オーガンジーポイの扱い方 【技術編】
前回の続きです
オーガンジーポイが、というよりはテールポイ全般の話になりそうですが、ライトアップポイやコンタクトポイと比べて使える技術の幅が狭くなりがちです。
テールが付いていることがその原因で、技の幅と見た目のメリットを天秤に掛けることもあります。
また、ライトと比べるとテールの軌道は物質的でノイズが多くなりそれが良くも悪くも働きます。
こういった背景もあり、各技術要素に対して僕がオーガンジーポイを使う場合に意識していることという観点で、整理して書きたいと思います。
【スイング】
・リール
ゆっくり回すことも早く回すことも簡単で、身体を翻すとテールがついてきてテールを纏っているように見えるため、とても綺麗です。物質的なテールの軌道が良い方向に働くと思います。身体の動きと合わせることも楽で、一番便利に使える技です。
個人的には基本技にして奥義、のような技だと思っています。
・ウィーブ、ファウンテン
ゆっくりも早くも回せて、回す位置と合わせて色々な表現がしやすいです。
テールの場合、リールよりも見た目の密度が高くなるため密度高く見せたい場面で使いますが、身体の動きと合わせる場合はやや汎用性が低い気がします。
・ビッグサークル
大きく見せられて、テールが付いていても見た目の密度がかなり低くなるので、メリハリをつけるのに必須だと思っています。
ゆっくり見せたい場合より、大きく、速く見せたい場合によく使います。
・フラワー
テールの軌道が円系に動くと綺麗になびくため、とても使いやすい技です。リールやウィーブなどと比べると大きく見せられますが、ビッグサークルと違って見た目の密度がそれほど低くなりません。
繋ぎに使うことが多いような気がします。
・アンチスピンフラワー
ライトで軌道がすごくよく映えて盛り上げたい場面で使われるサイド面のアンチスピンフラワー通称クローバーは、テールだとそれほどの見映えではないように思います。
ただ、早くまわしているように見え、密度も高く見えるのでライトとは役割は変わりますが使いどころは多いです。
また、ライトだとターンするより直立のままの方が軌道だけが際立って綺麗なのに対して、テールだとターンし続けたほうが見映えが良いと感じますが、この役割の違いだと思います。
ウォール面のアンチスピンフラワーは、少し密度が落ちてゆっくり回しても使え、ちょうど良い繋ぎとして使える場面も多く、万能に使えます。
・アンチスピンファウンテン
アンチスピンフラワーよりも密度が高く見えます。
テールでアンチスピンをすると基本的に軌道の密度が高くなりますが、その中でも特に高いのではないかと思います。
汎用性は高くないですが、見映えがよく、個人的に好きな技でもあるので使う機会が多いです。
・CAP
アンチスピンフラワー同様、ライトで軌道が映えますが、テールだとそれほどではないといった印象の技です。
(もしかしたら、ライトを見慣れているせいでそう感じるのかもしれません…)
ただ、繋ぎに使いやすいので使うことはそれなりに多いです。
・クロッサー
リールと役割が被りますが、リールより自由度が低いのであまり使いません。
リールとは少し見た目の印象が違うため、違う印象で見せたいときに使うことはあります。
・バズソー
シンプルでキャッチーに見せることができ、身体も自由に使え、ゆっくり回しても早く回しても綺麗に映えてとても便利な技です。
ライト等よりもテールでの見映えが良いと感じますが、テールのノイズの多さが良い方向に働いているのではないかと思います。
ただ、単体での見映えは良いのですが、紐を短く持つ関係なのか他の技との繋ぎがやりづらく、流れをぶったぎってバスソーのみ見せるとか、バズソーの派生技のみのシーケンスとなりがちです。
・BTB,BTH,UTL
ビハインドザバック、ビハインドザヘッド、アンダーザレッグ等の身体のどこかの箇所を通してポイを回す技のことです。
身体の動きが加わるため、テールの単調になりがちな点をカバーしてくれるため有効だと思います。
服によってやりやすさが変わることと、苦手なので僕はあまり使いません。
・ボディトレース
軌道でなく身体と手の位置で複雑さを出して見た目の密度を上げられること、身体に沿わせる動作が独特の質感を作ることで単調さを補えるので、テールと相性は良いと思います。
服によってやりづらくはなりますし、僕は苦手な技ですが有効に使えれば使い道は多いので練習したいと思います。
・メルトダウン
