スプレッドシート×Googleフォームで生活カードをデジタル化!デジタルバッジの組み合わせでやる気が爆上がり!
2024年12月20日にバージョンアップした記事を公開し、データ配布はそちらから行っています。
バージョン2の記事は、こちらを読んでいただいた前提で書いていますので、先に現在の記事をお読みください。
みなさんの学校にそうじの時間がありますか?
児童・生徒が学校のそうじを担うことについては様々な意見があり、一部の学校ではそうじの日数を減らしたり、業者に外注したりするようになってきています。
一方で、子どもがそうじをする旧来のスタイルを維持している学校も多いです。
子どもがそうじを行うことには、教育的なメリットもある一方で、大半の子どもはそうじ=めんどくさい・嫌ととらえてしまいます。
今回は、そうじを筆頭に子どもにとってめんどくさいと感じる学校生活の諸々の活動を、デジタルの力を使うことで、少しでも前向きな気持ちで取り組めるようなしかけを紹介します。
(1)課題
実際のデータを紹介する前に、現状の課題を整理しておきたいと思います。
・やるべきことが不明確
そうじのやる気が続かない原因の一つが、やることが明確ではないという点です。
自分の担当する場所がきれいになっても、時間まではそうじをしなければならないという縛りがあったり、そうじ中には話してはいけないなどのルールがモチベーションを低下させています。
こういった課題を解決し、子どもたちが前向きにそうじに参加できるようにするには、そうじの時間に行うべきことを明確化し、子どもたちにはっきり伝えることがポイントになります。
・記録が継続しない
自身のそうじや生活の様子について、プリントやファイルに振り返りを記録させている学校もあると思いますが、多くの学校で一カ月もしないうちに子どもが飽きてしまい、形骸化してしまうのではないでしょうか。
子どもたちが自分の行動を振り返ることは、とても重要なことですが、そこでつけていく記録は教師が取り組みを把握するという側面が強くなりがちで、子どもたちのモチベーションにつながりにくいです。
子どもたちが記録を継続し、自らの行動を振り返るための仕掛けが必要となります。
(2)デジタルで解決する
前述した2つの課題を解決しつつ、子どもたちの生活の様子をできるだけ正確に把握し、今後の指導に生かせるように、記録カードのデジタル化を考えました。
記録をデジタル化することで、以下のメリットがあります。
・記録の自動計算
従来の方法では、児童・生徒が記録した内容を集計する場合、手動で集計する必要がありましたが、デジタル化することで、集計を自動化することができます。
これにより、集計にかかる手間が大幅に削減されるとともに、入力されたデータを分析することで、児童・生徒に対する指導や学級経営に生かしていくことが可能です。
・週・月・年ごとの合計
集計が自動化されることで、入力されたデータを見たい角度から見ることができるようになります。例えば、週・月・年などいろいろな角度からデータを表示することで、現在の自分の様子を客観的に把握することが可能です。
子どもが手書きした内容を、週・月・年の3つで集計して分析しようと思ったら、かなりの手間と労力が必要になりますが、デジタル化ができていれば、数式を用意しておくだけで自動的に処理されます。
・順位の自動表示
集計が自動化され、様々な角度からデータを見ることができるようになる一環として、そうじに対する振り返りを得点化して、クラス内での順位を表示させることも可能です。
こちらも、手動で集計を行っていたらとても手間のかかる作業ですが、デジタル化してしまえば、こういった処理もすぐにできてしまいます。
・振り返りデータとしての分析
そうじの振り返りの他に、生活面でのアンケートを合わせて回答させることで、子どもたちの生活の様子や心の状態を把握するための資料・データとして活用することもできます。
アンケートに回答することがルーティン化すれば、日々の回答が自動的に蓄積されていくので、グラフや表に整理して、客観的に分析することが可能になります。
得られたデータや傾向は、今後の指導や学級経営を改善するための貴重なデータとなります。
・デジタルバッジとの組み合わせ
