夢と現実と
夢を見た。
ガキの頃の夢。だけど、いつも見る夢とは違ぇやつ。
家にはいろんなやつがいる。
頭から耳が生えたやつ、見た目はちびっ子だってのに酒飲んでるやつ、そして……
「がぶ」
「ってぇ!!なにすんだ!!」
「はらへった」
「俺の腕は食いもんじゃねぇっての!」
「どうかお鎮まりください、■■様。今お食事をご用意しておりますが故。」
妙にかしこまりながら飯作ってる親父。
「……後で怪我みせてね。」
そう言って親父は、困ったように笑って――。
「起きたか。」
「……おー。」
寝て、起きて、昨日のアレが夢じゃねぇ事を再確認した。
ついでに、目の前のこいつがマジで神だということも察した。
「で、俺ァ何をすりゃ良いんだ?」
「偽神を撃て。汝にはその力がある。」
「あ?銃なんざ持ってねぇーぞ。」
「偽神、神を騙り奇跡を起こす者。その奇跡を暴き立てよ。偽神の起こす奇跡が全て"偽"跡となった暁に、偽神は斃れる。」
……聞いてねぇなこいつ。
でも、なんとなくだがやり方はわかった。
「よーするに、インチキ宗教のインチキを見破れってか。」
「肯定。」
簡単に言ってくれるじゃねぇの、ったく。
「で、それは俺をぶちのめしたあの胡散臭い新興宗教?」
「それだけではない。人類が信仰を喪った頃から、偽神はあらゆる場所に蔓延った。それは――汝がよく知っているだろう?」
「――ッ!」
親父は、死んだ。
親父は、殺された。
奴らに殺された。
殺された
死体すら利用された
あの時、あそこにいたのは
いた、のは
あ
ああ
ああああああああ
ああああああああああああああああああ
「――■■!」
「……落ち着いたか?」
なきそうな、かおをしていた。
ったく。
何回、俺は、こいつを泣かせりゃ気が済むんだか。
「……悪ぃ。」
「構わぬ。汝の心に土足で踏み入った我にも責はあろう。それで」
「やってやるよ、今すぐにでも。」
……そうしなきゃ、親父がいつまでも救われやしねぇだろ。