リールのように身体の回りにポイを纏っているように見え綺麗な技ですが、腕の稼働域を広くとるのでループするとダイナミックに力強い印象に感じます。
力強く見せたいときに使いますが、そう見せたい場面があまりないので結果的にあまり使いません。
半周期(フルクロッサー)はちょうど良い見た目になるので繋ぎに使うことは多いです。
・キャットアイ
テールポイでやりづらい技のひとつです。
ヘッドの軌道の小ささにテールの軌道が付いていかず、ヘッドが綺麗に楕円を描いてもテールが楕円を描かないとなりがちです。
・アイソレーション
テールポイでやりづらいスイングのひとつです。両手で同じ面上でアイソレーションをループすると、手とテールの位置関係で絡まる率が高くなります。また、ヘッドの重さの関係で紐を太くしづらいため不思議感がコンタクト等と比べるとあまりでません。
ただ、テールがゆっくり動くこととテールがバラけるという利点もあります。
1周期だけ使う、別の面上で使う、ユニットサークルピルエットにするなどのやり方で絡まることは防止できるので、他要素との組み合わせで利点を活かして有効に使うことができます。
・ハイブリッド
ハイブリッドは定義が広く一概には言えませんが、ライトやコンタクトで綺麗に見えるアイソレーションを使ったものは、ループするとテールが絡まったり、紐が見えづらい関係でテールだとあまり見映えがよくないものが多いです。
ですが、テールで綺麗に見えるものももちろんあります。
3枚葉のアンチスピンフラワーvsビッグサークルのハイブリッド、通称メルセデスは複雑で密度が高いように見え、アンチスピンファウンテンと同じような役割で、違うテンポで使えます。
ユニットサークルピルエットvsビッグサークルピルエット、通称ジーザスはビッグサークルの大きく密度低く見せられる点とアイソレーションの不思議さを両立でき、技にも入りやすいので使いやすいです。
・コークスクリュー
ホリゾンタル面は見えるテールの面積が縦に回すのと変わるため、見た目の変化を付けられます。
コークスクリューはゆっくりと回して見せることが多いです。
・ホリゾンタルフラワー
コークスクリューと違い大きく見えるので、早く回して見せることが多いです。
腕の下を通すパターンと腕の上を通すパターンがあり、上と下を行き来することで軌道のバリエーションを付けられます。
・アトミック
・プレーンチェンジ
テールポイだと、見る側から見て軌道が線状に見える方向と円状に見える方向でテールの見える面積が違うため、ライトやコンタクトと比べ、見た目が面白くなりやすいと思います。
まだ研究中で、こういう場面で使うというものが確立できていませんが、可能性が多いと思っています。
・スパイラル、ヴォルテックス
オーガンジーポイであれば一応できますが、スムーズにならず、ヘッドの軌道よりテールの軌道が目立ってしまうため渦状の軌道に見えません。
ただし、ホリゾンタル面でスパイラルをすると解いた後のテールの落ち方がとても綺麗なので、単発の技として使うと映える場面もあります。
・ラップ
ヘッドが身体に巻きついた後にテールが巻きつき、変則的に動くのでアクセントになることがあります。
テールの空気抵抗の関係で早く連続してラップするのは難しいので、グローストリングスのような動きは出来ません。
・ストール
ストールしたときにテールが一瞬U字型になります。
また、テールが動いてしまうので、ライトやコンタクトと比べて止まった感が少ないです。
また、速度やストールの方向によってはテールがバラけるチャンスができます。
・フロート
テールが直線状に動き、他の動きにはない軌道になります。
ライトだと速度が足らず残像が残りづらいですが、テールだと直線状の軌道を見せやすいです。
ただ、綺麗にするのが難しくバリエーションも多くないため、要研究・要練習です。
・振り子
早く動かすと軌道が線状に、遅く動かすと弧状になり、回している状態からも入りやすく出やすい、身体ともあわせやすい、とても使い道の多い技です。
ゆっくり動かして使うことが多いですが、ターンと組み合わせてアクセントとして早く動かして使うこともあります。
振り子自体も、テールでの見せ方もまだ可能性が多そうです。
・セイム方向とオポジット方向について
基本的にセイム方向はクリーンでスムーズな見た目に、オポジット方向は複雑な見た目になりやすいです。
複雑になると密度高く見える傾向が強いので、オポジットの方が密度を上げやすい場合が多いように感じます。
セイムは同じ軌道を二つのポイが追って描くようになることが多いので、軌道を印象的に見せることができるように感じます。
