十二月定例会議での一般質問(1)
周防大島町議会十二月の定例会議では、一般質問に立ちました。
質問は、このように始めました。
先日まで私は、この後ろの傍聴席に座っておりました。
今回からここで発言することができます。
任期中、せいいっぱいつとめますので、よろしくお願いいたします。
さて、今回私が質問するのは町のあり方、特に社会的共通資本である学校や病院、公民館などのあり方への町民の意見を集め、反映させることについてです。
私自身のことをまずお話しします。
私は四年前までNTT(日本電信電話株式会社)に勤めておりました。入社したのは平成元年、1989年で、NTTが電電公社から民営化されて四年目でした。
公営企業の民営化、といっても実感のわかない方もおられると思います。詳しいことはネットででも調べていただくとして、ざっとお話ししますと、1970年代後半から国家財政の負債の悪化、特に赤字国債の乱発が問題となりました。そこで鈴木善幸内閣から中曽根康弘内閣にかけて行政調査会が組織されます。第二次臨時行政調査会では石川島播磨重工と東芝社長、経団連会長を歴任した土光敏夫先生が会長となり、いわゆる土光臨調が発足したのでした。
土光敏夫先生は、渋沢敬三先生とともに私の最も尊敬する経済人であります。
子孫に借金を遺さないために、増税なき財政再建をかかげ、時の首相に対して行政改革の実行を確約させての会長就任でした。
その行政改革の重要点のひとつであったのが、特殊法人、特に三公社と呼ばれた国鉄、専売公社、電電公社の民営化であり、土光臨調の答申によってそれぞれJR、日本たばこ、NTTが発足したのでした。
土光先生に請われて電電公社最期の総裁として就任したのが愛弟子であった真藤恒さんで、後にNTTの初代社長となります。
私は単身巨大組織に乗込み、改革を断行してゆく真藤恒さんの姿にあこがれてNTTを志したものでした。
会社に入って最初に配属されたのが島根県の出雲支店で、私を指導してくださった課長さんが最初に言ったのが、
「山根君、新入社員の君が見て、会社や職場でこれはおかしい、これは違うんじゃないか、と思うことがあったら何でも教えてくれ。」
ということでした。
「課長、私はこの間まで学生だった者で、そんな先輩方に意見を言えるようなものではありません。」
そういう私に対して課長は言いました。
「NTTというのは、この間まで役所だったんだよ。お客さまのことは考えずに、自分たちのことだけ考えていればよかった。けど、これからはお客さまが自分たちをどう見ているかを考えて、変えていかなければいけない。会社の中でお客さまにいちばん近い立場にいるのは、君たち新入社員だ。だから君たちの意見をよく聴いていきたいと思ってるんだ。」
NTTの民営化は、公営企業の民営化の模範事例とされ、例えばイギリスでサッチャー政権の元でブリティッシュ・テレコムやロイヤル・メールが民営化された際には手本として参考にされました。
しかしながら、その成功の根本には、当事者たちのこうした謙虚な姿勢があったことを指摘しておきたいと思います。
付け加えますと、NTTもある時期から成功経験におぼれ、そうした謙虚さがなくなっていきます。その頃からNTTの迷走が始まったと、当事者のひとりとして反省するものです。
冒頭申し上げたとおり、私はこの間まで後ろの傍聴席に座っておりました。また、今回の町会議員選挙では14名中6名が新人議員となりました。最も町民に近い議員のひとりとして、今回の一般質問にのぞむものです。
前置きが長くなりました。
私どもの周防大島町も、これから更なる行政改革が必須となってきます。
その際に必要になるのが、特に学校や病院、公民館などの生活に関わる施設のあり方に、町民の意見を集め、反映させることです。
これまでの町の説明会などに参加しますと、決まったことを説明するばかりで町民の意見が入る余地のないものが多かったという印象があります。
生活に関わる施設のあり方に町民の意見を集め、反映させることについての藤本町長のお考えをお聞きしたいと思います。