8話 解明
相も変わらずにぎやかなキャバレーからお送りします。
なんて、軽く現実逃避をしながらさらに辞書とにらめっこ。
そういやキャバレーってのは動物的欲求云々とかってジャックが言ってたっけ。
試しに見てみるか、って・・・!
「ジャック!」
「あ?」
「これ!」
辞書の『動物的欲求』に書いてある文面、それは。
「おー・・・・・・まんまこれ、『それ』の症状じゃね?」
「よな?」
「『ヒトは動物的欲求から解放されており、これらとは無縁である』」
「『種の存続のためだけに個を増やすが、それ以外においては群れを形成することもない』」
「『故に新言語には「LOVE」とそれに関連する単語は存在しない』」
「『それらは全て動物的欲求と定義し、疾患として管理する』」
こりゃ、確かに。
持ってるだけで追われるわけだわ。
てかよくこれが今まで焼かれずに残ってたな。
いやむしろ、俺達みたいなのを捕まえるためにわざと残してたのか。
ともかく。
「ダチ守ろうとして追われたあれは、つまり・・・」
「群れを作ってると判断されたな。サツの首がトんだのは・・・」
「気づかれると上にとって都合が悪いから。」
お互い顔を見合わせる。
「皮肉なもんだ。それがわかったのがよりによって。」
「教育を受けていない結果、自然の摂理に従ってる人々のいる場所だとはね。」
ここは貧民街のキャバレー。
まさかこっちが『自然の摂理』だったとは。
「・・・なぁ。」
「なんだ。」
「こんな世の中、間違ってるよな。」
俺の言葉に、ジャックは頷いた。
「・・・そういやこの前できた『それ』関連の法律ってさ。」
「『家族以外の人間とは職務中以外に会話してはならない』だったな。」
「バチバチに法律違反してたんじゃん俺ら・・・。」
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