伝統文化×テクノロジーによるパラダイムシフト【伝統文化】
日刊【書くメシU30's】マガジン木曜日担当のgataです。
伝統文化に触れる
「伝統文化をどれだけ大事にしているか」に関しては、育ってきた環境に物凄く影響されると思っています。特に、両親や祖父母がどこまで伝統文化を大事にしているかによって、変わってくるのかなと。
実際、私の家では節分に恵方巻きを食べたり、年の数だけ豆を食べていたりしましたが、中学生になってからは節分をはじめ、このような伝統文化にあまり触れてこなかったような気がします。
教育方針が「自分で考えて行動する」だったので〇〇をしなければならない。というルールがなく、塾や部活のため家族で過ごすことも減っていたのもありますが、反抗期になるタイミングで一切触れなくなったと記憶しています。
それから約10年。全く伝統文化に触れてこなかった私ですが、23歳の結婚を機に、再度伝統文化について触れるようになりました。
というのも、私の奥さんは行事という行事は全て行ってきたタイプの人で、結婚後(私が仕事以外に私が興味を持たないため)、基本的にライフスタイルについては奥さんの考え方が採用されているからです。
今年も正月には三社参りに行きましたし、1月7日は七草粥も食べて、2月3日の節分には豆まきが行われ恵方巻きを食べることになっています。
このように、伝統文化というのは育ってきた環境によって、奥さんのように大事にする人もいれば、私のように触れなくなっていく人もいるわけです。
しかし、様々なテクノロジーが私たちの生活を変えていくにつれて、この伝統文化にパラダイムシフトが起こっていると感じています。
そこで伝統文化に対する「目的」と「手段」という切り口で伝統文化のパラダイムシフトについて考えていきます。
伝統文化に対して
▪️目的も手段も変わらないもの
▪️目的は同じだけど手段が変わったもの
▪️目的そのものが変化しつつあるもの
▪️目的も手段も変わらないもの
・初詣
目的:新年の無事と平安を祈願したり、御神籤を引き運勢を占う
手段:神社に実際に訪問する
友達と遊ぶために行くという人もいるかもしれませんが、神社に初詣に行って祈願をせず、御神籤も引かないという人は少ないのではないでしょうか。手段も必ず神社に行って祈願をしているかと思いますので、目的も手段も変わらないものにカテゴライズします。技術が発展しても昔から全く変わっていない仕組みになります。
▪️目的は同じで手段が変わったもの
・年賀状
目的:新年を祝う言葉(明けましておめでとうございます)と、「今年も宜しくお願いします」という挨拶をする
手段:紙の年賀状、電子年賀状、LINEのスタンプ
このマガジンを運営しているU30'sのオンライン新年会(ZOOMで開催)でも話が出たのですが、年賀状の送り方って私たちがまだ10代だった頃と比較して劇的に変わったのではないでしょうか。
新年の挨拶という目的は変わっていないですが、手段は時代と共に変化しています。スマホで簡単に画像作成できるようになったことで、電子年賀状を送る人もいれば、LINEが普及したことでスタンプを押す人も多いです。
私もそうですが、例外として、この類(年賀状やLINE)の新年の挨拶は一切しないという人もいます。私が勤めている会社も、上司や役員への年賀状は数年前に完全に廃止になっており、新年最初の出社日に会った時こそ直接新年の挨拶をしていますが、年賀状やLINE、SNSでは、誰にも送っていません。
このように新年の挨拶という目的は変わりませんが、ITツールの普及により「紙の年賀状」を送るという行動自体は変化(多様化)しています。
▪️目的そのものが変化しつつあるもの
・節分の豆まき
私は子供が2人いるため、毎年豆まきをしているのですが、2月3日が節分の日だからということで何となくやっており、なぜ豆まきをするようになったかまでは知りませんでした。調べてみて由来を初めて知ったため、詳しく説明してあった記事を引用します。
<なぜ豆まきをするのか?>
季節の変わり目は邪気が入ってきやすい時期と言われています。節分には炒った大豆をまきますが、これは大豆に邪気(=鬼)を追い払う力が宿っていると信じられていたから。神事によく使われる五穀にも大豆は含まれます。