これらのメリットにデジタルバッジを組み合わせて、一定の得点を超えた場合にデジタルバッジが表示されるように設定することで、子どもたちのモチベーションを高めることが可能です。
中学校であれば、子どもたちと一緒にデジタルバッジを作ってもいいでしょう。
教師が手書きの振り返りシートを見て、シールを貼るという手間がなくなりますし、子どもたちもフォームに回答後にすぐにフィードバックを得ることができ、モチベーションを維持しやすいです。
次に、各ファイルの役割と使い方について説明していきます。
(3)児童・生徒入力
まずは、児童・生徒が振り返りを入力するためのGoogleフォームを紹介します。
子どもたちが入力するのは主に
・アドレス
・そうじの振り返り
・生活の振り返り
3つです。
メールアドレスは、入力した児童・生徒を判別する使用し、そうじと生活の振り返りは、スプレッドシートで得点化する際のデータになります。
こちらのGoogleフォームで回答された内容は、下で紹介するスプレッドシートに出力させます。
(4)管理用
このスプレッドシートでは、子どもたちの回答を得点化し、子ども別に整理していきます。シートの構成は以下の通りです。
・今週
今週シートは、「フォームの回答 1」に集まってくる回答を、「データ処理」で使いやすい形に処理後、同じ週の記録のみを抽出して整理するためのシートです。
このシートのA2:Cセルに番号・名前・メールアドレスを入力すると、後述する「そうじ累計」・「生活累計」にも同様のデータが入力されます。
・そうじ累計
「データ処理」で使いやすい形に処理されたデータのうち、そうじに関する振り返りのみを抽出して整理するためのシートです。
・生活累計
「データ処理」で使いやすい形に処理されたデータのうち、生活に関する振り返りのみを抽出して整理するためのシートです。
・データ処理
「フォームの回答 1」に集まってくる回答を、他のシートで使いやすい形に処理するシートです。
・フォームの回答 1
子どもがGoogleフォームに入力した内容が出力されるシートです。
このスプレッドシートの「今週」・「そうじ累計」・「生活累計」の各シートから必要な情報を読み取り、得点に応じてデジタルバッジを表示します。
(5)子ども用(原本)
このスプレッドシートでは、子どもたちの得点とデジタルバッジが表示されます。このファイルは、子ども1人につき1つ作成し、閲覧権限で子どもと共有します。
シートの構成は以下の通りです。
・子ども用
「子ども用」は、子どもたちが自分の得点と獲得したデジタルバッジを確認する際に使用するシートです。子どもは閲覧権限で共有しているので、自分のシートを見ることしかできません。
一定の得点を超えると、下のバッジコレクションにデジタルバッジが表示されます。
デジタルバッジが表示される得点は、「子ども用」のK:M列に隠してあります。
・バッジ管理
「バッジ管理」は、得点によって表示されるデジタルバッジを管理するためのシートです。
教師用のファイルのみこのシートがあるのが理想ですが、他のファイルから画像を参照することはできないので、子ども1人1人のファイルに「バッジ管理」シートを作成し、非表示にしています。
ここのバッジが、「子ども用」のバッジコレクションに表示されます。
バッジを一つ一つ読み込むのが大変な場合は、E列にあるボタンを押すことで、GASを使って一気に画像を読み込むことができます。
※詳しいやり方は(7)で後述
(6)データ配付
データの配付は、Googleフォームを使って行っています。
興味のある方は、上の記事をよく読んでいただき、記事内のGoogleフォームからお問い合わせください。
(7)設定
上の問い合わせフォームからデータの問い合わせを行うと、今回の記事で紹介したスプレッドシートへのリンクが送られてきます。
その後、以下の手順でデータを使用できる状態にしていきます。
① 各ファイルのコピーを作成
② 管理用と子ども用(原本)のスプレッドシートをリンク
③ デジタルバッジを用意
④ 子ども分のスプレッドシートを作成して、権限設定
① 各ファイルのコピーを作成
メールで送ったリンクをクリックすると、それぞれの以下の画面が表示されます。
画面上の「コピーを作成」をクリックしてマイドライブにコピーを作成します。
コピーが無事に作成されると、マイドライブに以下の3種類のファイルが作成されます。
