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1軍のノリが許せない人生と大槻ケンヂについて
(コンコン…)あ、失礼します…山口幕府と申します…ご挨拶に上がりました…
あ、すいません失礼します…山口幕府です…あのざっくりカルチャーという自分が好きな物をただ伝える文章を書いてまして…
…あ、そうっすよね…覚えてないですよね…前に書いたの2ヶ月前っすもん…僕のnoteのアカウント、埃まみれだったんでさっき拭き掃除したばかりです…
今日もまた、一つカルチャーを伝えるのでよかったら僕に突き立てた拳銃下ろしてもらえませんか…?これからも書いていくんで…
俺は大槻ケンヂが大好きだった。
今回はアーティストの大槻ケンヂについて話していきます。
大槻ケンヂとは、筋肉少女帯のリーダー兼ボーカルで小説も書いていたり、ちょこちょこ文化人みたいな感じでテレビにも出るよくわからないおじさんです。
筋肉少女帯ってとんでもないグループ名じゃない??でもって誰も筋肉隆々でもないし、少女でもない。ましてや朗らかな歌じゃなくてゴリゴリのロックだし、歌詞なんてなんか魚の目玉みたいな生臭くて気持ち悪い歌ばっか歌ってんすよ!!
私だってねぇ!そんなゴリゴリのロックも効かないし、変なバンドの曲は聴かないんだよ!!サカナクションとか、キリンジが好きだよ!!なのに今の日本は!低所得者からも税金を搾取し!!自分たちは裏金で私腹を肥やし!!そして…
ハッ!!ごめんなさい、途中から山本太郎に人格を乗っ取られていました…有権者の拍手が聞こえる…!
話を戻すと、僕はゴリゴリロックを聴かないのに筋肉少女帯、大槻ケンヂに頭からのめり込まれていったんです。何故なのか。それは僕の中学時代に遡ります。
僕は中学生時代を北海道の超ウルトラアルティメットど田舎に住んでいました。ごめんなさい、田舎である事を強調したすぎてドラゴンボールみたいになってしまいました。
みなさんは田舎でモテる方法を知っていますか?そう、田舎ではチャラければチャラいだけモテるんです。都会のトレンドとか、カッコいいの定義が田舎まで渡来してなくて、めっちゃあやふやなんです。顔と性格は関係ないんです。ウォレットチェーンをつけるだけでモテポイントが上がるんです。前髪をヘアアイロンで針金みたいに伸ばすだけでF4です(花より男子)。
真面目だったり誠実さよりも、授業はかったるいアピールをしておきながら体育で女子の目を気にしながらハンドスプリングするやつの方がモテるんです。
まとめると、田舎では誠実で真面目なブスではない人よりも、ストパーをかけて安全ピンをピアスがわりに刺し、万引きで停学を喰らっては誇らしげに学校に復帰するブスの方がモッテモテだったんです。それは一部の女子だけでしょ?って思う人もいるでしょう。いいえ。全ての女子がそうだったんです。その頭空っぽ夢詰め込める系男子達が学年の女子達を取っ替え引っ替えグルグルグルグル回して付き合ってました。
みんな坊主にして、全裸にすればハッと気づくはずなのに。私…イケメンと付き合ってると思ってたのに普通にただのブスと付き合ってた…!!って。(今は思ってないよ!)
中学生の時ハイパードッカンミラクル2軍だった僕は悶々とずっとそんな事を考えていました。とにかくこの田舎のモテ制度はどうかしている…!!と。
当時僕はバスケ部に所属しており、僕の周りはチャラ男の温床でした。けど僕は一切彼らと連まなかった。それもあって、修学旅行の時にみんなでお土産を選んでたら後ろから「どけ!!!陰キャ共が!!!!」と一蹴されたんですね。俺はあの景色を忘れないぞ…!!この記憶は茂木和哉の洗剤でもぜってぇ消えねぇ…!!!!
