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2年ぶりのイベントを終えて
PLUG Magazineでは主に音楽やファッション系のイベントやセレモニーなどを企画したり、携わらせて頂くことが多いのですが、今回はこれまであまり携わったことがないタイプの催事でお仕事させて頂ける機会を得ました。それが、交通安全を楽しく学びながら考える、主に小さなお子さんやご家族を対象にした「KIG FES」の企画制作です。
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主催は、岡山の街中いたるところにユニークな交通安全の啓発広告を展開されている交通誘導警備を専門とする株式会社KIGさん(岡山市民であれば目にしたことがない人がいないくらいのもの凄い出稿量です)。
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ゲストはサンシャイン池崎さん、小島よしおさん、ミサイルマンさん、R藤本さん、BAN BAN BANのお二人など、なかなかエッジの効いたエンタメ感満載のキャスティングですが、内容はいたって真剣に交通安全の啓発に向き合ったもの。
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岡山市や岡山県警の担当課、学生さんにも参画をいただきながら、白バイ試乗や自転車安全シュミレーター体験、反射神経測定マシン、交通誘導アプリゲーム、学生さんの交通安全啓発ポスターコンテストなど、楽しみながら交通マナーや事故について考えるきっかけとなるようなブースを制作。ステージでは芸人さんがネタ中に交通マナーについてのくだりを挟んでくださるなど、フロアもステージも一体となって交通安全を呼びかけました。
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交通事故を減らしたいとストレートに投げかけるのではなく、エンターテイメントやアクティビティに変換してメッセージを届ければ、より伝わるのではないか。このイベントには、主催者のそんな意図があります。
岡山県はドライバーがウインカーをださない地域としてよく知られていますが、交通事故の発生件数やそれによって亡くなる方の人数も全国で上位に入るそうです。
そういった現状を少しでも変えるべく、交通産業に関わる使命感から、一企業がこういった催しに予算をかけ、この規模と演出で、さらに無料で実施されるのはなかなか真似のできない素晴らしいことだなと思いました。
「未来に起こるかもしれなかった重大な交通事故が、KIG FESによって一件でも減ったのであれば、このイベントは大成功です」。KIG代表の言葉どおり、交通事故減に資する、意義ある催しになったのではないかと思います。
私自身も運転や交通に対する認識を新たにすることができました。また、これまであまり手がけた事がないイベントを企画する中で、たくさんの学びを得ることができ、携われたことに有り難さを感じています。ご来場くださった皆様、御協力各社に改めて御礼申し上げます。
さて。コロナ禍の影響で全くイベントに携わることがなくなり、約2年強ぶりとなるイベントのお仕事でしたが、終えてみて、いろんな思いが交錯しました。
まずは、久しぶりの深夜の設営でクタクタになってしまい、もう自分も若くないんだと実感したこと😅
そして、数年ぶりに現場をご一緒くださる会場装飾の職人さんや音響さん、進行スタッフさんなどのプロフェッショナルな仕事ぶりを間近にし、イベントチームへの尊敬と感謝を新たにしました。
ただ、本番を終えてもずっと頭を離れないのは、withコロナ時代のイベントはどうあるべきかということです。
自分たちもこれまでにコロナ禍の影響を大なり小なり受けてはいますが、それは飲食店やライブハウス、旅行業などが被った強烈で直接的なものではありません。今回、このイベントを制作していく中で、いまも営業自粛などで苦しんでいる業種の方々に比べれば些細なことではありますが、これまでと何が変わったのか、現場で身を以て体験することになりました。
まず、会場を借りる際の審査は厳しくなり、申請書類なども膨大になりました。
スタッフの陰性証明やワクチン接種の有無といった状況把握や体調管理も当然のように課せられ、これまでとは比べ物にならないほど目に見えない部分での手間がかかりました。
そして、こういった労力を足すだけではどうにもできない現状に悩むことになります。
まん延防止期間中というデリケートな時期に開催するということもあり、定められたレギュレーション以上の徹底した感染症対策を行って催行しましたが、MCの二人は喋りづらくともマスクをしたままマイクを持ち、ゲストの芸人さんたちが登壇するステージの前面には飛沫対策の大きなビニール幕を設置しているため、演者も観客も視界が悪く、これでは本来のパフォーマンスを発揮できるわけはありません。また、極端な入場制限や座席の間隔を空けること、観客は発声してはいけないなど、一体感を阻害する要因も重なることでイベント本来の醍醐味はどうしても失われてしまいます。
