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100文字ファンタジーまとめ:No.1

こちらは、ワタシがTwitter上で公開していました、「100文字ファンタジー」のまとめです。

こちらは上演フリーの朗読台本としてお使いいただけます。「上演フリー」とは、「当作品を朗読などの音読活動で使用する場合、ワタシは使用料等の金銭を一切要求しない」ことを意味しております。ですので、お気軽に読んでいただき、YouTubeやTwitterといったメディアに投稿していただいたり、朗読会などで発表いただいて構いません。

その際に、ワタシの名前を出していただけると嬉しいです。

使用料等が発生しないのは、あくまで音読活動です。書籍への記載等、音読活動の範疇を超える使用については、ご一報ください。

【羨望】

大きな、大きなリュックを背負ったカタツムリが歩いている。
それを見た人々は、羨ましい、と指を咥える。
あんなに物を持っているのだから、さぞ幸せであろう、と思いを馳せて物欲しがる。

その中身を確かめることもせずに。

【境界線】

フクロウの頭を持って生まれた彼は、自分が世界で一番醜い生き物だと思っていた。
事実、彼は周囲の人間にバカにされてきた。

…しかし、彼が夜の魔物を倒した時。
彼は英雄として大歓迎された。

彼は生まれて初めて幸福感を得た…と、同時に。

故郷を、出た。

【コルブラント、敗北】

若き騎士は古の英雄の古びた剣を見て、勝利を確信した。
彼は煌めく剣を振り回し、勇猛果敢に英雄と仕合ったが…。

騎士は、敗れ去った。

「肝心なことは、煌めきではない。
磨くとは、そういう意味ではない」

教えられた騎士の進む道は…

【星】

今、星の間では「黒」が大流行!
みんな、黒く塗って欲しくて、列を作って並んでいる。

だけど、ヴェガはやっぱり輝きたくて、そっと列から抜け出す。

夜空の黒の中で、自分も黒としてひしめき合う姿を想像すると…苦笑いがこみ上げる。

シリウスが、暖かく出迎えた。

【アイオーン・ミニ】

優人は憤っていた。
やっと掴んだ信頼も期待も、全て裏切られ、失ってしまった。

ふと、幼い娘がフラフラと前に飛び出して来た。
優人はイラ立ちを脚に込め、思い切りぶつけようとしたが…。

彼は、静かに道を譲るに留めた。

…瓦解しても、無意味。

【アイオーン・ミニ】

閑「ソフトクリーム、食べて行きませんか? 凄く美味しいって、評判なんですよ!」
アイオーン「…味に期待できない」

アイオーン「…存外、美味いものだ…」
閑「ほっぺた、付いてますよ!」

閑、ニッコリ

【次(予定)】

銃使いを連れた鳥の冒険は、もうすぐ終わる。彼らに続くのは…

「私たちだね!」
巨神に挑む6人が名乗り出る。

「いや、オレだね!」
騎士とも精霊とも見えるロボットを操る青年が名乗り出る。

だが、光を浴びたのは…トゲトゲの鎧を着込んだ戦士であった。

【脳内】

色とりどりの花を生けた花瓶を置いたテーブルを挟んで、2人はチェスに興じている。

しかし、そのルールは異様だ。

突然駒を増やしたり、盤面を回転させたり、見たことのない駒を出したりする。

それでも、2人は不平を言わず、黙々と対戦を続ける。

王手は、遠い。

【脳内】

覗き穴から覗いて見ると…。
満天の星空の下、漆黒の海原を眺めて崖に腰掛けている少女を見た。

突如、山のような体に、月のような眼をしたクジラが、大きく口を開いて現れた。

慌てて石を掴み、クジラにぶつけよつとすると…少女が立ち塞がった。

「友達なの」

【ありふれた残念】

聖剣が大流行とのことで、大繁盛の刀鍛治の元へ銃技師が訪ねた。

「魔族討伐を志す若者が増えたってことかい?」
「違う、違う!
決まった時間内に木を何本斬れるか、競う遊びが流行ってるだけだ!
そんでもって、一月も経つと、放り出しちまうんだ!」

【潮騒】

拍手喝采と見るか。
阿鼻叫喚と見るか。

それは、私たち次第なのだろう。

願わくば、前者であって欲しい。

だって、こんなに澄んだ青空の下のだもの。

【点】

プライベートビーチに着いたぞ!

「この砂浜の砂が、ぜーんぶ砂糖なら、幸せじゃない!?
お菓子の国じゃん!」
「でも、それって足で踏んでるんでしょ? 食べるの?」

…鈴がチーンと鳴るような、空耳を聞いた気がした。

【構想】

妖精は、間に合わなかった。
国は滅び、漆黒の灰燼と化した。

ただ1人、少年だけが色彩を放ち、倒れていた。
彼の傍には、タンポポの花が凛々しく咲いていた。

…そして、数年後。

成長した少年は「ダンデライオン」の名を刻み、妖精と共に旅立つ…

【創作者】

彼の家を訪ねたとき、「あれ?」と声が出た。

昨日は主の背後で燦然と輝いていた本棚が、砕け散っていたのだ。

今、主の背後には赤々と輝く炎が場を占めている。

砕けた本棚の破片を片付けようとすると、「触るな!」と一喝された。

「それも使うんだよ!」

【構想・改】

妖精は、花を諦めた。
ゆるゆると、或いはごうごうと、漆黒の灰燼へ崩れる世界たち。

しかし、その世界の中でも咲き誇る花があった。

踏みにじられても決して散らぬ、太陽を灯す花。

妖精は、怖々と花に手を伸ばす。
すると花は、雄々しい腕で、彼女を握った。

以上、2021年3月17日までの「100文字ファンタジー」でした!

声劇ライブサービス「ボイコネ」に演目として投稿させていただきました!

お気軽に演じてみてください!

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