働き方改革の推進などを通じた労働環境の整備など・2020(令和2)年度の労使関係(令和3年版 厚生労働白書より)
本日は、「第2部 現下の政策課題への対応」の「第2章 働き方改革の推進などを通じた労働環境の整備など」、「第8節 安定した労使関係の形成など」、「1 2020(令和2)年度の労使関係」を紹介します。
以下、「令和3年版 厚生労働白書」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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第2章 働き方改革の推進などを通じた労働環境の整備など
第8節 安定した労使関係の形成など
1 2020(令和2)年度の労使関係
(1)我が国の労働組合
我が国の労働組合は、企業別労働組合を基本に組織されているが、政策・制度面を始め、企業別組織では対応できない課題に取り組むため、これらが集まって産業別組織を形成し、さらに、これらの産業別組織が集まって全国的中央組織を形成している。
2020(令和2)年6月現在、我が国の労働組合員数は1,011万5千人で2万8千人増加した(図表2-8-1)。
また、パートタイム労働者の労働組合員数は137万5千人で、4万2千人増加し、これらを調査事項に加えた1990(平成2)年以降、過去最高を更新している。
(2)春闘の情勢
2020(令和2)年12月4日の経済財政諮問会議において、菅総理から「デフレへの後戻りを何としても避けるために、これまで続いてきた賃上げの流れを継続していただきたい。」と発言があった。
日本労働組合総連合会(連合)は同年12月1日に「『底上げ』『底支え』『格差是正』の取組みの考え方を堅持する中で、引き続き、月例賃金の絶対額の引き上げにこだわり、名目賃金の最低到達水準と目標水準への到達、すなわち『賃金水準の追求』に取り組むこととする。」とした上で、「すべての組合は、定期昇給相当(賃金カーブ維持相当)分(2%)の確保を大前提に、産業の『底支え』『格差是正』に寄与する『賃金水準追求』の取り組
みを強化しつつ、それぞれの産業における最大限の『底上げ』に取り組むことで、2%程度の賃上げを実現し、感染症対策と経済の自律的成長の両立をめざす。」等を内容とする「2021春季生活闘争方針」を決定し、公表した。
また、日本経済団体連合会は2021(令和3)年1月19日、「コロナ禍の影響で業績が大きく落ち込んでいる企業がある一方、業績が堅調な企業もあるなど、まだら模様の様相が強まっている。こうした中、業種横並びや各社一律の賃金引上げを検討することは現実的ではない。」とした上で、「収益が増大している企業においては、制度昇給(定期昇給や賃金カーブ維持分の昇給)を実施した上で、自社の実情に適した形で賃金水準の引き上げ(ベースアップ)を行うことも選択肢となろう。」「コロナ禍により収益状況が大幅に悪化し、回復の見通しが立ちにくい企業においては、賃金水準自体を引き上げるベースアップの実施は困難であり、制度昇給などを含めて、労使で検討せざるを得ない場合もあり得よう。」「労使協働によって働き方改革フェーズⅡへと深化させ、持続的な生産性向上を実現していく中で、賃金引上げのモメンタムを維持していくことが望まれる。」等を内容とする「2021年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」を公表した。
同年3月17日以降、民間主要組合に対して、賃金、一時金等に関する回答が示されている。
2 労働委員会に関する動き
労働委員会(中央労働委員会、都道府県労働委員会)では、不当労働行為事件の審査、労働争議の調整(あっせん、調停及び仲裁)、個別労働紛争のあっせん(中央労働委員会及び一部の労働委員会を除く。)を行っている。
不当労働行為事件の審査について、初審の新規申立件数は、2020(令和2)年が279件であった。再審査の新規申立件数は、2020年が62件であった。
また、労働争議の調整について、全国の労働委員会が扱った2020年の労働組合その他の労働者団体と、使用者又は使用者団体との間の集団的労使紛争のあっせん等新規係属件数は、229件であった(図表2-8-2)。
さらに、個別労働紛争のあっせん新規係属件数は、284件であった。
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労働組合に入っている労働者は全体の約17%、約1,000万人(全体約6,000万人)となっています。
日本の企業の99.7%が中小企業ですので、労働組合の組織されていない企業が多いため、このような数字になっているのでしょう。
会社は働く人がいなければ成り立ちません。労働組合がある会社、ない会社関係なく、働く方と会社の間でWIN-WINの関係が成り立たなければなりません。
労働委員会、というのもあまりよく知りませんでしたが、根拠は「労働組合法」で、労働紛争のあっせん、調停、仲裁を行う機関だそうです。
労働者側、使用者側どちらからでも申請することができるそうです。
そもそも揉め事が起こらないようにすべきですが、何かあった際に公正な第三者としての意見がもらえる機関がある、ということは知っておくべきですね。