見出し画像

新規事業が売上1.5億の壁を超えるには?

新規事業を立ち上げたものの、PMF(Product Market Fitの略)せず、事業が中々に伸び悩むことが多いかなと思います。これまで新規事業を6つほど作ってきましたが、そのどれも共通する壁として売上1.5億の壁が存在するように思います。1.5億になるためにも血反吐を吐くような思考や努力が必要になりますが、その壁を超えるためにも少し毛色の異なるアプローチが求められるように思います。

その壁を超えるためには、どうすれば良いのかについて「よく言われることと」と「個人的に重要だと思っていること」を整理しています。

売上1.5億の壁にぶつかる時

1.5億の壁を超える方法を考える前に、1.5億の壁がやってくる瞬間についてイメージを深めておきましょう。

まずはこれまでの市場には存在していなかった明解なポジションを伴って新規事業は立ち上げられていると思います。業務効率化、成果最大化、コスト最小化など様々な価値を提供できるものとしてリリースされます。
よほどの資本や既存事業がなければ、上記状態に至らずに1.5億の壁へと到達することは難しいでしょう。

そしてその明解なポジションに対して、イノベーターやアーリーアダプターが反応してくれます。新しいもの好きであったり、スイッチングコストより15状維持によるコストが高いため、実績が無かったり、信頼関係がなかったとしても導入してくれます。
※具体的な定義については、下記画像の引用元であるサイトをご覧ください。

下記サイトより引用

つまりここまで伸ばすのはさほど難しいことではないんです。
新たな提供価値に対して市場から声がかかり、むしろ受注は「そんなに決まる!?」ってくらい意外と決まったりします。より具体的に言えば、SAMが10億取れるマーケットに行くことができれば、×0.15の1.5億を実現できる訳です。
※SOMにしていないのは、営業人数や予算の変数を加えない市場規模に対して15%と考えるのが適切と判断しています

つまりニッチな領域で第一想起されるようなカテゴリーキングを目指すことが1.5億の壁に向けて整えておくべきポイントになります。

例えばHRBrainでEX(Employee Experience 従業員体験)を軸にサーベイ事業を立ち上げた時には、EXという概念自体がマーケットにとってニッチな新しい考え方でしたし、それだけで顧客からの問い合わせがあったほどでした。

もちろん考え方が新しい・優れているというだけでは、壁を超えることはできないので、下記もきちんと考えておく必要があります。
・顧客の「頭痛の種」に対して、明確に対処しているか?
・提供価値に対して実効性のあるプロダクト/サービスとなっているか?
・提供価値を強烈に伝えられる営業資料が整っているか?

例えば、EXを起点としたサーベイでは、EXという考え方とそれと一貫した設問構成によって、下記のエレベーターピッチを基本に置いていました。
「エンゲージメントサーベイを多くの会社がやっていますが、設問が抽象的で、課題も施策も決まらないということが多いんですよ。なのでEXという考えを元にしたサーベイを活用することで、具体的な課題を見つけることができるんです。例えば大体が1on1が施策と言われた企業でやった際には、設計された評価面談の不徹底が問題だったんですよね!」

これで一定数のイノベーターやアーリーアダプターから「夢がありますね!」「尖ってて素敵!」と発注をいただくことができました。

売上1.5億の壁を乗り越えるための方法

ニッチな市場の中で第一想起を起点に事業を進めていくと、突然売れなくなる瞬間が来ます。そのあたりがARRや年売上換算で見ると1.5億円くらいなんですよね。
「これが世に言うキャズムか!」と思いながら、乗り越えるために悪戦苦闘をしていました。ARR1.5億の納品もやりながら、新しいバリュープロポジションを打ち立てる必要があるため、かなり苦しい日々になります。

よくキャズムの前後では、メインストリームがビジネスの対象に推移していくので、「真新しさ」から「安心」へと推移していくことが必要と言われます。新しすぎるからリスク大きいので、導入しない!的な話ですね。

キャズムを超えるために良く言われること

なのでキャズムを超えるために良く言われることは、事例に協力をしてもらったり、プロダクトの品質を上げることで安心感を醸成しよう、です。

当時EXにおいては、導入顧客であるTOPPANホールディングス様より積極的に事例に登壇いただくなどにより、安心感を提示できるようなマーケティングを積極的に行っていました。また導入顧客の事例も既存プロダクト以上の速度でリリースにリリースを重ねていました。

しかし結局のところ、受注は停滞しました。それでもなおメインストリームにとっては実績などが優れる他社が選ばれるケースが多く、リードを集めても最終的にはクロージングできないことが急速に増えました。

キャズムを超えるためにやったこと

①小さな池(ニッチ)を拡大する
壁にぶつかるまでは正直勝ち負けとかではなく、できるかできないかのどちらかでしかありません。しかし壁を越えてくると、これまでは「違うこと」が価値でしたが、「違うこと」だけでは勝てなくなってきます。
ではどうすれば良いのでしょうか?
端的に言えば、「違うこと」に「勝てること」を掛け合わせることが重要です。既存のプレイヤーがいる市場においては、そのプレイヤーの方が既存の市場の勝ち筋に対して勝てる項目が多いです。そのため「自社だからできること×実績を覆しうる力があること」を徹底的に強化するしかありません。
新たなバリュープロポジションを重ねることで、自らが第一想起されている小さくそんなに重要視されないカテゴリーを大きくすることが重要です。

そのためタレントマネジメントの情報と紐づけられたり、データアナリティクスを活用することで離職予兆を行うことができたりなどのサービスを開発しました。その結果「課題が良く見えますよ~」というバリュープロポジションから、「本気で組織の課題を分析したいならHRBrain」と顧客にエレベーターピッチできるようになるまでバリュープロポジションが進化しました。

②初期市場とメッセージを分ける
市場を育てる以外には、メッセージを分けることも重要になってきます。
バリュープロポジションを強化していくと陥りやすい落とし穴なんですが、現状から何もかもが変わって、最高の状態になります!というような自社商品サービスに対して盲目になってしまう状態に入ってしまいがちです。

先ほどキャズムを超えるためには安心感だと記載しましたが、悪いことが起きないことだけが安心感ではありません。上記の本で詳しく解説されていますが、良い変化も含めて全ての変化に対して、メインストリームの人たちは行動が阻害されてします。
皆さんも「人生が180°変わり、良い方向に変わります」って営業されたら、むしろそんなもの契約しないでおこうってなりますよね?

特にレイトマジョリティの方々ぐらいになると、「ほぼ今までと変わらないんですけど、〇〇だけめちゃくちゃ良くなります!」のように変わらないことを強調できるように押さえておくことが重要になります。

まとめ

キャズムを超えるには、というテーマでこれまでいくつかの新規事業やっての感触を整理してみました。営業資料の作成方法とか、CSからわらしべ長者でより上の顧客を獲得せよ!とかいろいろ話したかったのですが、まずは事業戦略を考えるポイントにのみ絞って書かせてもらいました。

もし参考になったと思ったり、別の視点のもというのがあれば、フォローとコメントをお願いします!

いいなと思ったら応援しよう!