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プロットを書く時のコツ

① プロットとは「あらすじ」である。けれど――

脚本を書く前段階として、プロットを書く場合は多いです(映画でもドラマでも舞台でも)というよりも、ほとんどの場合、書くでしょう。脚本のコンクールでも800字前後で書くことが求められます。

プロの脚本家として仕事をし始めると、企画書作りと共に、プロットを書くことが山のようにあります。映画監督なども同じように書く場合があります。例えばある程度プロットだけ書いて、あとは脚本家に投げるというような形も多いはずです。

しかし、このプロットが難しい。
僕もそうでした。というのも、脚本の教本というのは多いけど、プロットの教本というのは少ないからです。脚本の学校にも5年くらい通ってましたが、プロットの書き方を教えてもらったことは、やはり少なかったです。

近年は映画祭(つんく♂中2映画プロジェクトを筆頭に!)や若手向けのコンペが増えて来たこともあり、企画やアイデアをプロットで判断されることが多くなってきました。そういう意味では、プロットをきちんと書ければ、実績が乏しい方でもチャンスが広がって来ると思っています。

では、プロットとはなにか。簡単に言えばあらすじです。
では、あらすじとはなにか。それは【粗い筋】のことです。
あらすじは粗くていいんです。脚本よりも文字数が圧倒的に少ないのだから当然ですね。
「Aという事件が起こり、Bという障害が現れて、Cという機転でそれを乗り切った」
そんな感じで粗くざっくりと書けばいいわけですが、これがとても難しい。


② 求められるプロットを考えましょう

A「二時間の映画を、1000字程度のプロットで書いてください」
B「一時間のドラマを、A4サイズ15枚程度プロットで書いてください」
C「15分の短編映画を1000字程度のプロットで書いてください」

たとえば上記3つがあったら、プロットの書き方は全然変わってきます。Bの場合は、ほとんど脚本に近いと言えるでしょう。一時間尺で15枚のプロットがあれば、予算の目安を立てることもできるし、キャスティングにまで進める場合があります。プロットの中にディテール(細部)を書くこともできて、そのディテールが説得力を持つ場合も多々あると思います。
ですが、コンペではこの形はまずないです。やはり最初は短い字数、A4サイズ2枚以内とか、1000字以内とかで、作品のアイデアだったりテーマだったりを見たいです(僕も審査する側を経験しているのでよくわかります。長いのはきついです。学校の校長先生の話などと同じように)
以下、上記で言うところのBやCを目標にしている方に向けて書きます。


③ 設定やストーリーではなく、シーンを考える。

A「昔々、桃から生まれた桃太郎という男の子がいた」
B「老婆が大きな桃に包丁を入れようとしている」
C「大きな桃が川の上流から流れて来る」

プロットを書くときに、Aを書く人が圧倒的に多いです。ですが、BやCをイメージしたほうがいいです。理由は、Aは【設定やストーリー】で、BとCは【シーン】だからです。
BとCには画が見えます。画が見えるのがシーンです。
<老婆が、震える手で、床から腰の高さほどある大きな桃に、ゆっくりと包丁を入れようとしている(書いてなくても、近くでおじいさんが固唾を飲んで見守っているかもしれない)>と読んでいるほうが想像できたほうがいい、というわけです。
「昔々、桃から生まれた桃太郎という男の子がいた」と言われても、「ふーん。そうですか」で終わってしまいます。

またストーリーに関しては、ある程度、出尽くしているというか、型(パータン)が決まっています。その型を破って、全く誰も知らない、見たこともないような、斬新で奇抜なストーリーを考えるというのは、もはや奇跡に等しいです。なので、100作品、1000作品と集まるコンペで、ストーリーで勝負しようというのが、そもそもかなりの負け戦です。それだと目立ちにくいからです。勝負するならシーンでするべきです。これがわかってない方がすごく多いと思っています。
(このあたり、役者のオーディション通過のコツに通じるところもありますね。役者がオーディションを通過できるコツはこちらのようなものもあります。宣伝です)

ではどんなシーンを書くのが理想的なのでしょうか。以下で説明します。

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