また、豆は「魔(鬼)の目に投げつける」ことで鬼(魔)を滅する力を持っているとも考えられていました。大豆をわざわざ炒るのにも、「鬼を射(い)る」という意味が込められています。これらの理由から、節分という邪気が入りやすい大晦日に、新年の幸福を祈り、邪気を払う意味を込めて豆をまく風習が現在の豆まきとなったわけです。
引用元:トクバイニュース
一言で表すと、「邪気を払うため」だと思いますが、大豆に邪気を追い払う力があるとか、大豆を炒るのは鬼を射るという意味があるなど、奥が深いようです。
もちろん、「鬼は外!」と言っているので「邪気を払う」というのはほとんどの人が理解している思いますが、本当に邪気を払いたくて豆まきを行なっている人っているのかな?と疑問に感じています。
ちなみに去年の私はこんな感じで、鬼(息子)に豆を投げられたり、追いかけられていましたが、完全に豆まきの思い出や豆まきをすること自体が目的になっていました。鬼に豆を投げられるという時点で目的から外れています。。。
そして撮影した写真をしっかりとInstagramに投稿していました。笑
何が言いたいかと言うと、SNSに投稿するために豆まきや行事をしている人が増えている。ということですね。
実際にInstagramで「節分」と検索すると72万件以上の投稿がされています。SNS上で自己実現、承認欲求を晴らすために投稿するというのもやはりスマートフォンが普及したからこそだと常々感じます。
このように、変わらないものも多々ありますが、技術の発展と共に伝統文化との関わり方も変化してきました。
▪️今後起こりうるパラダイムシフト
・伝統文化×IT技術による変化
今、テクノロジーの進化により私たちの周りでは様々な変化が起きており、X-Techと言われる【〇〇×テクノロジー】という言葉も普及してきました。例えば、下記のような言葉は最近よく聞くのではないでしょうか。
▪️金融(Finance)×テクノロジー=フィンテック(FinTech)
▪️健康(HealthTech)×テクノロジー=ヘルステック(HealthTech)
▪️農業(AgriTech)×テクノロジー=アグリテック(AgriTech)
これらのX-Techの流れを受け、今後は、伝統文化(Traditional Culture)×テクノロジー(Technology)という組み合わせも出てくるのではないかと思います。
例えば、「伝統行事」に関わりが深い神社で面白いプロモーションをしているところがあります。
紅葉八幡宮
福岡県早良区にある「紅葉八幡宮」という神社です。私もプロモーションに携わっているのですが、この神社ではAR(拡張現実)やプロジェクションマッピング、オリジナルアプリなど様々なテクノロジーを積極的に導入され、新規顧客や顧客のリピーター集客を行なっています。
御朱印AR
プロジェクションマッピング
神社に初めて来る時は、プロジェクションマッピングやARで注目されているという理由で来宮する人も少なくないかもしれませんが、結果的に神社の良さを認識してもらったり、来宮される方を飽きさせない新しい仕掛けに挑戦することで、記憶に残り、安産祈願、七五三、そして初詣などそれぞれのタッチポイントで来宮してもらえるようになります。
このように、一見、目的がずれている(プロジェクションマッピングが見たいから来宮する)ように見えるプロモーションでも、結果的に祈願をしてくれたりと、目的を果たしてくれるようになっています。
時代と共にテクノロジーが発達し、今後はもしかするとVRで初詣に行き、自宅に居ながら祈願をする時代になるかもしれませんし、高齢者など神社まで行きたくても行けない人には好きな場所で祈願したり、お賽銭できるようなサービスも出てくるかもしれません。
ARの技術を活用することで宮司が家に現れて、個別に祈願をしてくれる時代になるかもしれません。
伝統文化は変わっていないから良い部分もありますが、変わる部分があるからこそ、時代を超えて人々の記憶に残り続けるのでしょう。
サポートしていただいたら、すべて子供に還元させていただきます!