本に登場する『ざんこく事件』を実際に探してみた ②ヒキガエル、しめ殺し事件
「ざんこく事件」を解決すると、生きものの不思議な生存戦略が見えてくる——。
生きものの「ざんこく」を愛してやまないざんこく探偵(リス)とちょっとビビリな助手(クマ)が自然界の残酷事件を解決する本、『ざんこく探偵の生きもの事件簿』(絵・一日一種)。
ざんこく事件をこよなく愛する、ざんこく探偵(ニホンリス)。
ざんこく事件に隠された真実を暴きます。
ざんこく探偵の助手のタマ(ツキノワグマ)。
優しい心の持ち主で、ざんこく事件が苦手です。
「キノコバエ大量監禁事件」「アブラムシ、ゾンビ化事件」「イモリ、くし刺し事件」「カマキリ、入水自殺事件」などなど…………
実は、この本に出てくるざんこく事件は身近で見つけられる生きものを多く紹介しているのですが、本当にこんなざんこくな事件が、我々の身近で起こっているのでしょうか。
それを確かめるべく、刊行からおおよそ半年間、ざんこく事件を探してみましたので、実際に見つけることのできたものを紹介したいと思います。
悲しきカエルの事件
これは『ざんこく探偵の生きもの事件簿』のファイルナンバー2の事件、「ヒキガエル、しめ殺し事件」です。
しめ殺されたあとのあるヒキガエルの死体が見つかったシーンですが、これは、繁殖期にオスたちが自分の卵産んでもらおうとメスに抱きつこうとする激しい戦い『カエル合戦』のなかで、オスの力が強すぎてメスをしめ殺してしまったせいとのことです。
ヒキガエルといえば、都会の駅前でも見られる身近なカエルですが、まさかそのような悲しいざんこく事件を起こしているとは……信じられません。
半年ほど前の話になりますが、早速探してみましたので、その記録です。
都内の公園でカエル合戦現場を発見
春。冬の寒さが和らぎ、ヒキガエルの繁殖を探そうと近所の公園を散歩していると、池の中にヒキガエルたちがたくさんいるのを見つけました。
繁殖期のヒキガエル。上がオスで、下がメス。オスは立派な腕でメスを掴んで離しません。
卵もありました。長いヒモ状の卵。
ちょうどヒキガエルの繁殖期のピークのようで、あちこちでグッグッグ…という鳴き声が聞こえます。
そして見つかる死体
以下、カエルの死体が出てくるので閲覧注意です。
池の底に、白いものが見えました。
これはもしや、ヒキガエルの死体……?
よくみると、あちこちに死体がある。
しめ殺したような跡までは確認ができませんでしたが、本の通り、ヒキガエルの合戦現場で死体を見つけることができました。
やはりこれは、激しいカエル合戦の結果のざんこく事件……?
ざんこく探偵いわく、「池に集まるメスは数が少ないので、オスはメスを獲得するのが大変……」
ざんこくな事件ではありますが、繁殖をするのにも全力なヒキガエルの生き方が垣間見れたように思えます。
ヒキガエルは身近なカエルですので、ぜひ早春の池で、繁殖現場を見かけたらチェックしてみてください。
<過去記事リンク>
①『本に登場する『ざんこく事件』を実際に探してみた ①テントウムシ、パラサイト事件』