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弁理士試験の前日、大ピンチに陥った話


弁理士試験の最後の壁・口述試験

 弁理士試験は、3次試験まで全て突破して、本当の合格となります。
 最後の壁が、試験官と面接する形で法律の知識を答える、口述試験です。
 例年10月下旬に、芝公園の「ザ・プリンスパークタワー東京」で行われます。
 特許法・実用新案法、意匠法、及び商標法の3法域が対象です。
 それぞれの法域の面接は10分ずつあります。

 合格率は平均して90%台です。
 数字だけ見ると、簡単そうです。
 しかし、10分以内に全問(10問前後)答えなければならないこと(時間オーバーの法域が2以上あると不合格)、問われる順番通りにしか答えられないこと(1問飛ばして次の問題を先に答えるといったことは不可)など、厳しいルールが存在します。
 そのため、不合格になる人もいます。

明日が試験日なのに、熱が38度!?

当時使っていたテキスト

 私が口述試験を受けたのは、2021年2月21日です。
 その年(令和2年度)は新型コロナウイルスの影響を受け、例年より試験日が4ヶ月遅れました。
 試験会場に入る前は検温があり、体温が37.5度を超えている人は新型コロナ感染者とみなされ、入れません。
 つまり、試験会場まで来ても合格できないのです。

 二次試験である論文試験を通過した(ここまで来るのに何年もかかりました)知らせの後、私はひたすら口述試験の勉強に励みました。
 約3週間休みなく、朝も昼も夜もテキストと法文集を読み込みました。
 身体に異変を感じたのは、試験前日の朝です。
 全身の節々が痛み、首から下は凍えるように寒く、頭だけは火照って仕方がありません。
 熱を計ると、液晶画面には「38.5」と表示されていました。

勉強よりも休養を優先し、危機を脱出

 「どうしよう……!」
 このままでは、受験できません。
 解熱剤を飲み冷却シートを額に貼って勉強しましたが、熱は下がりません。
 気分転換した方がいいと判断し、録画しておいたテレビ番組『霜降りミキxit』を観ました。
 すると、一気に熱は36度台まで下がりました。
 しかし勉強を再開すると、また38度台に上がってしまいます。
 どうやら新型コロナではなく、知恵熱のようです。

 「少しでも多く、テキストと法文集に目を通したい。でも、会場に入れない方が問題だ」
 そう判断して、普段より早く眠りに付きました。

 目覚まし時計が鳴り、目を開けます。
 昨日酷かった節々の痛みも寒気も、感じられません。
 熱は36度台に下がりました。
 「ザ・プリンスパークタワー東京」のエントランスに入り、係の人に検温をしてもらいます。
 検温の機械は36度台を表示し、難なく会場入りできました。
 そして、全法域10分以内に解答を終え、最終合格を果たしました。

まとめ

当時使っていたテキスト

 この出来事から言えることは、試験に向けて実力を付けること以上に、試験を受けるための健康を維持することが大事だ、ということです。
 当たり前のことですが、受験生には優先度が逆に見えがちです。
 弁理士試験に限らず、何かの試験を受ける方は、覚えておいて下さると嬉しいです。

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