見出し画像

漁業経営体構造の変化(令和元年度水産白書より)

本日は、水産庁のまとめている、「水産白書」から「漁業経営体構造の変化」について紹介します。

以下、特記した場合以外、引用は「令和元年度水産白書」から、図はそちらからのキャプチャー画像です。

漁業経営体の規模と数の推移です。

画像1

「漁業層」というのは、「漁業経営体が過去1年間に使用した動力漁船の合計トン数により区分された経営体階層」です。
漁船をはじめとする船舶の大きさは「トン数」で管理されています。

大規模漁業層:過去1年間に使用した動力漁船の合計トン数が1,000トン以上の各階層を総称したもの
中小漁業層:過去1年間に使用した動力漁船の合計トン数が10トン以上1,000トン未満の各階層を総称したもの
沿岸漁業層::漁船非使用、無動力漁船、船外機付漁船、過去1年間に使用した動力漁船の合計トン数が10トン未満、定置網及び海面養殖の各階層を総称したもの

「合計トン数」ということなので、個人の漁師さんが「沿岸漁業層」、会社形態にしていて複数の船を持っている漁師さんが「中小漁業層」、大規模な船や多数の船を持っている漁業会社が「大規模漁業層」というイメージでしょうか。

それにしても、減り方が半端ないです。この30年間で経営体の数は4割程度まで減少しています。

漁業種類別の推移が次の通りです。


画像2

伍魚福の看板商品である「くぎ煮」の原料の「いかなご」は船曳網で獲ります。まだ減り方がましな方、といえそうです。

海面漁業・養殖業の9割以上を占める沿岸漁業層では、96%が個人経営となっています。

画像3

個人経営の漁業者の年齢別と、休廃業率(5年後まで)の推移です。

画像4

65歳を超えている個人経営の漁師さんは、5年後、70歳を超える時期までに廃業している率がかなり高いです。
これは、後継者不足という要因が大きいようです。

画像5

通常の中小企業の状況よりもかなり厳しい状態であることが読み取れます。

「団体経営」とは個人経営以外もの全てを意味しており、会社、漁業協同組合、漁業生産組合、共同経営などとなっています。

画像6

中小漁業層の30%、大規模漁業層の98%となっています。

湖や河川での漁業(内水面漁業)の経営体数も同様の減少傾向にあります。

画像7


画像8

シジミ以外はどの魚種でも減少傾向にあります。

内水面養殖業の経営体数は30年間で7割減少しています。

画像9


画像10

水産庁の統計では、全国を8つの海域に分けてデータを取っています。
1988年の状況です。

画像11

2018年の状況です。

画像12

30年後も、上位の「採貝・採藻」、「小型底びき網漁業」、「のり類養殖」で全体の28%と大きく変化していません。
その一方で、北海道区ではホタテガイを対象とする小型底びき網漁業が増加、日本海北区ではホタテガイ養殖がゼロから1位になる等の変化が見られます。
北海道区、日本海北区、日本海西区では、いか釣漁業が減少しており、我々の体感と一致する数字となっています。

以前中小企業白書で見た、全国の中小企業の状況よりも更に厳しい状況が読み取れます。

★エンターテイニングスパイラル図

我々は、漁業者が原料を供給してくれるから製品を製造することができます。日本の水産資源を利用し、製品を作り、消費者の皆さんに価値を伝えてご利用いただかねばなりません。
全国の協力工場とともに良いスパイラルを回し、漁業者の経営に貢献できるよう、努力を続けたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan