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遠山郷の暮らし その3~有害駆除見学で山を知る~

やまかんの遠山です!

みなさん、「有害駆除」って知ってますか??

日本には、鹿・猪・猿など人間の生活に被害をもたらすとされる動物を狩猟者が狩り、報酬を自治体からいただく「有害駆除」という制度があります。
「有害駆除」と「狩猟」は一年の中で行われている期間や制度・考えが異なりますが、山にいる動物を狩るという点は同じです。

今回は僕が見学させていただいた「有害駆除」についてご紹介します!

自分の目で見たい、とかねてから思っていた「有害駆除」!
なんとなくイメージはできますが、実態はどのようなものでしょうか?


流し猟見学

トラックに乗り込んで準備万端!
乗り込んだのは今回の体験を快く受けてくださった遠山郷の益山さん、その弟子でありやまかんメンバーでもある玄さん、僕と原。計4名で出発です!


ちなみに流し猟とは、

①林道をとにかく車で走る
②獲物を見つけたら車を降りて追う
③仕留める

といったシンプルなものです。

基本は車でのドライブの為、素人の僕らでも間近で見学できるだろうという益山さんの配慮です。ありがとうございます!


車を走らせる林道はというと、、、、
こんな感じ。

(写真はこの時の場所ではないですが、道の状態はこんな感じ。)

地元民ですが、通ったことのないような山道をグイグイ登って行きます!


道の道中では、木の切り出しの現場に遭遇したり、

土台を木で組んで一人で黙々と作業されていました。
なんとも迫力ある現場です!


あとは、鹿による獣害の現場も見る事ができました。

鹿木の皮が食べられてしまうと木は立枯れし、山から木が少なくなってしまうそうです。木が減少した山では災害の被害に遭いやすくなってしまいます。
獣害って畑の野菜を荒らされるだけじゃないんですね。


車内では益山さんとの話も盛り上がりました。

 〇楽しく遠山郷で生きる一つの方法が狩猟になっていること。

 〇一方で、狩猟者が山を守る最後の砦であること。

 〇動物と人間の生活圏の重なりあいの理由

 〇若い狩猟者の育成や狩猟者の6次産業化の未来の話

などなど色々な話を聞くことができました。


そんな話の中で、
「玄さんの狩猟に付いて行くと獲物遭遇率が高い」と話した瞬間でした!


益山さん「あ、いたぞ!!」


僕らには何も見えません。
来た道を少しバックする車。
サイドブレーキを引き、降りる益山さん。

玄さんが片耳を手で塞いでいるのを見て慌てて耳を抑える二人。



「ヴァーン!!!」



衝撃的な音が山に響きました。

窓からそろりと山の方を見ると、5頭くらいの鹿がものすごい勢いで走って逃げるのが見えました。

やったのか、、、?


弾は見事命中!
なんと!獲れました!!


突然の出来事で何が何やら分かりませんでしたが、

 ・撃つ前の緊迫した雰囲気
 ・予想以上に大きな銃声
 ・仕留めた後の場の熱量


とにかく興奮していました。心臓ドッキドキです。


仕留められた鹿を見て、起きた出来事を少しだけ冷静に把握できました。
流し猟はこれで終了。獲った鹿は後で捌きます。


巻狩り見学

次に、益山さん達がいつも行う「巻狩り」を見せていただきました。

ここで猟師仲間の近藤さん、そしてやまかんメンバーの高橋が合流しました!ここからの巻狩りは、やまかんメンバー(高橋・原・遠山)は自前の車に乗り、お借りした無線機の声を聞きながら遠巻きに見学させて頂きました。

さあ出発!


今回の巻狩りでは、

①発信機を付けた猟犬3頭に鹿を追わせる
②発信機の位置を辿りながら鹿が追われて来そうな位置に猟師が移動
③仕留める

といった方法で狩りを行いました。


まず驚いたのは、猟犬が単独で獲物を追っていくこと。
猟師にとって如何に猟犬が大事な存在であるか、目の当たりにした場面でした。

次に驚いたのが、猟犬と猟師たちの移動距離です。
今回の巻狩りは人数が少ないため、猟師も動くという話を聞いてはいましたが、予想以上の動きでした。

鹿を追って猟犬は、山を幾つも越えます。そのGPS情報を追って猟師の皆さんも車で移動していきます!

慌てて僕らも無線から聞こえる地名を追いながら車を走らせました。

残念ながらこちらの猟では、獲物を仕留めることは出来ませんでしたが、普段の猟の様子が無線から伝わってきました!


そして、解体へ

仕留めた鹿は勿論捌きます。
有害駆除とはいえ、1頭の動物の命を頂いたのです。

猟師の方々は、丁寧に無駄なく、捌いていきます。
猟師の益山さんからは「可哀想と思うんじゃないよ」と言われました。

生きているものを殺して、それを食すことで人間も動物も生きています。
当たり前のことです。その当たり前なはずの光景が僕らにとっては衝撃的でした。

実は、見る前はグロテスクな場面に自分が耐えられるかどうかを心配していました。でも実際は、見た目よりもその捌く過程の意味こそが衝撃でした。
見た目でいえば、焼肉屋で見る生の肉と変わりません。
鹿も牛も、たぶん人間も中身は同じなんだと思います。


その同じ生き物の命を頂いている、この実感が衝撃でした。


その実感を確かめるように、思わず僕は捌かれた鹿の顔を触ってみました。
少し前まで生きていたんです。当然「ぷにっ」としていて柔らかいんです。
あぁ、ほんとに生き物の命を頂くのはこういうことなのかな、と。


「生きる」、その答えが今回の体験にありました。


最後に


今回の体験は遠山郷の狩猟者の方々の多大なる協力のおかげで成り立っています。お忙しい中、僕らの見学したいという申し出に快く協力して頂いた益山さんと猟師仲間の方には心より感謝しています。

本当に素晴らしい体験でした。

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