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全教科に対応したデジタル振り返りシート!スプレッドシートで学びを一元管理!

以前、noteで配付中のデータについて問い合わせをいただいた方に、今後ほしいと思うものを聞いたところ、

生徒の学習の振り返りシートのような、授業で学んだことを毎回メモしていけるような物で、教師的にも評価しやすいようなデータがあったらいいなと考えています。

問い合わせフォームより

授業のふりかえりスプレッドシートで、個人で書きためていくシートからクラス全体が一度に見えるシートにデータが自動で反映されるもの。

問い合わせフォームより

といった要望が寄せられました。

僕自身も同様の手間や煩雑さを感じていたため、今回はスプレッドシートとGASを使って、全教科に対応したデジタル振り返りシートを作成し、配付することにしました。

「授業で学習した内容を生徒がどの程度理解しているのか測るために、授業後に毎回振り返りを書かせているが、プリントの準備・回収・点検・評価が大変だなぁ」

とお悩みの先生や、学校の業務を少しでも楽にしたいと思っている先生は、ぜひ最後までご覧ください。

※記事の最後では、いつものようにテンプレートの配付も行う予定です。


(1)ファイル構成

今回のファイル構成

今回紹介するデータのしくみは上の画像の通りです。「教師用」と「生徒用」の2種類のファイルで構成されています。

この2つのファイルで目指す形は以下の通りです。

生徒が「生徒用」に振り返りを入力
教師が「教師用」に評価・コメントを入力→「生徒用」に反映

生徒が振り返りシートに入力した振り返りが、教師用のシートに即時に反映され、教師が入力したコメントや評価も、即時に生徒にフィードバックされます。

これにより、
・振り返りプリントの作成・印刷・配布・回収
・プリント点検後の再配布
・評価の転記

などの業務が不要になります。

また、生徒たちの学びの様子を素早く把握することで、生徒たちの関心が薄れる前に素早くフィードバックを行うことができます。

今回のデータは全ての教科・全ての授業で使えるベーシックなものになっているので、僕の専門である社会科以外の教科の先生にもぜひ使っていただければと思います。

気に入れば、校内で共有していただければとも思っています。

では、各ファイルの構成と役割を紹介します。

(2)教師用

① シート構成と役割

教師用は、
・生徒名やURLの管理
・生徒用ファイルの作成
・評価用シートの作成

を行うためのファイルです。

各種操作は、GASを使うことでなるべく簡単に行うことができるようになっています。

「教師用」の構成と役割

シートごとの役割と操作について説明していきます。

② ID

「ID」は、生徒の情報と評価内容を管理するためのシートです。

「ID」シートでは、生徒情報と評価を管理

生徒の振り返りに対して、教師が行った評価が蓄積され、AX列に合計・AY列に平均が、AZ列に評価が算出されます。

B:F列に必要情報を入力

使い始める際は、B:F列に必要な情報を入力してください。全校で共通シートを使えるように、枠を確保してあります。

また、「全学年を入力すると自分の担当する生徒の評価が見にくい!」といった声にも対応できるように、B1:C1セルで表示する学年クラスを絞り込むこともできます。

フィルター機能で絞り込み

評価はAY列の平均値が、「シート作成」F1:G4セルの設定値を超えているかどうかで判断しています。評価する値の基準を変更したい場合は、この値を変更してください。

「シート作成」F1:G4セルで基準設定

③ URL一覧

「URL一覧」は、Googleドライブの同じフォルダ階層内にある「生徒用」ファイルから、
・ファイル名
・生徒名
・ID
・URL

などの情報をGASで一括取得し、一覧化するためのシートです。

GASで情報を一括取得
「URL取得」をクリックするとクリックすると、情報を取得

取得した情報は、「生徒用」ファイルから記入した内容をIMPORTRANGE関数で参照する際に使用します。

④ 生徒用

「生徒用」は、生徒用のスプレッドシートを作成する際の元データとなるシートです。

「生徒用」シートは、生徒用のスプレッドシートのひな形

A1:C5セルには生徒の情報を、A7:F27には授業の振り返りが入力でき、教師からの評価、コメントが表示されるようになっています。

生徒は日付と振り返りを入力可能

⑤ シート作成

「シート作成」は、
・各授業で振り返りを書かせるためのテーマ・単元名の設定
・「教師用」ファイルで作成するシートの設定と作成
をするためのシートです。

各授業で振り返りを書かせるためのテーマ・単元名の設定

D22セルでは、単元名をD2:D21セルに各授業でのテーマを設定します。設定したテーマと単元名は、「生徒用」シートや後で説明する「生徒用」ファイルの特定セルと連携しています。

