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モーツァルト!を観た。

東宝が音盤を配信してくれないおかげで、ドイツ語で「僕こそミュージック!」を聴かねばならない。なかなかの修行。


古川雄大のヲタクとして、1人の人間として、この時期に本当にありがたいものを魅せてもらった…という感想に尽きる。

個人的に古川雄大の好きなところは、
あの完璧なビジュアルと抜群の歌声を持ってしても、なんとなく"完全無欠"になれないところである。
一方で今季のモーツァルト!は、古川の"不完全性"が彼の描くモーツァルトとうまくマッチしていて、隙がなかった。彼は、紛れもなくヴォルフガング・モーツァルトだった。

わたしは、ペンを心臓にさす直前に「僕こそミュージック」を息も絶え絶えに歌う場面がずっと忘れられない。

古川モーツァルトは、僕こそミュージック、の"ミュージック"まで歌いきらなかった。

言葉を発さない、あの数秒間。ただピアノだけが主旋律を鳴らす。
青年期、僕こそミュージック!と高らかに言い切ったのに。最期に言葉も発せない彼は、音楽のことをどう想っていたのだろう。
幼少期から狂ったように音楽と向き合い、時に大事な人を忘れるほど没頭した。天真爛漫に気分に任せて付き合って来たけれど、音楽で亡くしたものの方が圧倒的に多い。そんな音楽を憎んで、でも離れられなくて。

本当の最期に、モーツァルトは「自分」と「音楽」を切り離した。その瞬間の古川モーツァルトの顔は、どんな時よりも"生"を感じた。気がする。


あとお前何様だよ、という感じですが
古川が!このモーツァルトで!圧倒的に!!声量、声の太さ、演技力!めちゃくちゃ上がっている!!
いままでを100としたら!!!今回500くらいになってる!!なんで!!!なにをしたの古川雄大!!!!おしえて!!!!!!!!

ミュージカルというのは、正直観る側のタイミングと、演じる側のタイミングが合うのが一番難しいエンタメだと思う。
今回のモーツァルト!みたいに、作品によっては観る側の成熟度も必要だし、かといって演者も毎度パーフェクトを叩き出せるわけじゃない。

そういう意味では、わたしは自分の成熟度がある程度ある今に、古川雄大のモーツァルト!が観れて、本当にラッキーだと思う。
正直、6年前、3年前に観た時は???だらけだった。なんでモーツァルトこんなにお金を浪費しちゃう?なんでコンスタンツェこんなにダンス行っちゃう?なんでみんな話し合って人間関係良好にできない?なんでなんでなんで…

人間の難しさを少し学んだわたしと、そして古川雄大のモーツァルトが完成形に近づいたこの時期に、モーツァルト!を観劇できてよかった。ありがとう神よ。


余談ですが、涼風真世さんの男爵夫人がとてもギャルで可愛かった。

「あなたのことウィーンに連れていき(お友達や世間みんなに見せびらかし)たいのよ!」
「オペラも皇帝の前で演奏も全部やってみない?」

そりゃ、モーツァルトも即答で「しゅる〜〜〜!」だよね、わかるよ。



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