20歳になった時の成人式で、その後に同窓会がありますよね。僕は参加しなかったのですが、LINEのグループにはとりあえず入ってくれと言われて入ったのですが、その男女グループのLINEの内容が「先に〇〇で飲んでるわ!」「おけ!後で合流するわ!それまでハメ撮りすんなよ笑」「笑」「笑笑」「爆笑」と書いていて、あぁ俺は本当にこの人達と連まなくて良かった…!この人達と仲良くしていたら、俺のユーモアはこのレベルで終わっていたんだと思うと心の底からホッとしたことがありましたが、それは別の話。
そして真面目に勉強も部活もしていました。この田舎から出るために、内申点を稼がなければならなかったので。
卒業式のホームルームの終わりが近づいてきた時には、突然チャラ男軍団の奴らが壇上にワラワラと集まります。「先生!今まで迷惑もかけたけど、本当にありがとうございました!」みたいな事を言うんですよ。そうすると先生「お前ら…!」みたいな感じで泣き出して。うーん待って?勉強もしないし、万引きしまくってお店出禁になるし、普通にイジメとかやって大問題になってたけど???なんなのコレ?????????
女子もそんな男子を見てグエグエ言いながら泣いてるし。自転車に轢かれたカエルかお前らは。まともに学校生活を送ってたやつなんかよりとんでもない奴等を、この一言で根はいい奴だったんだって見なして、イジメとか万引きとかチャラにして全員で泣いてるの???もう一回言うけど、何コレ???
僕が鬼の末裔だったら、この時に鬼として覚醒する所だったんですが、残念ながら末裔ではなかった様で、出たのは精一杯引き攣った無理のある笑顔と、ファンタスティックフォーに出てくる岩のやつ並に重い手をなんとか拍手する事ぐらいでした。
でも大丈夫。俺はこいつらよりもまともだし、こいつらよりも絶対面白い。絶対にいつかこのカーストはひっくり返って、俺がこいつらを嘲笑うんだって、何度も何度も頭の中で繰り返していました。
この頃には、目立ちたがり屋でみんなの前でふざけるのが好きな快活な小学生だった時の僕を押し入れの奥にしまい込んで、まともに女の子の目が見れなくて、エレカシの宮本みたいな髪型で、休み時間にラーメンズのネタの真似事を2軍のみんなの前で披露する男子になっていました。これはこれで終わってる。
そんな僕でも1人の女子に恋をしていました。僕の学校では花形のソフトテニスをやっている女の子でした。一軍の女子だったと思います。詳しくは分かりませんが。
そもそも二軍は一軍事情を全く知りません。休み時間普通に過ごしていたら、一軍の女子が急に泣き出して、他の一軍女子が「ちょっと男子出てってよ!!!!」みたいな事言われて、「え…?何何何…?」ってメチャクチャビビってました。こう言うのって一軍の間では男女共にその子が何で泣いてるかしっかり情報が通ってて、一部の二軍の我々は全く知る由もないのでただただ怯えて休み時間を路頭に迷って、ピロティーに避難するんですよね。
話を戻します。僕は恋をしていました。
その子は僕に興味を持ってくれており、僕の話す話を笑って聞いてくれる女の子でした。
僕が厨二病になってからそんなに興味を持って話してくれる女子はいなくて、僕は次第にどんどんその子に話しかけるようになっていきます。2人だけで、体育館の前の廊下で話すようになっていきます。その頃にはその子の目だけは見れるようになっていきました。
その後はパソコンで何度もメールするようになります。僕はいつメールが来るかもしれないと、その日からパソコンの前に張り付くようになり、何度も更新してはその子のメールをチェックする日々が始まりました。
中学3年生になって、僕はその子に「相談がある」と放課後呼び出されます。
僕は湧き上がる気持ちを抑え血圧300(下の数値です)で呼び出された所に向かいます。
「相談があってさ…」来る…!!二軍が一軍と付き合うジャイアントキリングが来る…!
来い…!!来「実は彼氏との関係に悩んでるんだよね…」はい……?????????
あれ??????あれ????????????????????????????
「うちの彼氏まぁ噂もよく流れてるからみんな知ってると思うんだけど…カズキなんだよね…」二軍は一軍情報何も知らないよ!?!?カズキ!?!?あのどけ!陰キャ共って俺に言ったやつ!?!?!?!?!?!?!?!?!?
