うそんこ地学事典 8. 鍾乳洞
しょうにゅうどう:石灰岩が地表付近に広がっている場所では、空から二酸化炭素が溶け込んだ雨が降り注ぎ、その影響で石灰岩の一部が溶かされる。溶けた場所はドリーネという小さな穴になる。この穴からどんどん雨水が染みこみ、地下に流れ込むことで、地下に川の流れができてゆく。「川の流れのように、ゆるやかに、いくつも時代が過ぎる」と、地下の川は周りの石灰岩を溶かして、洞窟を作る。この洞窟へ向かって、石灰岩の成分を溶かした水が流れ込むと、洞窟の天井からポタッ、ポタッと雫が落ちてくる。この雫が落ちてくると、洞窟の壁や天井、床などに、ニョキニョキっと白い塊が出てくる。この白い塊は、ある程度の大きさになると、洞窟の精に命を吹き込まれ、歩きだすようになる。この白い塊は、まだ人間だった頃の、悲しさ切なさを抱えており、急に歌いだす。「生きることは、旅すること、終わりのない この道。愛する人、そばに連れて、夢探しながら。。。」 このようにすっかりうちひしがれ、悲しみに包まれたこの白い塊は、頭が丸く、お腹がでっぷりしているが、比較的小柄だったことから、小入道と呼ばれるようになる。この小入道は、しばらくの間、洞窟の中をさまよっていたが、あるとき美空ひばりの「川の流れのように」が洞窟内放送で流れるとそこで立ち止まり、そのまま石になってしまったそうだ。この小入道の塊が沢山ならぶこの洞窟はその後、鍾乳洞と呼ばれるようになった。彼はいま、「おだやかに、その身をまかせて」、鍾乳洞を流れる「せせらぎを聞きながら」暮らしている。