テーマと単元名が生徒用と連携

「教師用」ファイルに生徒たちの振り返りを読み込むためのシートも作成できます。

生徒が第1時の振り返りとして入力した内容が、教師用ファイルの「第1時」シートに読み込まれることになります。
※今回のファイルでは、生徒は1人につき1つのファイルが作成され、その中の1つのシートに入力を行いますが、「教師用」は授業時数ごとにシートを作成し、そこに生徒たちの振り返りを読み込む形になります。

第1時の振り返りは「第1時」のシートに表示される

シートの作成は、「シート作成」シートのB列にチェックが入っている授業時数分のシートをGASで作成し、名前を変更するという形で行います。
※同じ名前のシートがすでに存在していると、GASがうまく動作しないことがあるので、事前に不要なシートを削除してください

「シート削除」で不要シートの削除
「☑リセット」でチェックをリセット
「シート作成」で必要分のシートを作成

これで、生徒が各自のファイルで入力した内容を表示させるためのシートが完成します。

⑥ 第〇時

「第○時」シートは「シート作成」シートでGASを動作させた際に、各授業時数ごとに生徒の振り返りを集約するためのシート(第1時・第2時…など)を作成するもととなるシートです。

「第○時」

前述した「シート作成」シートでGASを使うと、このシートをもとに必要な授業時数分のシートが作成されます。

「ID」シートと同様、年・組でフィルターをかけて表示することも可能になっています。

(3)データ配付

データの配付は、Googleフォームを使って行っています。

興味のある方は、上の記事をよく読んでいただき、記事内のGoogleフォームからお問い合わせください。

(4)初期設定

ここからは、データ受け取り後の初期設定および使い方を説明します。

① スプレッドシートのコピーを作成する

メールでスプレッドシートのリンクを受け取ったら、「教師用」ファイルのコピーを、マイドライブに作成します。

「コピーを作成」をクリック

② 名簿を設定する

ファイルのコピーが作成できたら、次は「教師用」ファイルの「ID」シートで生徒の学年・組・番号・名前・アカウントの設定を行います。

「ID」シートで学年・組・番号・名前・アカウントの設定

③ 必要な授業時数分のシートを複製する

次は、「シート作成」シートの項目で説明したのと同じ操作で、
単元名と各授業のテーマおよび評価基準の設定
・振り返りを書かせたい授業時数分の「第○時」シートの作成
を行います。

単元名とテーマ、評価基準については「シート作成」シートの項目で説明していますので、ご確認ください。シートの複製についても同様です。

必要な授業時数にチェックを入れて、シート作成をクリックするとGASによってワンクリックで作業が完了します。

「シート作成」で必要分のシートを作成

なお、初めてGASを動作させる場合は、以下のメッセージが表示されますので、順に処理します。

OKをクリック
自分のアカウントを選択
詳細をクリック
振り返りシート(安全ではないページ)に移動をクリック
次へをクリック
許可をクリック
無事に第○時のシートが作成されました

④ GASを使って生徒用のファイルを作成する

次は、生徒1人1人が使用する生徒用のスプレッドシートを作成します。

「ID」シートを開き、スプレッドシートを作成したい生徒のG列をチェックします。

スプレッドシートを作成したい生徒のG列をチェック

全員のG列にチェックしたい場合は、「全員チェック☑」をクリックします。全員のG:H列のチェックを削除したい場合は「全チェック削除」をクリックします。

GASで全員のチェックボックスを一括処理可能

スプレッドシートを作りたい生徒にチェックができたら、次は「子ども用ファイル作成」をクリックします。
※作成するファイルの数によっては、時間がかかることがありますので気長にお待ちください。

「子ども用ファイル作成」をクリック
作成が済んだ分のH列がチェックされる
Googleドライブの同じフォルダ階層に生徒用のスプレッドシートが作成される

⑤ 生徒用ファイルを開いて、アクセス許可

④で作成した生徒用ファイルは、下の画像のような状態になっており、教師用ファイルと連携させるために、アクセス許可を行う必要があります。

アクセス許可が必要

残念ながら、アクセス許可はGASで処理することができないため、生徒用ファイルを一つずつ開いて処理していきます。

アクセス許可したいファイルを複数選択
アプリで開く→新しいタブで開く
選択したスプレッドシートが新しいタブで開く
生徒用のスプレッドシートから、教師用のスプレッドシートへのアクセス許可

