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スピッツ「名前をつけてやる」が最高にかっこいいので好きなところを書いてみる

私がこの世で最も愛するバンド、スピッツの曲の中に「名前をつけてやる」というものがある。同名のアルバムもあるのだが、今回はその表題曲について語りたい。
たぶん、「空も飛べるはず」や「チェリー」、「ロビンソン」といったポピュラーな曲しか知らないという人が聞いたらびっくりするような曲なんじゃないかと思う。この曲は世間一般が持つスピッツのさわやかさはない。むしろ、尖って鋭くてまさに「スピッツ」という言葉の意味を分からせてくれるようなそんな曲である。

まず、タイトルが良い。なんたって「名前をつけてやる」である。「名前をつける」でも「名前をつけろ」でも「名前をつけてあげる」でもなく、「名前をつけてやる」である。
命令じゃない、言われた側に選択肢もない、問答無用の「名前をつけてやる」。なんて魅力的なタイトルだろうか。えもいわれぬかっこよさ。これだけでもどんな曲が始まるのか、わくわくよりもどきどきしながら最初の一音を待つことになる。
そして、曲がはじまっても、どんな名前を何につけるのか一切説明されない。説明されないからこそ良い。そんな説明なんていらない。なんたって、俺が「名前をつけてやる」んだから。

ボーカル草野マサムネの歌い方も大変かっこいい。曲は下記のように始まる。

名もない小さな街の 名もないぬかるんだ通りで
似た者同士が出会い くだらない駄洒落を吐き笑った
ぼやけた雲の切れ間に なぜなのか安らぎ覚えて
まぬけなあくびの次に 目が覚めたら寒かった

「名前をつけてやる」作詞作曲:草野正宗 編曲:スピッツ

「名もないちいさな街」までは低音で続き、「の」だけが少し高くなる。「名もない小さな街のぉ」の「の」への上がり方がなんども艶っぽいのだ。それが三回繰り返された後、「くだらない駄洒落を吐き笑った」へと続く。こんどは「吐き笑った」へ下がる。終着点へ収まるように。ボーカルの伸びやかで艶っぽい声の下に、なんとも色っぽく低い声でギター三輪テツヤのコーラスが重なる。低くて重たいはずなのに、ひょうひょうと続く草野の声を支え導くようにも聞こえる。この二人の歌声に導かれた先にあるサビの「名前をつけてやる」のフレーズはかっこいいを突き抜ける。私の胸を突いてどこかへ遠くへ去って行く。彼らは、曲は待ってくれない。

アルバムに収録されているバージョンももちろんかっこいいのだが、私はライブバージョンが大好きである。特に、ギターソロの後に続く大サビのアレンジが収録とライブとでは全く違う。
サビの「な、ま、えをつけーてやるー」の後に、収録版にはない草野マサムネのロングトーンが入るのだ。そのロングトーンのかっこよさ、艶っぽさ、色っぽさ。私の持つ語彙力ではこれ以上は言葉にできないので、機会があればライブバージョンを是非お聞きいただきたい。
現在手に入るものだと、「ジャンボリーデラックス」に収録されている他、サブスク配信されている「優しいスピッツ」でも演奏されている。

でも、できればスピッツはライブバンド。ライブに足を運び、「名前をつけてやる」がセットリストに入っていることを祈りながら待つのもいいだろう。生で聞く「名前をつけてやる」に、全人類ガーンとなってほしい。


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