々の話題盤(最近だと『カムカムエヴリバディ』で話題となった、ルイ・アームストロングがヒットしました)。自主製作盤や、さらに海外からの輸入盤も取り扱っています。
たくさんの作品の中から、自分の好み?や土地柄、お客さまの傾向など・・いろいろなことを考え、直感(音楽ですからね)も駆使しながら品ぞろえしていきます。
そんな中で、棚に普通に収まっているように見えながら、実は売場に欠かすことができないCDというのがあります。
それは「何かいいものはない?」と問われた際の推しになるもの。思い入れがある作品・・何かストーリーを持っているCDたちです。
普段、大きく平台に積まれたり、棚の上に並べられたり・・などはあまりないのですが、棚にあるのを見付けた方が喜んでくれて、それが棚にあることによって、お店の個性がにじみ出るような作品です。
コツコツと販売を積み上げ、中には10年近くも前の発売なのに、(恐らくその期間)売場で品切れをしたことがないCDもあります。
▲ある日のジャズ売場の棚・・
それで、まず思い浮かぶのがウラジミール・シャフラノフ(個人的にも仲がいいんです)。代表作といえば、澤野工房の『ホワイト・ナイツ』だと思いますが、当店の場合は『ロシアン・ララバイ』もです。『ホワイト・ナイツ』は、いかにもヨーロッパの秘宝ピアニスト的な魅力を放つ驚異的なロングセラーですが、『ロシアン・ララバイ』は、スタンダードはもちろん、ジョビンにショパンの曲などの親しみやすいメロディーをシャフラノフ流にバシッと演奏しています(本人は「気に入ったメロディーは何でもジャズにする!」と言ってました)。このバラエティーに富んだ選曲、とっつきやすさが、棚に欠かせない理由ですね。
▲ウラジミール・シャフラノフの棚に欠かせない2作品、『ホワイト・ナイツ』と『ロシアン・ララバイ』。あらためて並べると色使いが似てますね。
そして思いつくままですが・・
チェット・ベイカーの『イン・トーキョー』も探している方の多い1枚。厚さのある2枚組ケースもいい雰囲気ですよね~。長い間、廃盤だったのですが、名盤シリーズとして2015年に廉価復刻されてまだ入荷します。外国からのお客さまにもよく販売しました。
スリー・サウンズ~『グルーヴィン・ハード』も、棚に置きたい作品。楽しいジャズピアノのおすすめ盤。有名曲を次々に聴かせるライブです。ビル・エヴァンスの発掘音源で知られる、レゾナンスレコーズの隠れたロングセラーです。
▲チェット・ベイカー、スリー・サウンズ、こうした作品も棚を色付けます。
他に思い付いたまま挙げると。
テテ・モントリュー『テテ・プレイズ・ボレロ』
哀愁を感じるスペインのピアニスト。ひと癖あるジャズをお探しの方へ。
ラーシュ・ヤンソン『モア・ヒューマン』
いかにもスウェディッシュといった雰囲気の美しいピアノが聴けるロングセラー。
渡辺貞夫『ライブ・アット・ジャンク』
若き、増尾好秋、鈴木良雄が参加した。当店の近くにあったジャズクラブでの録音。昔を懐かしく聴かれる方も多いです。パーカーやボサノバ曲でジャズします。
ジョイ・ブライアン『メイク・ザ・マン・ラヴ・ミー』
ウイントン・ケリーの素晴らしい歌伴が聴ける名作。ヴォーカルのブライアン自身も録音が少なく貴重なCDでもあります。
チック・コリア『トリロジー2』
巨匠がずば抜けた実力で聴かせるオーソドックスなピアノトリオ。引き込まれますよ。
▲年代も作品のテイストもバラバラに思えますが・・必聴とおすすめしたいです。
他にも、
デューク・エリントン『ブラントン=ウェブスター・バンド』。歴史的大名盤。
チャンピアン・フルトン『夢であえたら』。人気の弾き語り作。このムンムンした雰囲気が好ましい。
花岡詠二『レイチェルズ・ドリーム』。楽しいスイングクラリネット。ヴィブラホンも快適に。
挾間美帆『イマジナリー・ヴィジョンズ』。世界で活躍する作曲家、編曲家、指揮者。デンマークのビッグバンドとの素晴らしい共演盤。
▲年代も作品のテイストもバラバラに思えますが・・その2
などなどを挙げたいです。
こうしたお店の棚を彩る作品は、売場からのおすすめでもあるのですが、実はお客さまとの会話で、あっそうかと気づかされ、育っていくことが多いです。
上記はごくごく一部の例にすぎません。思いを込めて作られた作品には、心に届く聴きどころがあり、販売の場でそれを付加価値として伝えられたら、聴く方にとって、もっとジャズが楽しくなりますよね・・なんて思いながら、今日もジャズを聴き、売場の品ぞろえに精を出します。
本当はそんなに難しく考えていないジャズ担当(神尾 孝弥)
※一部、限定盤・輸入盤もご紹介しています。入荷が不安定になる作品もございます。品切れ、入手不可能などの際もご了承ください。
2023年10月6日追記
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