皆さん、カイジの漫画の表現でグニャァ…ってやつ知ってますか?あれって誇張した表現だと思いますよね。僕は知っています。マジであれぐらい視界がグニャァ…ってなるんすよ。
何で???何でそうなるの???あんなに俺たくさん笑わせたのに???何にも面白い事言わない下唇にピアスがわりに安全ピン刺して、授業中に鬼ごっこ始めちゃうアイツが好きなの???酷い!!!!どうしてこうも運命が別れるの???ずっと好きだった俺が辛酸をベロっべろに舐めて、セックスしたいだけのアイツが愛されるの???おかしいだろ!!!なぜ不幸にならないといけないんだよ!!!低所得者だけが痛い目を見る今の日本のシステム!!!おかしいと思…ハッ!!!!
すみません、途中から山本太郎に人格を乗っ取られていました。れいわ新撰組の垂れ幕が見える…
その後のことは全く覚えていません。どんな相談を受けて、どう返したのかも。
ただその時も僕は彼女を笑わせるためだけに必死でボケていて、その子に「ありがとう。本当に面白いね。山口は」と言われたことだけはものすごく覚えています。
その時、僕は大槻ケンヂの「踊る赤ちゃん人間」という曲に出会います。どうか、皆さん歌詞を載せますので、見てください。
あばば あばば あばば 踊る赤ちゃん人間
人は裸で 生まれた時は 誰も愛され 同じはずが
どうしてなんだ 生きていくうちに 運命は別れ むごいくらいだ
人の目見たり 見れなかったり 恋を知ったり 知れなかったり
それなら僕は いっそなりたい 死ぬまでベイビー 赤ちゃん人間
「ああ なんてかわいいベイビー 愛したくなるわ」(思うツボだぜ)(うまくいったぜ)
彼女抱いた赤子 実は赤ちゃん人間
あどけなさの裏であばば ほくそ笑むのさ
君もなれよ 楽でいいぜ ベイビーヒューマン
あばば あばば 踊れ増やせ 世界制覇だ
ロシアも 力ナダも インドも
思うだけなら 王様なのに 見つめていれば 恋人なのに
どうしてなのだ 現実なんだ 真実さえ 必要なのか
笑いさざめく ふりしてみても 無理があるねと 言われた日には
僕はなるのさ そわしかないぜ 死ぬまでベイピー 赤ちゃん人間
「ああ なんて賢いベイビー 大物になるわ」(そうでもないぜ)(こなもんだぜ)
彼女抱いた赤子 なんと赤ちゃん人間
かくれみのは赤いおべべ カモフラージュさ
バイト仕事ないぜ いいぜ ベイビーヒューマン
あばば あばば 踊れ増やせ 地球この手に
チャイナも ユーロも トルコも
すっごく下らない歌詞を妙に声の高い変な人が歌ってて、それなのに、ギターはギュインギュインいってるし、なんか悲しくて気持ち悪いメロディーで、何なんだコレ。誰も好きにならない音楽じゃん。伝えたいことはあるのに、ふざけてしまって変に捻くれてしまってみんなに全然伝わらない。俺じゃん。俺の歌じゃん。
二軍で、人の目が見れなくて、恋を知れなくて、それなのに何度もおどけて見せて。一軍の人達がやる全く面白くないボケに無理のある笑顔で返して。
そう思うと、大半のみんなが「なんだこの曲笑」と聞き流すこの曲が、どうにも悲しくて。わかってくれる人を探してずっと彷徨っているように聞こえるんですよ。
それからというもの僕は大槻ケンヂを聴き漁るようになります。両親と一緒にTSUTAYAに行っては、親に「そんな変な曲ばっかり持って来んな」と言われながらも、筋肉少女帯の曲を何枚も何枚も聴いて。その気持ち悪い世界観に魅了されるんです。
この一軍が憎い感情ってこねくり回したらこんなに輝くんだ…と。気持ち悪くて一般の人には毛頭愛されないこんな曲がクラスの一人にだけはこんなに奥まで刺さるんだと。
大衆に愛されないものに、ユーモアがあって、瞬きが出来ないほどの面白さがある。
一方学生生活は下らないまま続きます。3年生も後期になって、地元の高校に行きたくない僕は、何とか勉強し、地方都市の進学校を目指して勉強していました。
でも、あの子の事はどうにも嫌いになれなくて、ついメールが来たらすぐに返信してしまうし、心が踊ってしまう。
学校でも大槻ケンヂの小説を読むようになります。裁縫人間ヌイグルマーというこれまた不気味な小説です。その子が「面白そう!私も読みたい!!」と言います。
僕はすぐにその小説を貸します。まだ自分も読み切ってないのに。
3日経って、彼女は僕にこの小説を返します。
「めっちゃ面白かった!もうホント最後までノンストップだったし、めっちゃ泣けた…思い出しただけで泣くわ笑」
何なんだよ。何で理解できちゃうんだよ。誰にも分かってもらえないから良いのに。
何で俺じゃダメなんだよ。
「何となく聞くんだけどさ、山口って私の事好き?」「は?何が??」
「付き合ってって言ったらさ、付き合うの?」
ゲッ…ゲーーーーーーー!!!!何!?!?何それ!?!?!?分かんなすぎる!!!コレってどういう意味なの!?!?教えてよ岡田斗司夫!!!!!!