作成したスプレッドシートのコピーとGoogleフォームのコピーはリンクしているように見えますが、回答してもデータが反映されない場合があります。その場合は、以下の方法で対処してください。
まずは、「管理用」のスプレッドシートを開き、上の「アクセスを許可」をクリックします。
次に、「フォームの回答 1」を選択して、Googleフォームとの連携を解除します。
Googleフォームとの連携を一度解除した後、Googleフォームを開いて再度「管理用」とリンクさせます。
すると「管理用」に「フォームの回答 2」というシートが追加されます。
現在の関数は、「フォームの回答 1」を参照する設定になっているので、置換を使って修正します。
「フォームの回答 1」を削除したら、「フォームの回答 2」の名前を「フォームの回答 1」に変更して、置換で数式内の「フォームの回答 1」を「フォームの回答 1」に置換しておきます。
② 管理用と子ども用(原本)のスプレッドシートをリンク
ファイルの準備ができたら、次はファイル同士を連携させていきます。
まずは、管理用のURLをコピーして、子ども用(原本)の「バッジ管理」A1セルに入力します。
③ デジタルバッジを用意
次にデジタルバッジを用意します。
Copilotなどの生成AIを使えば、オリジナルのデジタルバッジを作成することができます。
画像データとしてデジタルバッジを用意したら、子ども用(原本)のファイルと同じ階層のフォルダにアップロードします。画像をアップロードしたら、GASを使って画像を読み込みます。
GASのボタンを押す前に、デジタルバッジをアップロード→全て選択→共有→共有とクリックして、共有権限を「リンクを知っている全員」に変更します。
共有権限を「リンクを知っている全員」にすることで、GASを使ってimage関数をセルに挿入した際に、画像を表示させることができるようになります。
画像と権限の準備ができたら、「画像読み込み」をクリックします。
このボタンをクリックすると、F2:Gの内容が全てクリアされ、現在開いている00 子ども用もとと同じ階層のフォルダに入っている全てのファイル名および画像ファイルがF2:Gに読み込まれます。
画像が読み込まれたら、F2:Fに「生活1」「そうじ1」などデジタルバッジとしてのファイル名を入力してください。
F2:Fの名前に応じて、B:D列にデジタルバッジが読み込まれます。
また、以降の作業に備えて、「バッジ管理」シートのA1セルには、「管理用」ファイルのURLを入力しておきます。
④ 子ども分のスプレッドシートを作成して、権限設定
画像の読み込みができたら、次は子どもの数だけのスプレッドシートを用意します。
まずは、「バッジ管理」を非表示にします。
ファイル→コピーを作成でコピーを作成し、作成したファイルのA1セルに番号を入力、B1セルをクリックして「アクセスを許可」をクリックします。
コピーが作成できたら、次は子どもたちに閲覧者の権限で共有します。
ここまでのコピーの作成→アクセス許可→閲覧権限で共有するという作業を、子どもの数だけ繰り返します。
これが終わると、子どもたちは各自のマイドライブの共有アイテムからスプレッドシートを見ることが可能になります。
後は、子どもが回答するためのGoogleフォームへのリンクを子どもに伝えます。
・Google Classroomで共有する
・Googleサイトで共有する
・QRコードにして教室に掲示する
などの方法が考えられます。
ページをQRコード化するのは、簡単です。
子どもにGoogleフォームのリンクを共有できたら、毎日決まった時間に回答するようにルーティン化することが有効です。
バッジを集めたくて、行動が変化する子どもが出てくることが期待できます。
(8)まとめ
今回の記事では、デジタルバッジの活用で子どもが学校生活に前向きに取り組めるようにしていく方法について考えてきましたが、いかがだったでしょうか。
デジタルの力を活用することで、少ない労力で子どものモチベーションを上げ、維持することができれば、学校生活がより豊かなものになるのではないでしょうか。
今回の記事が、みなさんの参考になれば幸いです。
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