オポジットは基本的に難しいので、身体の動きに集中したい場合はセイムを使うことが多いです。
【トス】
意外とできますが、コンタクトポイでやる場合と比べて自由度は落ちますし、テールが絡まるリスクが増えます。
ヘッドを持ってトスする場合はオーガンジーだとテールが手に絡まるわ紐に絡まるわでやってられません。
またヘッドの重さの関係で太い紐や大きなハンドルを使いづらく、紐の回転や手から離れている様があまり見えません。
しかし、テールでわざわざトスをするメリットも多いです。
手から離れている時と手で持って回している時とでテールの動きに違いが出ます。また、ポイはゆっくりまわっているのに手の動きは忙しいという他の動きであまりない見た目になります。
・ノービートトス
手から離れているときにテールがバラけます。
テールが絡みづらいので、テールでトスをするときは基本これを使うことになります。
ウォール面でセイム方向のスプリットタイム(実際は少しずれますが)で同軌道上でポイを回し続けることはスイングでは不可能ですが、ノービートトスならできます。
ボディースローするか、スイングのアクセントに入れる、もしくはループのパターンが欲しいときに使うことがあります。
・シングルスピントス
ハイトスしなければテールがストールと同じ動きをします。ハイトスするとポイの後についていきます。
テールだと紐が見えづらく絡まる可能性があるので、普通の高さでこのトスをする意味はあまりありませんが。ハイトスをしようとすると、テールの空気抵抗でダブル以上になりづらいため、シングルスピンになります。
ハイトスはリスクが高いですがポイの他の技と違う、高さを使った表現ができ、技の幅も広がります。
なるべく安定してできるようにしたいです。
・アンチスピントス
テールでやると紐が見えづらく絡まる可能性があり、それ以上のメリットがあまりないのでほとんど考慮に入れたことがないです。
・フラットトス
トス中心のシーケンスを作りたいときにストールかフロートの代わりに使うことが多いです。
【ワンハンド】
片手で持つことで見た目の印象が変わること、片手が空くことで空いた手を使った表現ができることが利点です。テールでも、やるのに支障のある技がないため技の幅が狭いテールポイでは重宝します。
・ワンハンドウィーブ
・ワンハンドバタフライ
・ワンハンドメルセデス
・ワンハンドコークスクリュー
・ワンハンド振り子
・ワンハンド1.5ビートウィーブ
ワンハンドでやると、両手でやるのと比べてトリッキーに見えると感じます。
片手が空いていると物足りない感がなんとなく出るので、ワンハンドと両手を行き来することが多いです。
空いたほうの手でポイのヘッドを持って制御すると格好良いので、研究中です。
・スーパーマン
アトミックなので、テールでよく映えます。
ラップも身体に巻きつけている感が出て、綺麗に見えることが多いです。3ポイでの基本技となりますが2ポイでも十分使えると思います。
・ファンタスティックフォー
僕ができないのでわかりません。
・エックスメン
3ポイよりもワンハンドの2ポイでやると真価を発揮する技だと思っています。両手に1本ずつで同じ動きをするとなんとなくチープなところをワンハンドでやると綺麗に見え、3ポイだと見た目が重くなるので2ポイがちょうど良いです。
身体が邪魔になるからか、ホリゾンタル面のオポジット方向のスイングがほとんど開拓されていなく、ラップし続けるエックスメンがその答えのような気がします。
他の技と違う見た目の印象になるので、メリハリがつき、ホリゾンタル面の技なのでテールとの相性も良いです。
基本状態よりも他の技との連携や発展系の動きで綺麗に見せられます。
・ワンハンドサテライト
こちらも3ポイよりもワンハンドの2ポイでやると真価を発揮する技だと思っています。エックスメンと同じく、両手に1本ずつで同じ動きをするとチープなところをワンハンドでやると綺麗に見える技で、片手が真上に上がった状態でポイを回す体勢も、軌道が十字に立体に見えることも美しいです。
アトミックなのでテールでより綺麗に見え、個人的にはライトでのクローバーのような位置で使うことが多いです。
ターンやトスなど発展は色々とありますが、基本形が一番綺麗だと思います。
個人的にはテールのパフォーマンスのときに盛り上げることができたり、はじめて見たときに感動した技なので思い入れが深いです。
・クリプトナイト
