10話 展望
流石にそう長くは出しておけなかった。
表示できたのは10分。
それでも、なんだか世界はスゲぇ騒ぎになってやがる。
「ほらこれ見てみ?」
「こりゃどこだ?」
「中央部の刑務所前。デモ活動の真っ最中。」
プラカードの文字までは流石に読めねぇか、この解像度じゃ。
「ここがばれることは?」
「ない。足つかねぇように別惑星を経由しまくってるからな。」
「『家族を帰してくれ』か。」
「んぁ、ジャック?」
あれやこれやの騒ぎに乗じて帰宅したあと、ジャックが言った。
「ああいや、あのデモで一番叫ばれてた言葉がそうだったらしい。」
「あー・・・。」
そりゃあ、な。
「そんな事言ったら自分も捕まるってわかってちゃ、言いたいことも言えねぇわ。」
言いながら、俺は秘蔵の酒を取り出す。
「お、ジョン、それ開けちゃう?」
「祝い事は盛大にやらにゃあな。」
その方がおもしれぇだろ?
「これからの世界と」
「俺達の友情に」
「乾杯」
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