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2025年2月18日(火)山本巧次・井原忠政・トイレと鉄道


 久しぶりに予定がなく、やよい軒で夕食を取って帰宅。寒いので季節限定の鍋にするつもりだったのだが終わっていて、肉野菜炒め定食。「大盛り」はなくなったし、普通のも量が減った気がしなくもない。まあ、仕方ないな。

 ここ数日で読了した本について簡単に。

山本巧次『開化鉄道探偵』(創元推理文庫)

 鉄道会社の社員だったという山本巧次は、現時点では鉄道が題材のものだけを読んでいる。
 舞台は明治初期で、初めて日本人だけで掘られた鉄道トンネルである逢坂山隧道の工事現場が舞台。工事の妨害や、それに絡む殺人事件の謎を、鉄道局長井上勝に命じられた鉄道局員小野寺と、元八丁堀草壁が解く話。まあ、解くのは草壁ですが。
 明治の鉄道は好きで、鉄道記念物になっている逢坂山隧道の東口(小説の舞台である西口は既にない)を見に行ったこともあるので、当時の鉄道の様子を想像しながら、興味深く読めた。犯人が誰かや動機よりも、描写を楽しんでいたかもしれない。

井原忠政『夫婦道中 うつけ屋敷の旗本大家 三』(幻冬舎時代小説文庫)

 『三河雑兵心得』も『北近江合戦心得』も主人公の考えや、周囲の人との会話が楽しいが、その部分がより強調されているのが『うつけ屋敷の旗本大家』。この巻も、その特徴が遺憾なく発揮されている。
 主人公大矢小太郎も、勝手なものを含めた苦労の甲斐あって、幸せになる方向に進むのやらどうやら。それはよいとしても、中村円之助の怪我は、出てくるたびに自分の股間を押さえたくなった。こちらも快癒で何より。

鼠入昌史『トイレと鉄道』(交通新聞社新書)

 「撮り鉄」とか「乗り鉄」とか、「○○鉄」という言葉が一般化して久しいぐらい、鉄道趣味というのは幅広い。いくら幅広いといっても、「トイレ鉄」「便所鉄」まではどうかとも思うが、趣味誌である『鉄道ピクトリアル』で2度も特集が組まれたことがあるぐらいなので、世に何人かはいるのだろう。ちなみに1998年2月号と2011年6月号です。
 で、この『トイレと鉄道』だが、鉄道車両に便所がなかった時代の出来事から、初期の便所、それぞれの時代の人達の便所に対する考え方や、それを反映した鉄道の便所について、新聞や雑誌等に幅広く当たって記述されており、興味深い内容が多い。ただ、題材が題材なので仕方がないとは言え、「ウンコ」の文字を散りばめすぎではないかと思う。おもしろいのはおもしろいのだが、ちょっと途中で読むのをやめたくなった。
 あと、著者は1981年生まれで、私との世代の違いから来るものではあるのだが、「以前、列車の中のトイレは銀色に輝くステンレス製がほとんどだった」には違和感があるし(私にとっての「以前」は陶器製の白)、3等級・2等級時代についても「グリーン車」と書かれているのは気になった。


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