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岩⽯観察の5つのポイントとは?

好評発売中の『くらべてわかる岩石』(西本昌司・著)から、岩石観察を解説したページを公開します。

好評発売中です

『くらべてわかる岩石』 西本昌司=文 中村英史=写真  
 定価1870円(税込み)
日本で見られる主な岩石30種を、色や粒のサイズ、含まれる鉱物の違いなどの多様なバリエーションから解説します。精細な拡大写真で、含まれる鉱物や質感をわかりやすい! 同定のヒントとなる割った断面や風化した様子、水に濡らした様子なども掲載しているので、身近な石の観察におすすめです。

岩石はおにぎり?

そもそも岩石とはなんでしょうか。科学の世界では、鉱物の集合体のことを「岩石」と呼んでいます。それは、ごはん粒などの集合体を「おにぎり」と呼ぶようなものです。おにぎりはごはん粒をそのまま固めたものです
が、ごはん粒を潰して焼くと「せんべい」と呼びます。同じ材料でも調理方法が変われば、できる料理の呼び名も変わります。同じように岩石も、マグマがそのまま固まれば「火成岩」、崩れて固まれば「堆積岩」、さらに焼かれると「変成岩」というふうに呼び名が変わります。それぞれ、材料の種類によって細かく分類されているわけです。

岩石は鉱物の粒が集まってできているのですから、どんな鉱物がどのくらいの割合で混ざっているか、それらの粒がどんな風に集まっているかなどによって、見かけが変わります。鉱物の粒の集まり具合のことを、地質学では「組織(テクスチャ)」といいます。ですから、岩石を観察するときは、鉱物の種類や割合、粒度(サイズ)、組織などに注目して観察すると良いでしょう。

Point 1
岩⽯が⾒つかる場所へ⾏こう

⾝近に岩⽯を観察できるのが川原。⽯はその川の上流にある⼭から流れてくるため、⼭の成り⽴ちによって、⾒つかる岩⽯の種類も異なります。また、海岸ではさまざまな川から流れ込んできた、多種多様な⽯を⾒つけることができます。たくさんの岩石を観察して目を慣らしましょう。

ただし、これらの⽯はもともとどこに露出していたかが分からないので、地質調査では露頭で採取した岩石を詳しく調べます。

都市の川原

Point 2
まずは粒と模様を観察しよう

まず、鉱物の粒を探しましょう。粒が見えれば、どんな鉱物でできているのか調べます。また、どんな模様をしているでしょうか。岩石の模様は、構成鉱物の割合、粒度(サイズ)、組織(粒の集まり具合)などを反映しています。

鉱物の粒がはっきり分かる

花崗岩(火成岩)

細かな粒が集まっている

砂岩(堆積岩)

粒が並んでできた縞模様が見える

片麻岩(変成岩)

Point 3
岩⽯は“グラデーション”だと知ろう

岩⽯は含まれる鉱物の種類や割合によって名前が付けられています。このため、岩⽯は連続的に変化し、当然中間的な岩⽯も存在します。また、同じ種類の岩⽯でも、⾊や粒の⼤きさには幅があり、まったく異なる⾒た⽬をしている場合もあります。本書に掲載した、各岩⽯のバリエーションをヒントにして、岩⽯を観察してみましょう。

アルカリ長石の色が 違うだけで、 どちらも花崗岩

Point 4
濡らしてみよう

河原や海岸で拾った⽯は、細かい傷ができていて粒や模様が分かりにくいことも。そんな時は水で濡らしてみましょう。乾いている時よりも、粒
や模様(組織)の観察がしやすくなります。



濡らすと表面の色や組織が観察しやすく なる

Point 5
割ってみたり、ひっかいてみよう

岩石の表面は風化していることが多いので、ハンマーで割って内部を観察します。また、釘やハンマーでひっかいたときに傷がつくかどうかは硬さの指標となります。ハンマーで叩いた時の音や感触、割れ方なども岩石を区別する手がかりになります。ハンマーは平らな面を使います。

泥岩は容易に傷がついた
チャートはとても硬く、簡単には割れない


いかがでしたか? どれもおなじみ見える石も、この5つのポイントを意識して観察すれば、石の種類がわかるかもしれません! 詳しくは以下の書籍をご覧ください。夏休みに、川や海で石を拾って調べてみるのはいかがでしょうか?