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それでも、出演ゲストは「久しぶりにお客さんの前でステージに立てて嬉しい」、「しっかりと感染症対策を行ってくれてありがたい」と言ってくれました。
やりづらい飛沫ビニール越しでも全力でネタを披露してくれている芸人さんたちを見ていると、プロの凄みを感じながら、やはり制作者としては申し訳ない気持ちになります。
来場者からも、「対策が取れているから安心できる」と声をかけていただきました。
そういって来場者の方々は楽しそうにいろんなブースを周り、笑顔を見せてくれてはいましたが、人が入れ替わるたびに過度な消毒を行い、できるだけ人同士の距離を空け、接触を避けるよう促すオペレーションをしなければいけないことに、もどかしい思いがしました。どんなに工夫を凝らしたとしても、これまでのイベントで得られたような体感を再現することはできません。
主催者と観客の双方が感染症対策に「慣れ」てきているということは、今後いろんなものが取り除かれたイベントの形態がデフォルトの状態になってしまうかもしれないということでもあります。
いわゆる新しい生活様式がスタンダードになることによって、これまでの大型野外フェスのように観客が密集して声を上げる様なシーンを動画で見ただけで、人は嫌悪感を覚えるようになるのではないかと分析する学者もいるようです。要するに、リアルのイベントそのものが不要として世の中から消えて無くなるかもしれない。これはそんなに大げさな誇張ではなく、訪れるかもしれない現実かもしれないと思うようになりました。イベントがタバコと同じような扱いを受け、電車の中でタバコが吸えないのが当たり前となったように、人が集まって何かをするということが徐々に無くなっていく可能性すら感じています。
ある地元ライブハウスのマネージャーが、地元の若手シンガーソングライターに久しぶりにライブをしないかと打診すると、インターネットで配信するから必要ないと言われたという話を聞きました。
なんでもかんでもオンラインに集約される世の中は、だんだんと温度を失い冷たくなった屍体のようになりはしないだろうか。社会の変化は受け入れるべきだとは思いつつも、旅行がGoogle Earthを覗くことに代替されるような世の中はゾッとします。
今回、久しぶりにイベントに携わってみて思ったこと。それは、「やっぱり楽しい」、この一言に尽きます。そこでしか味わえない時間と空間をたくさんの人と共有することは、やはり何にも代え難い体験でした。
イベント(event)とは、催し物やお祭りだけを指す言葉ではありません。IT用語では、システム内で偶発的あるいは非計画的に生じる操作や挙動・状態の変化、それらを非同期的に特定のモジュールに通知するための仕組みのことです。これは、IT用語としてだけでなく、イベントの本質そのものではないかと思います。
何でもかんでもシステマチックにレコメンデーションされたものばかりに囲まれた日常にはなんの面白みもありません。イベントには、予想だにしなかった新たな出会いや発見、思わぬ再会やハプニングもあるでしょう。現場でしか味わえない感動、見知らぬ人たちとの一体感。実際に身体で感じる映像や音、匂いや振動は画面越しでは伝わらない圧倒的な情報量です。これらの体験によって、誰かの人生がより良いものになったり、何か新しいものが生まれたりするきっかけになることもあるでしょう。
withコロナ時代のイベントがどうあるべきか、いまもいろんな試行錯誤がされていますが、イベントという大切な媒体の本質を見失わないように、これからも機会があればイベントのジャンルに関わらず積極的に携わっていきたいなと思いました。
「戦争に反対する唯一の手段は、各自の生活を美しくして、それに執着することである。」
これは、私が折に触れて読み返している、戦後に活躍した文筆家 吉田健一のエッセイ「長崎」の中で綴られている一文です。
疫病と戦争という思いもよらない災厄におそわれた現代(いま)、この言葉を反芻しています。
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まろにえーるTVなどDB芸人をウォッチし続けている自分としてはお仕事ご一緒できて、最高の時間でした✨同じくファンの当編集部サッシーはカメハメ波、私は変形の太陽拳を放っております💥いつか「真・劇団アニメ座DB」岡山公演を実現させたいと密かに決意を固めました✊仕事柄どなたにお会いしても緊張しない耐性ができてたはずなんですが、御三方を前にして久しぶりにオロオロしてしまいました(^_^;)ステージ最強に面白かったです!ありがとうございましたm(_ _)m