私を変えた言葉〜「自分の幸せを探しなさい 」
「第17回やまなし留学生スピーチコンテスト」(共催:山梨大学/都留文科大学/山梨学院大学/山梨学院短期大学/山梨英和大学/ 山梨県立大学/健康科学大学/身延山大学)において、国際政策学部総合政策学科2年生のジェ・シャンシンさんが、見事、第2位となりました。
このコンテストは、「留学生の日本語能力の向上」、「留学生と日本人の交流の機会の提供」、「学生の企画力・運営力の育成」を目的に開催されています。今回は、山梨県内の大学に在籍するインドネシア、韓国、中国、ベトナム、モンゴル、ロシアからの留学生12名が、「私を変えた言葉」をテーマに日本語による5分間のスピーチを行い、日本語能力、表現力、構成力、発想力、論理的思考力、独創性の各観点から審査されました。ジェ・シャンシンさんのスピーチをご紹介します。
こんにちは。山梨県立大学のジェ・シャンシンです。
「自分の幸せを探しなさい 」
この一言が、私を変えた言葉 です。
高校を卒業した時に、母が語った 言葉。決して忘れてはいけない言葉。母の人生が詰まった言葉です。
人は、みんなが選ぶもの、リスクが低いものを選ぼうとします。
学生の時は「しっかり勉強して、良い学校に進学しなさい 」
就職活動では「大手企業で働けるように、就職を頑張りなさい 」
本当に 耳にタコが できるような言葉です。でも結局は、そう生きるしかない。それが幸せであると、思うでしょう。私も、その一人でした。
しかし私は、とても幸運でした。母の子として生まれたためです。私は、4 年前高校を卒業し、中国の大学に合格しました。しかし私は、毎日イライラしていました。本来なら、喜ぶべきです。中国の厳しい受験戦争の中で、私は合格し、私のために不合格となった人々もいたためです。でも私が小さい頃から憧れていたこと。それは日本に行き、日本の大学に進学し、自分の力を試すことでした。しかし、それは言葉に出せない、私の夢でした。
そんな心を見透かし、突然母が話し始めました。
「自分の幸せを探しなさい。やりたいことでなければ、幸せにはなれない」 そう教えてくれました。 母は優秀な女性でしたが、若い頃に結婚し、私を育てるために、自分がやりたい仕事ができませんでした。皆さんにとっては、よく聞く言葉かもしれません。しかし私にとっては、とてもとても重い、胸に突き刺さる言葉でした。
そして私は、母の言葉を信じ、中国の大学を辞退し、日本に留学して来ました。日本語もろくに話せない私が、一番初めに日本の美術館で見たのが、草間彌生さんの作品でした 。彼女の作品に、心を奪われ、彼女のことを調べました。皆さんもご存知の通り、最初は誰も草間さんの芸術を評価しませんでした。そのため彼女は、苦難な半生に耐え創作を続けました。 評価されなくても、自分が感じる人生と喜びを、芸術にして、幸せを探してきたのだと思います 。
母と草間さんのお陰で、私も少し強くなりました。日本に来て、自分でお金を稼ぎ、自分で料理をして、洗濯をして、勉強を続けています。 視野も広がり、色んな世界 を感じられるようになりました。
「自分の幸せを探すこと」
これが如何に重く、如何に素晴らしいかを、やっと感じられるようになりました。さらに、他人の幸せを認めてあげることが非常に重要だと感じていま
す。
将来、母を日本に呼び、私が幸せを探すために、何を見、何をしたか語るつもりです。母と、大人の女性として、幸せについて話せる日を、心待ちにしています。
また、私は社会が幸せを貫く人の思いによって進化できると信じています。「自分なりの幸せな生き方はこれだ」と胸を張って言える人、「あなたは自分なりの幸せを見つけた!とても素敵ですね」と喜んでくれる人で溢れる世界を私は願っています。
ご清聴、心よりお礼申し上げます。