「まぁ、付き合うと思うよ…?でも彼氏いるでしょ…?」
「あっそう!聞いてみただけだけどね!!」
何なんだよこの女。どれだけ俺の気持ちを弄んだら気が済むんだよ。ヤバすぎるだろ。
ずっとずっと中学3年間俺はこの子に感情を弄ばれてたんだ。
大槻ケンヂ!もういいよ…俺をそっちの世界に連れて行ってくれ…!!!!
日本を…日本をインドに!!!!!してしまえ!!!!!!(日本印度化計画という曲)
コレをきっかけに僕の気持ちは吹っ切れて、受験に専念し、僕は何とか進学校に合格、晴れてこの悪魔のような田舎から抜け出すことに成功するんです。
高校生活を送っている最中、友達とゲームセンターでコインゲームに勤しんでいる時に、
「山口じゃない…?」
という声がします。振り返ると、高校生になったあの子がいました。
僕は距離を置いていたので、「あ…ウィッス…」というやいなや、その子は僕に抱きつきます。「うわ〜〜…会いたかったわ…!!」そのまま大泣きするその子。
十文字幻斎に催眠術を掛けられたように固まる僕。連コインしていた手が止まる友人達。言葉が出ずに固まっていると、
「ごめんね。友達もいるのに。ごめんごめん!じゃあね!」と帰ってしまいました。
何にもわかんねぇ。何だったんだ今の…となるんですが、その後も疎遠なままになります。その後僕は野球部の彼氏がいる女の子にファーストキスをいきなり奪われ、その噂が広まって、僕は何もしてないのに野球部からイジメを受けることになるのですが、またそれは別の話!
それから10年、僕は地元をずっと憎んでいました。
俺を苦しめた一軍、あの子の事をずっと許せなかった。
この気持ちを原動力に僕はこの気持ち悪い4コマを描いていたんです。
みんなに愛されない、けど友達が多くない誰かに思いっきり刺されば良いと思って、大槻ケンヂを初めてみた時みたいに誰かが夢中になってくれれば、僕の分かってくれる人を探し求めている声が誰かに聞こえたら良いと思って。
その時、当時一軍だったやつから連絡が入ります。
「久しぶり!どうしてるかなと思ってさ!zoomでいいからさ!一緒に飲まん?」
大人になった僕は、初めて一軍と呑むことになります。
「俺さ、今地元盛り上げるために商工会に入ったんだよ!!なんか地元に恩返ししたくてさここが盛り上がるように色々イベント考えたりしてんだ!俺地元大好きだからさ笑山口も地元帰ってきたらさ、一緒に遊ぼうべ!」
なんか…一軍の奴らって下らない人種だと思ってたのに…俺よりも全然立派になってるんですけど…??何なのその未来の展望。俺その日を暮らすことしか考えてないのに。
「地元でお前、みんなから面白いやつだってずっと言われてたじゃん!久しぶりに会ってもやっぱ山口は面白いなぁ!!」
…え?そうだったの…?俺面白いやつだと思われてたの…??
あれ…?一軍の情報、また二軍には入ってきてないんですけど…?
「そういえば、あの子!お前の事好きだったじゃん!連絡してないの??ほら…山口が進学校行くために勉強しててさ、山口が恋愛したせいで受験落ちないようにって、あの子お前と付き合うの断念してたじゃん!俺の周り(一軍)では有名な話だったけどな!笑」