いかなごのくぎ煮文学賞・作品の数々〜いかなごの「くぎ煮」その13〜
2012年(平成24年)にスタートした「いかなごのくぎ煮文学賞」ですが、本年2020年、第9回を迎えました。
応募作品数も若干の増減はありますが、現在ではほぼ日本全国から応募されるようになり、毎年楽しみにしている方も増えて来ました。
本来は「くぎ煮.JP」からこれをご覧いただくべきなのですが、現在メンテナンスが十分できておらず、リンク切れ等があるため、改めてこちらでリンクを貼ります。
作品がたくさん集まりましたので、まとめて本にしても良いかもしれません。
作家の三田完先生が審査し、じきじきの講評をいただくことも、受賞作の作者の方に大変喜んでいただけている要因です。
第2回いかなごのくぎ煮文学賞グランプリを受賞された大林悦子さんの作品集(2014年発刊)にはカラーで「いかなごのくぎ煮文学賞」の表彰状を掲載いただきました。
「会者定離」(えしゃじょうり)というタイトルは、大林さんの7代前のご先祖「もと」さんの辞世の中に記された言葉です。
文政6年(1823年)に書かれた古文書を解読されたものです。
そのご先祖の方の思いを世に出したい、というのもこの出版の目的のひとつだそうです。
「得病患、今年死せん事うたがひなし・・・」から始まる文章の後、次の句が記されています。
会者定離ありとはかねて思ゑども死る我が身のなご里をしさに
別れてもまたおふ里は極楽の花のうてなでたのしみてま津
俗名 もと拝
文政六癸未年四月十九日卒
詳細は、ブログ記事を参照ください。
文章に残すと、未来の子孫にも思いを伝えることができる。
江戸時代の先祖の思いが、今に伝わる。
noteもそういう役割を果たすのかもしれませんね。
作品を読んでいると、何度も繰り返しになりますがそれぞれ「熱い思い」をひしひしと感じます。
「くぎ煮は春の年賀状」美しいたとえです。くぎ煮を送ったタッパーで、全国各地の美味しいものが返ってくるという方もおられます。
「くぎ煮休暇」くぎ煮を炊くためにパートを休むことだそうです。
「くぎ煮貯金」くぎ煮のために貯金します。郵便局の方にも同じ話を伺いました。
「くぎ煮貧乏」最近はいかなごが高騰しているので、自虐的にこのワードを使う方が増えてきました。
他の人と同じ時間帯に炊くと、都市ガスの圧力が下がるので、人が寝静まった夜中に炊く、という方も。
本当にそんなことがあるのか、大阪ガスの方に聞いたことがありますが「そんなことないと思う」とおっしゃっていました。
「集合住宅だったらあるかなー」ということも言われていたので、体験したことのある方、教えてください!
文学なので「創作エッセイ」の方もおられたり、バラエティに富んでとても楽しい作品ばかりです。
さらに、学校の国語の先生が「くぎ煮文学賞」を題材に生徒の皆さんに作品を作ってまとめて送ってくださることもあります。
地元の学校のみならず、関東方面からの応募もあって驚かされます。
そこで、2016年(平成28年)第5回いかなごのくぎ煮文学賞より「ジュニア部門」の表彰も設けました。
また、地元の郵便局にも協力いただき、ハガキと封書で送られてきた作品から「郵便局賞」を創設するなど、協力の輪が広がっています。
神戸市や兵庫県教育委委員会、神戸市教育委員会の後援もいただいています。
近年はいかなご漁の不漁による悲鳴も多数寄せられます。
来年は、たくさん獲れて、久しぶりに炊くのが大変、という作品を読んでみたいものです。