これで、教師用のスプレッドシートに入力した内容が、生徒用のスプレッドシートに表示されるようになります。

⑥ 教師用でURLを取得

次は、教師用のスプレッドシートから生徒用のスプレッドシートを確認するための設定を行います。

「URL一覧」シートを開き、「URL取得」をクリックすることでGASが動作し、同じフォルダ階層内にあるファイルのURLを集約できます。

同じフォルダ階層内にあるファイルのURLを集約
ファイル名とURLが集約される

URLが集約されたら「第○時」を開き、生徒用のスプレッドシートへのアクセス許可を行います。

生徒用のスプレッドシートへのアクセス許可

これで、生徒が各授業で入力した内容が教師用のスプレッドシートに表示されるようになります。

⑦ 生徒用ファイルに保護をかける

生徒用スプレッドシートの編集権限を生徒用のアカウントに付与した後、生徒が日付と振り返り以外の場所を誤って削除したり、内容を書き換えてしまったりすると、内容を教師用に読み込めなくなる可能性があります。

それを防ぐために、生徒用スプレッドシートに対して日付と振り返りを入力する場所以外を編集できないようにGASを使って保護します。

「ID」シートの「子ども用ファイル保護」をクリック
生徒用のスプレッドシートの指定範囲を保護

保護をかけることで、スプレッドシートのオーナーである教員アカウントは編集できますが、後で編集権限を付与する生徒アカウントでは、指定範囲を編集できなくなります。

これにより、生徒が誤って操作してしまうことを予防することができます。

⑧ 生徒用ファイルを生徒と共有

⑦までの処理を行い、
・生徒用のファイル作成
・アクセス許可の処理
・指定範囲の保護

が終わったら、いよいよ生徒のアカウントに振り返り用のスプレッドシートを共有します。

この処理もGASを使って行います。

教師用のスプレッドシートで「ID」シートを開き、F列に生徒用のアカウントを入力しておきます。入力が終わったら、「子どもに編集権限付与」をクリックします。
※F列のアカウントを間違えると、外部に情報を共有してしまう可能性があるので、慎重に確認したうえで行ってください。操作ミスによって損害が発生した場合であっても、いかなる責任も負いません。

「ID」シートのF列に生徒用のアカウントを入力
入力後に、「子どもに編集権限付与」をクリック

GASを動作させると、I列に
・共有しました
・共有に失敗しました
・ファイルが見つかりません

という共有処理の結果が表示されます。

I列に共有処理の結果が表示される

それぞれ、
・共有しました→正しく編集権限が付与できた
・共有に失敗しました→F列のアカウントが違ったよ
・ファイルが見つかりません→同じフォルダ階層内にスプレッドシートがないよ
という意味です。

共有に成功したスプレッドシートで権限を見ると、以下のように編集者権限でユーザーが追加されています。

編集者権限でユーザーが追加されている

編集者で招待されたアカウントは、マイドライブ→共有アイテムから自分用の振り返りスプレッドシートを確認することができます。

マイドライブ→共有アイテムから自分用の振り返りスプレッドシートを確認できる

編集者として招待していますが、列ごとに保護されているので、日付と振り返り以外の列は入力することができません。

日付と振り返り以外の列は入力不可

以上でファイル関係の初期設定は終了です。

(5)授業での使い方

実際の授業では、
生徒が振り返りを入力 → 教師が評価 → 生徒用に表示
という流れで活用します。

授業が始まる前に、教師用スプレッドシートの「シート作成」シートで、各時間のテーマ(めあて)を設定しておきましょう。

各時間のテーマ(めあて)を設定
※適当でスミマセン

・生徒が振り返り入力

授業が終わったら、生徒に各自のスプレッドシートを開かせて、授業の振り返りを入力させます。

生徒に各自のスプレッドシートを開かせて、授業の振り返りを入力させる

・教師が評価

生徒の入力が終わったら、教師用のスプレッドシートで生徒の振り返りを確認し、評価とコメントを入力します。

教師用のスプレッドシートで生徒の振り返りを確認
生徒評価とコメントを入力

・生徒用に表示

入力された評価とコメントは、生徒のスプレッドシートに即時反映されます。

評価とコメントが、生徒のスプレッドシートに即時反映

・評価の蓄積

各時間の評価は、教師用スプレッドシートの「ID」シートに蓄積されていきます。

評価は教師用スプレッドシートの「ID」シートに蓄積

各時間の平均から、単元の評価を算出することが可能です。


以上が、実際の授業で活用する流れです。

(6)まとめ

今回の記事では、スプレッドシートを使うことで子どもの振り返りを効率的に収集し、素早くフィードバックを与える方法をまとめてきました。記事の内容は、いかがだったでしょうか。

デジタルの力を活用することで、少ない労力で子どものモチベーションを上げ、維持することができれば、学校生活がより豊かなものになるのではないかと思います。

ぜひ、各学校の現場に合わせてご活用いただければと思います。

今回の記事が、みなさんの参考になれば幸いです。

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