#みらいの校則は、聴き合うことからはじめてみたい。
みんなのルールメイキングプロジェクト。学校の校則・ルールの対話的な見直しを通じて、みんなが主体的に関われる学校をつくって取り組みをしています。日々、ルールメイキング事務局として、校則に向き合う生徒や先生をサポートしています。
かくいう自分は、校則とどのように向き合ってきたのでしょうか。正直に言うと、自分自身の校則についての記憶はほとんどないのです。その記憶が正しいのか、今さらながら、母校の校則評判をインターネットで見てみると、やっぱり「校則はゆるい」と書かれています。
校則もゆるく、のほほんと過ごしていたように思える小中高生時代だけど、自分は自分なりに葛藤を抱えながら、過ごしていました。それは、思っていることを言葉にすることが怖い、という気持ちでした。
自分の意見を言わないのが一番卑怯だぞ。
そのきっかけは小学5年生のときでした。総合学習の時間で、グループに分かれて、テーマを設定し、インタビューするなどの調べる活動をしていました。その学習成果を保護者の前で発表する「学習発表会」がありました。
明日が発表って時に、発表方法についてチームで揉め出しました。ヒートアップするクラスメイトたちと僕がいて、頭の中がパニックになっていました。「Aさんの意見に賛成かな。でもAさんに味方したらBくんたちに嫌われる?Bくんの言いたい気持ちもわかる・・・。どっちが正しい?正しいって何だ?」って、パニックになってどうしたらいいのかわからなくなって。
どっちの言うことをわかるし、どちらかに着くと、翌日からの関係性が変わってしまうことが怖くて、チーム内が対立するなか、どっちつかずな態度をとっていました。すると見かねた先生がケンカを納めてくれました。そして、みんなの意見を聞きながら、僕に一言。「自分の意見を言わないのが一番卑怯だぞ」。
こういう経験が、小中高と小さく積み重なって、意見を言ったり、思っていることを言葉にすることが怖くなっていました。
言ってくれてありがとう!助かった。
変化があったのは、大学生の時でした。NGO職員になりたいと考えていて、国際関係学部に進学して、カンボジアの子どもたちのために支援をする学生NGOに入部しました。そこから繋がりが一気に広がり、面白い先輩にたくさん出会い、若者の社会参画支援をするサークルにも所属していました。
サークルでは、会議を重ねて、どんな支援をどのようにするのかを日々話し合っていました。会議が定期的にあったのね。意見を言うのが怖かった自分は、「どうせ自分が言っても何もわかってないから、役立たないし。」「それで変なこと言って、ダメなヤツ、出来ないやつって思われたくない。」って思って動けませんでした。
でも、このままじゃダメだと・・・めっちゃ勇気を出して、「あ、あ、あのー」って思っていたことを言ってみました。そしたら、「あーなるほど!それは大事な視点だね」「言ってくれてありがとう!助かった」「ここはどう思う?」って想定外なリアクションが帰ってきたんです。びっくりして、うれしくてうれしくて。
それから、恩師の読書課題レポートがあって、率直に思った感想、自分の意見を書いてみました。そしたら後日、先生が自分で持ってる新聞のコラムに、レポートを引用したことを教えてくれて。「すごいよ!読んでて涙が出た」って言ってくれたんです。そんなこと言われるなんて想定外だったから、びっくりして。
「自分の思ったことを、伝えてみていいんだ。」と少しずつ思えるようになりました。
聴いてくれる人がいるからこそ、伝えられる。
思っていることを言葉にすることが怖かった自分が、勇気を出せたのは「聴いてくれる先輩・先生」がいるという安心感でした。このひとたちだったら何を言っても受け止めてくれると思えたから、その雰囲気が作られていたからこそ、勇気を出して一歩を踏み出すことができたのだと思います。
みんなのルールメイキング宣言の「校則・ルールの制定や見直しを進めるうえで大切にしたい9カ条」も以下の項目からはじまっています。
1)一人ひとりが安心して居られ、声に耳を傾け合える環境づくり[心理的安全性]
まずは、誰もが安心して居られる、自由に声を発せられる―そのような環境や関係性をつくっていくことが大切です。一人ひとりの声が尊重される土壌があってこそ、人は安心して、感じたことや思ったことを言えます。
聴き合う土壌、一人ひとりの声が尊重される、自分の声を聞いてもらえるという安心感、お互いの声をまず聞こうという聴き合う姿勢が大切です。「思っていること、感じていることを言ってもいいんだ」。そう思える対話の雰囲気、関係性が、よりよいルールをつくっていくんだと思います。
「私はこうしたいけど、あなたはどう思う?」「わたしはね・・・」「いいね!そしたらさぁ・・・」この応答から、#みらいの校則をはじめていきたいです。
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