
山暮らしはじめます
それはセンダンの木から始まった
空港を見下ろす山の家は、
下界より5度涼しい。
春には至近距離でウグイスが鳴き、
わたる風は限りなく爽やか。
大好きな人を訪ねて何度も通った場所。
心を支えてくれていたその人は、
旦那の仕事でずーっと、アフリカ暮らし。
赴任前に合鍵を受け取り、
たまに風をいれに通っていた。
そして彼女は、
ようやく夫婦で日本に戻ったかと思えば
子ども達が住む遠くの町に暮らし、
分かった時は癌の末期で、闘病の末、12月の晴れた日に天に召された。
ぱんぱんにモノが詰め込まれた山の家を、ぼんっと残して。
気になって窓を開けに来た
コロナまっただなかの4月。
近所の田んぼの主から、
伸び放題のセンダンの木が
日陰を作って稲の育ちが悪くなると苦言をいただく。
この家の息子が
浪人中に植えに植えた木々は
ほったらかされ
順調に森を作っていたわけで…
センダンの木よ、悪戦苦闘の日々は君から始まったんだぜ。
#やまぐらし
#センダン
#魂が解放される場所