小指側のポイが三角形にプレーンチェンジするような変わった軌道を描きます。ライトなどだと軌道が乱れているようにも見えますが、テールだと元々の軌道のノイズも相まって気にならず、見える面積が途中で変わるので見映えが良いと思います。
【3ポイ】
ほとんどワンハンドとスイング要素の組み合わせになるので、個別の技については割愛します。
3ポイになると常に密度が高くなって、人の目で追いづらい情報量になります。
そのため、ずっと見た目が複雑な状態が続く、というようになりテールでなくてもメリハリがなくなります。テールだと道具の物質的な面積が大きいので、よりメリハリがなくなると思います。
すごそうに見えたり、より華やかに見えるのでインパクトは大きいのですが、長くやりすぎないとかメリハリをつける工夫をするなどが必要だと思います。
見せ方、技術あわせて研究中です。
【マニポイ】
分類がここでいいのか怪しいものが多いです…
オーガンジーポイだと、ヘッドを掴んでノブを回す技をやるとほとんど絡まります。また、紐が見えづらいので紐を活かす技が見映えしません。
・ロール
・フィッシュテール
無理やりできますが、テールのせいで転がしづらいわテールは絡まるわヘッドの回転は止まるわでいいことがありません。
テールを掴んでしまえばこれらの問題は解決できますが、せっかくのオーガンジーポイの浮遊感を消してまでやりたいかというと…
・タングラー
僕ができないのでわかりません。
・エアラップ
できますが、あまり使いません。
・オービタル
一瞬できますが、紐がからまって復帰不可能になります。
最後にやる使い方はできそうですが、どうだろうなーといった感じです。
・ネガティブスペース
可能性はありますが、うまく使いこなせていません。
ネガティブスペースを作るときにテールが身体に張り付くと見映えが悪いことが多いため、テールを隠すように作るのが良いと思います。
・ガンスリンガー
十分できますが、テールが目立つのに対して紐とノブがどうしても見えづらくなるため、ポイ自体の工夫が必要だと思います。
ただ、それさえ上手くいけば綺麗に見せられる可能性があると思います。
・フック
紐でキャッチする方のポイのテールが遊んでしまうので、テールがノイズにしかなりません。そこをクリアしてそっちのテールも制御できれば良いのですが、かなり難しいと思います。
・手以外ではさむ
可能性は多いと思います。挟む部位によっては体勢含めて綺麗に見せられるのではないかと思いますので、研究の余地は多いです。
【その他の技術】
・グリップテール
テールを掴む系統のようです。
テールポイでしかできない技が増えて、見せ幅が広がるので有効に使えそうに思えます。
カイト生地のテールや、スカーフポイなど幅広いテールのポイなら良いと思うのですが、オーガンジーポイだとテールが破れそうでやることが怖いことと、テールを掴むことでふんわり軽やかな感じが消えてしまうので相性はよくないと思いやっていません。
・ヘッドを持って振る
オーガンジーポイで特に映える特有の動きだと思っています。
早く振って急に止めると、テールが大きくバラけてふんわりと落ち、ゆっくりと振るとテールがふんわりと動きます。
また、持ったまま踊るだけでもテールが綺麗に動きます。
基本的に下⇒上と振ってテールよりやや早く手を下ろすか、横に振って手を止めると綺麗にテールが動きます。
簡単で綺麗でメリハリがつくのでよく使いますが、ヘッドを掴む必要があるのでスイングから繋げるやり方が少なく、演技の導入か終わりか一旦止まった区切り部分でしか使えないことが多いです。
・ハンドルを持ったままヘッドをキャッチする
意外と難しく失敗リスクの高い動きです。
ポイの勢いを緩めてキャッチするパターンと、ストールから紐を引いてキャッチするパターンがいまのところ考えられます。
ヘッドを持って振る動きに繋げる為に必要なので、バリエーションを増やせればより良いシーケンスを作れると思います。要研究です。
・ヘッドを離してスイングに入る
ヘッドを持って振る動きからスイングに繋げるために必要ですが、スムーズに綺麗に繋がるパターンを探すのが難しく、バリエーションが多くありません。もう少し研究したいところです。
【最後に】
書いてみたら、オーガンジーポイの扱い方というより、僕の主観での各技の感想みたいな感じになりました。。。
概ね、単調にならないようにメリハリ・変化をつける、そのために各技術の役割を考えて組み合わせを調整する。
というようなことを意識していることが多いようです。
次回は、オーガンジーポイの扱い方【メンテナンス編】の予定です。