![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/33719204/rectangle_large_type_2_2a846547c595d58df3ffd9300b0bd143.jpeg?width=1200)
箱の中で 【今日の終わりに】
今年の2月に東京から宮崎に戻り、
その後はずっと箱の中に閉じ込められている感じがしていた。
いろいろなことを我慢したり、
怖くて眠れない夜を過ごしたり、
そんな中でも、なんとか頑張れる日があったりなかったり。
夢をえがいたり、夢に破れたり。
半年もの間、この箱の中の世界で
一体私は何を得て、何をなくしたんだろう。
時間は有り余るほどあったはずなのに、
一体私は何をして過ごしていたのだろう。
私の中の私は
長い間留守をしていた。
あの日、東京に置いてきちゃったのかな。
8月末のある晴れた日の午後
仕事帰りの運転中に
実は、私が戻ってきた。
やっと私が戻ってきた。
私は、助手席にすとんと現れて、
まっすぐに前を見ていた。
前を見たまま「おかえり」と声をかけたが返事はない
横顔を覗いてみたら少し笑っていた。
「ずいぶん長い間待っていたんだよ」
「おそかったよ〜」
「おかえり」
助手席の私は、私とゆっくりと混ざり合って
私になった。
夏の終わりの不思議で嬉しい出来事でした。