見出し画像

Kungsleden Day5

Emergency hut - Alesjaure


まだ夜中、寒さで目が覚めます。
暖炉の火が消えて、小屋が冷えてきている。
みんなは未だ眠っており、なるべく静かにと薪をくべていきますが、ナイフを持ち合わせておらず、火種用の木くずを作るのに苦戦していると、スウェ人の子が起きてきて手を貸してくれました。
「起こしてごめん。ナイフを持ってくるべきだったね。」
「気にしないで。寒くなってきたしね。」

フィンランドでは薪サウナ、森の中でBBQと火起こしには慣れていたはずですが、今回は湿っていたこともありうまく出来ず、ギアの確認の際にナイフも確認しておけばよかったと後悔しました。
もし1人だったら小屋で凍えていたと思います。
自然の中に入るときには、最悪の自体を考慮して備える必要があることを身を持って経験した形になってしまいました。

ここは違う避難小屋ですが、作りは似ていました。

日も昇ってきて、明るさと寒さで再度目が覚めました。風は強く吹いていますが、空には青空が広がっています。
ゆっくりと朝食を食べ始め、7時にもなってくると早朝から歩き始めたハイカー達が小屋を訪れ始めました。
「夜をここで過ごしたの?昨日は酷かったよね。」
なんだかやっと現実に戻ってきたような気がします。もう朝で、私はまた歩き始められるのか。そうか、生きてるもんね。

「もうそろそろ僕は行くね。」
そう言って、スウェーデン人の子はザックを背負います。
「本当にありがとう。ハグしてもいい?」
「もちろん!残りも気を付けてね!」
普段日本じゃしないけど、本当に彼には感謝していて、思いっきりお互いの背中をたたきました。
「私達は道一緒でしょ?一緒に行こう。」
フィンランド人の子はこの先の工程も一緒。そのまま一緒に歩こうと誘ってくれました。

私はきっとこの夜のことを一生忘れないだろうな、などと感傷に浸りつつも、まだコースは半分残っています。
そういうのは歩ききってからだよ!
私達もザックを背負って小屋を後にします。

さてこの区間、渡渉が何度もありました。
他の方のブログでも渡渉区間がありますと記載があり、覚悟はしていましたが、完全に登山靴が浸かってしまう深さの渡渉がこの区間に2箇所はありました。脱がなくても可能な渡渉も、回数は記憶していませんが何度かあったかと思います。
8月の下旬の川、冷たい!!!
サンダルに履き替えて渡渉しましたが、足が凍るかと思いました。
フィン人の子は長靴を持ってきていました。そりゃ嵩張るがな。
彼女は荷物が私の倍はあったように思います(笑)


川辺に多く落ちていた宝石のような石
これを渡ります、流れに持っていかれるレベルではない
どんな荷物の持ち方よ。
上に残っている氷河が川が流れているのが見えます。
流れつく水を飲んでいるのか、と自然の壮大さに見惚れる。
開けた場所でランチ。基本オートミール。


そしてようやく!
この区間でトナカイに出会うことがで出来ました!一度見つけると、川向かいにも、少し歩いた先にも、何度も群れに出会いました。
小雨が降り始めていましたが、そんなことも気にせず、2人で必死に写真を取っていました。


角が美しい。
群れもたくさん。

トナカイをひとしきり堪能して、道端のブルーベリーをいつものように食べ歩いていると、前から歩いてきた女の子たちが「あの人達ブルーベリー食べてるのかな?」と話しながら私達を見ていることに気づきました。
「ここの青いのはブルーベリーで、美味しいよ。」
と伝えると、彼女たちからは
「食べれるキノコをこの先の小屋の人が教えてくれたんだけど、知ってる?こういうのなんだけど」
と、写真を見せてくれました。

なんでもこの先のAlesjaureまでの道のりに多くあるとのことで、美味しかったから食べてみてと教えてくれました。
フィン人の子にも共有して、この先の道のりでジップロック半分程度採取しながら小屋に向かいました。

本当に食べていいのか?
Alesjaureの小屋番さんにも大丈夫か確認しました笑


小屋に到着時は雨、風も強く寝袋のない私にはテントの選択肢はありません。ですが到着時点でベッドは満杯とのこと。
レセプション小屋で雑魚寝でよければ、テントサイト使用料と同額(サウナ+キッチン使用料込)の支払いで使用してもいいよとのことで、そうすることにしました。非会員で300SEKくらいだったかと思います。
フィン人の子も寒いしサウナがあるならそうする、と一緒に泊まることにしました。キッチンの使用も、キノコ調理で使用したかったので◎

サウナの使用は他のところも概ねそうでしたが、男女の時間と混在の時間が2時間毎ある決まりでした。
私達は女性のみの時間に使用。
寒いからでしょう、ものすごく混雑していました。
扉を開ける人や回数が多く、その都度ひんやりしてしまうのですが、この日は私と同行しているフィン人も含めフィンランド人の女性が多く、サウナの室温管理を代わる代わるフィン人の人たちがしてくれ(扉を開く毎にロウリュするためにストーンの横に立ってサウナに入ってくれる人までいました)、しっかり温まることが出来ました。
そしてもちろん、キンキンの川にドボン!
フィン人の女性たちが率先して、「何も考えちゃだめ!そのまま入ればいいの!」次々他国の人たちをサウナ文化にぶち込んでいる様が見ていて気持ちよかったです。

ひとしきり温まって、寝床に戻るとレセプション小屋もいっぱいになっていました。寒さと雨でみんな考えることは同じですね。
狭い部屋にぎゅっと各々スペースを作っている様子をみて、少し日本の山小屋が恋しくなった瞬間でした。

いいなと思ったら応援しよう!