すべての生命が搾取されることなく等しく尊重される平和な世界を作るため命を懸けた偉人
すべての生命が搾取されることなく等しく尊重される平和な世界を作るため、文字通り命を懸けた偉人が、安曇野に住んでいました。
今よりも遥かに酷い搾取と格差が存在し、無謀な大戦に日本全体が突っ込んでいった時代。
今は反戦や平和を叫んでも投獄されることは無いですが、当時はリアルに投獄され、不当に裁判され、命さえ失いかねない時代でした。
その中で軍国主義に反対して平和を訴え、搾取と格差の無い社会を作るために行動し続けることは、本当に勇気と信念と愛が必要なことです。
その偉人の名は、妹尾義郎。
いのちを愛でる歌姫 葦木啓夏の曽祖父でもあります。
既存の仏教各宗派が権力に擦り寄り戦争賛成に靡く中で、仏教の教えは平和にあるはずだと、仏教界で唯一、反戦平和を明確に打ち立て、新興仏教青年同盟を結成して、宗派を超えて数百名の同志とともに平和運動に命を懸けました。
また仏教のサンガ(仏弟子たちによる共同社会)こそが、搾取と格差を助長する資本主義に対抗し得るものだとして、釈迦の思想を農村に取り入れ、今で言う生協のような仕組みも作りました。
しかし当然ながら軍部に弾圧され、悪名高い治安維持法により検挙され、虚偽の調書をでっち上げられ、有罪判決を受け投獄されます。
戦後は日中や日韓などアジア諸国との友好と世界平和に尽くしますが、戦前マルクス主義に反対していたにも拘らず死の2年前に共産党に入党し、そのため歴史の評価が定まりにくい部分もありました。
個人的には、平和と平等を強く願うあまり、当時まだ理想とされたソヴィエトに惹かれ、また人間関係を大切にする結果として入党したのかなと思いますし、そのように迷いブレてしまうところも人間味があって魅力的です。
また妹尾義郎は、70年間にわたりほぼ毎日日記を書いており、当時の社会情勢を一個人の視点で鋭く描き出す、貴重な歴史資料になっています。
インド仏教最高指導者の佐々井秀嶺氏は、なんと妹尾義郎の孫弟子にあたり、佐々井氏は妹尾義郎日記を愛読して、活動の拠り所にしているそうです。
仏教を基盤とした平和運動の先駆者であるにも拘らず、既存仏教や権力と闘った人生であったため、妹尾義郎の存在はあまり知られていません。
しかしここ2-30年ほどで再評価の声が高まり、妹尾義郎を慕う宗教者や研究者が増えてきており、また特に海外でも注目が高まっているとのこと。
強欲金融資本主義が限界に達しているこの現代に妹尾義郎が生きていたら、何を想い、どんな活動をしていたでしょうか。
先日、妹尾義郎研究の第一人者でもある佛教大学の大谷栄一教授にも色々と貴重なお話を伺い、妹尾義郎の生家である広島県東城市も訪ねてきました。
この安曇野の偉人の存在を、より多くの人に知ってもらいたいし、妹尾義郎の思想や活動を通じて、これからの資本主義を超えた新しい社会経済、そして人々が平和に暮らせる世界を作るためにどうしたらいいかを探っていきたいです。