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書籍執筆の裏側(ほぼ苦労話)その2|伊藤智基

国際政策学部総合政策学科の准教授 伊藤智基です。

その2を書きました。
【その1はこちら 1年以上前の投稿です。すみません。】

【執筆準備】

 さて、私の担当箇所は、国家賠償法2条1項の「公の営造物」の概念について、解説することです。とても重要な箇所です。「こんな重要な箇所、よく私に執筆依頼したものだなあ。」と思いつつ、でも何のプレッシャーも感じることなく「まあ書けるでしょ。」と思っていました。

 それは、ある種の勘違いの自信・・・・というわけではなく、ちゃんとした根拠がありました。つまり、国家賠償法はとてもメジャーな法律であり、それに関しては専門の解説書がすでにあったり、行政法の教科書の中でも解説が必ずなされていたりします。私の執筆箇所である「公の営造物」の概念についても、当然すでに解説がなされています。よって、今回の私の執筆に際しても、それらをお手本にしつつ、あとは最新の判例を加えていけば、はい完成と見込んでいたわけです。

 というわけで、セオリーどおりの初手として、すでに存在している解説書や教科書を入手すべく、出身校の上智大学の図書館に出向いて(山梨県内の大学には無い本も多いので)、一日かけてすべての文献の該当箇所をコピーしました。新宿の天丼てんやに行って天丼を食べる(山梨県内には天丼てんやが無いので)、大学内のサブウェイでアボカドべジーのフットロングをオーダーして食べる(山梨県内にはサブウェイが1軒しかないので)、というミッションもきちんとクリアしました。

【想定外】
 さて、次の手としては、入手した文献を読み始めることになります。「読む」という作業にはいろいろな意味が含まれていますが、今回の場合はこれら文献の構成分析(つまり、第1章には何が書いてあって、第二章には何が書いてあって、というふうに、それぞれの文献において、どのような流れで説明が展開されているかを分析する)という形を取りました。このようなスタンスでいろいろな文献を読み進めていくと、自分が執筆するときには第1章では何を書いて、第2章では何を書いてということが、次第に頭に浮かんでくるわけです・・・・・、通常は・・・・。

 しかし今回は、頭の整理がつきませんでした。
 あれ・・・・。おかしい・・・・。いつまでたってもしっくりこない・・・・・・・。
 文献を読み進めれば進めるほど、消化不良感、モヤモヤ感が増すばかり・・・・。
 その原因がつかめないまま、数カ月が経過・・・・。

 そして自分なりに突き止めた、その原因・・・。かなり想定外のもの(私の頭脳の疾患とかそういったものではないので、その点はご安心を)。

※ 一般的なエッセイは800字から1200字が標準らしいのですが、すでに1100文字に到達しているので、今回はこのへんで(次はまた1年後、ということにはならないようにします。多分)。