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パガニーニの婚活

ヴァイオリンが上手すぎて本気で悪魔だと信じられていた
19世紀のヴァイオリニスト&作曲家のニコロ・パガニーニ。
派手な女性関係を持ちながらも生涯独身だった彼ですが、実は婚活に励んでいた時期がありました。


パワーワード「学歴:未就学」

漫画でも触れた、パガニーニ逮捕事件から数年後の1818年から結婚願望を燃やしています。この時パガニーニは30代後半。当時としては少し婚活のスタートが遅いような気がしますが果たしてどうなることやら…!?

パガニーニは恋バナしたいタイプ

恋の悩みは歴史の中でも多くの作曲家が抱えていましたが、それを周りに相談するかしないかは人によって大きく異なっていました。例えばショパンは自分の恋心をほとんど外部に打ち明けず内に秘めるタイプでした。
さてパガニーニはというと、恋バナをすぐ親友のジェルミに相談する傾向があり、ジェルミに宛てた手紙を通して彼の恋愛遍歴を知ることができます。

1818年にパガニーニはボローニャでマリーナ・バンティという女の子と付き合っています。しかしどうやら交際を父親に反対されていたようで、ある日父親の目を盗んでマリーナが書いたラブレターをパガニーニは受け取りました。


”あなたの手紙を受け取ったときの喜びは表現できません。すぐにボローニャに来られるよう、できる限りのことをしてください。すべてうまくいくように祈っています。さようなら、私の愛する人よ…!”

1818年 10月10日 ジェルミに宛てたパガニーニの手紙より

手紙を読んだパガニーニは興奮MAX! 

もう、すぐにボローニャに行きたい!他のどの街も興味ない!
天がマリエッタ(マリーナ)と私を永遠に結びつけてくれるなら最高の祝福の街になります。今あの子は歌の勉強を熱心にしている。父親は良く思っていないみたいだけど。

1818年 10月10日 ジェルミに宛てたパガニーニの手紙より

おそらく全てを差し置いてボローニャに向かったであろうパガニーニ。すごい熱量が手紙からも伝わってきます!果たしてマリーナとの恋路はどうなったのか!?

そして一ヶ月後にジェルミに届いた手紙の内容はこちら…

私の考えが完全に変わったことをお知らせします。私はボローニャに6日間滞在しましたが、マリーナに無関心になり、結婚については全く考えなくなりました。彼女はまだ私を好きみたいですが、もう結構どうでもいいです。

1818年 11月4日 ジェルミに宛てたパガニーニの手紙より

え?一体あの熱量はどこにいっちゃったの??? きっとジェルミも困惑してる…


パガニーニは熱しやすく冷めやすいタイプ

マリーナと会って何があったのかはわかりませんが、とにかくマリーナのことであんなにテンションが上がっていたのが幻だったかのような報告です。

しかし結婚願望自体は消えていないようで、パガニーニは再びジェルミにこんな手紙を送っています。

友よ、あなたは私にどれだけ孤独が重くのしかかり、結婚への考えを変えたのか想像もつかないでしょう。美しい若い女性と結婚したいのです。

1818年 12月23日 ジェルミに宛てたパガニーニの手紙より


そして1821年、ジェルミの元に届いたパガニーニの手紙がこちらです。

とうとう結婚することになりそうです。美しさと教養を備えたかわいい子です!もうこの上なく幸せ!!結婚指輪を買わなくちゃいけない。

1821年 6月21日 ジェルミに宛てたパガニーニの手紙より

知らない間にまた結婚への情熱を燃やしていたパガニーニ。相手の名前を書くのも忘れて、ジェルミに結婚のための書類を急いで送ってもらおうとしています。

お願いがあります、第一に私の洗礼証明書を送ってください。1780年以降のものを。そして大司教の官邸に行って、私の地位を証明してください。ほんとにいろいろ頼んで悪いんだけど、友情に免じて許してほしい!
(中略)
必要な費用は必ずお支払いします。私の誓いの成就と、私の幸せな運命の実現にどうか協力してください。
(中略)
必要な書類はこれだけです
・誕生の証明書
・自由国家の証明書
・母の同意
・父の死亡証明書
・(書類二通)
・妹の夫への6000リラの投資証明書
天はこの結婚を望んでいるみたい!

1821年 6月22日、7月3日 ジェルミに宛てたパガニーニの手紙より

と、ここでやっと相手の名前を伝えていないことに気づいたらしく…

至急必要な情報だけ返信します。
花嫁の名前はカロリーナ・バンキエーリです。父親はロムアルド・バンキエーリ、母親はテレサ・ルイス。
なんていい名前なんだ〜!
美しさと教養を兼ね備えていて私の好みにぴったりです。
あなたと母に幸あれ!書類待ってますね。
もうすぐ出発なので手短に、さようなら。

1821年 7月10日 ジェルミに宛てたパガニーニの手紙より

という感じで、カロリーナという女性とめちゃくちゃ結婚する気でいる親友から書類を急かされ、ジェルミは奔走します。言われた通りの書類を揃え、パガニーニに送るも…何ヶ月も返事がありません。

い、嫌な予感が…!

今まで手紙を書かなくてごめん。あなただけに言いますが、この前の結婚の話は破談になりました。4日間のできごとだったけど、私にはそれが4年くらいのできごとに感じた。

1821年 11月17日 ジェルミに宛てたパガニーニの手紙より


うああ、やっぱり〜! しかしたった4日の間に一体何が… そして沢山の書類を作ったジェルミの努力は一体…
破談の理由は告げられることなく、これ以降パガニーニはカロリーナのことを一切話題にしませんでした。


そしてこの後、漫画でも描いているとおりパガニーニは体調を大きく崩し、婚活どころではなくなってしまうのですが…結婚願望自体はこの先もずっと消えることがなかったようです。機会があればまた、そんなパガニーニの婚活話の続きを書きたいと思います。ではまた!


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