登山ガイドの必須装備② ロープ類一式(ロープ、スリング、カラビナ、ハーネス、手袋)
お客様をガイドする際に必ず持参する装備をご紹介します。
今回は、ロープ類一式として、ロープ、スリング、カラビナ、ハーネス、手袋です。
ロープ
登山ガイドが使うロープは、直径8mm以上、長さ30m以上を使用するのが望ましい、とされています。
長さが30m以上必要な理由は、ロープを折り返して2重にして利用する際に10m強の距離で使えるようにする為です。
ロープの使い方としては、クライミングのようにフルテンションをかけるのではなく、急斜面を下降したり崖から誤って滑落しないよう登山道に沿ってロープを張る などの確保的な使い方をします。そのため、いわゆる補助ロープと言われているものを使用します。ちなみに、この補助ロープはフリークライミングでは使用できません。
スリング
急斜面を下降したり危険な登山道にロープを張る場合などに、ロープを立木や岩に固定する(支点)時に使う補助的な細く短いロープをスリングと呼びます。
スリングには、自分でロープを切って結んで輪を作る自作のスリングと、輪になるように縫い合わせた状態で販売されているソウンスリングがあります。ソウンスリングにもナイロン製やダイニーマ製などの種類があります。
それぞれ一長一短がありますので、用途によって選択する必要があります。
長さも様々あり、最低限以下の長さのスリングを携行します。
・150cm~180cmのスリング:1本
・120cmのスリング:2本
・60cmのスリング:2本
カラビナ
スリングにロープを固定したり、スリングとハーネスを接続する場合などに使う、ゲートを持った金属の輪っかです。
カラビナは大別すると、安全環付カラビナと通常のカラビナがあります。
安全環付カラビナとは、開閉するゲート部分をスクリューなどでロックする機構を具備しているカラビナで容易にゲートが開くことはありません。外れると直接生死にかかわるような箇所には安全環付カラビナを使用します。
(登山道具やホームセンターなどで、アクセサリーカラビナも販売されていますが、これは強度が弱く体重をかけると破損するため使用しません。しかし、物をぶら下げるときには使いますが。。。)
カラビナはとても便利で、活用すると様々なことができるようになるので多数持ちたいのですが、結構重量がありますので、通常は必要最低限の個数を持つようにしています。上記した個数のスリングと以下の個数のカラビナを持っていれば最低限の登山支援(確保やレスキューなど)ができるようになります。
・安全環付カラビナ:3個
・普通のカラビナ:2個
ハーネス
落下防止のために、身体とロープ(もしくはスリング)を固定するために身体に装着する器具です。
腰と太ももの3か所で身体に固定するようになっており、万が一落下した場合に身体の1か所に大きな負荷がかからず、腰と太ももで分散し落下の衝撃を分散します。(腰だけの固定だと、落下の衝撃に腰が耐えられないと言われています。)
クライミング用のパットが厚いハーネスもありますが、登山目的の場合は軽量でコンパクトなハーネスを携行します。
手袋
ロープに大きな力がかかると滑り大きな摩擦熱が発生します。そのため、やけど防止のためにロープを扱うときは手袋を用います。(いくら熱くてもロープを離すわけにはいかないので)
通常は皮製の手袋を使います。
まとめ
危険個所を安全に通行するため(危険回避)や、事故がおこった時のレスキューの時などにロープ類一式は必要です。(ビバークの為にツエルトを張る場合にも使います。)
これら一式を持つとかなりの重量になるため、スリングやカラビナなどを最低限の個数のみ携行して、いかに現場で工夫して対応していくかが重要になります。
それぞれの道具の詳細な話は、機会があればまた今度ご紹介ということで~