弁理士試験以外に受けた、難関試験の話
合格の足かせとなった「論文試験・選択科目」
弁理士試験は、合格率が10倍を超える難関試験です。
二次試験である論文試験は、必須科目と選択科目があります。
選択科目は、所定の資格を持っている人や、修士号・博士号を持っている人は、受験が免除されます。
選択科目は現在、理系科目が5種類、文系科目が1種類あります。
平成27年度の試験までは、もっと多くの科目がありました。
私は文系の科目を選択し、必須科目(特許法・実用新案法、意匠法、商標法)とは別に勉強しました。
平成27年度の試験までは著作権法を、その後は民法を選択しました。
選択科目は、必須科目以上に大変です。
著作権法はマイナーな条文から問題が出され、その場で正しい答えを出すことができませんでした。
民法に変わってからも、予備校で対策した主要な論点ではない論点が出題され、顔面蒼白になって終わりました。
免除のために受けた試験1・応用情報技術者
選択科目での苦労を勉強仲間に話したところ、免除資格の取得を勧められました。
免除の対象となる資格は、どれも難関です。
しかしIT系の資格・応用情報技術者は、他に比べて難しくないとのことです。
早速、テキストと過去問を購入しました。
1ページ目から、カタカナとアルファベットだらけで、びっくりしました。
漢字が多い弁理士試験のテキストとは、大違いです。
「1、2、4、8、16、32……」といった独特の数え方、「CPUのクロック周波数が高まって、スマホが熱くなる」といった専門用語、「リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャー」といった経済学の考え方などを、学びました。
ネットの仕組みや企業の戦略を知ることができ、世界が広がった感覚を得られます。
しかし、もっとも大事なのは数式を覚え、計算して数を出す問題です(電卓なし)。
計算が必要な問題で上手く点数を取れず、合格に至りませんでした。
免除のために受けた試験2・行政書士
また別の年、免除資格を考えました。
「行政書士だったら、勉強してた民法と重複するからいけるのでは」と気付き、受験を決めました。
早速、テキストと過去問を購入します。
試験範囲は民法の他、憲法、行政法、商法・会社法、そして一般教養です。
この内の行政法が、思わぬ難所でした。
無味乾燥で覚えにくいためです。
知財の四法も無味乾燥と言われがちですが、行政法は尚更つかみ所がなく、暗記が難しかったです。
また、試験対策の時間が短かったため、記述式の対策が不充分でした。
実力を付けることができず、結局合格点に届きませんでした。
最終的には選択科目を突破
免除資格で他に取れそうなものは、もう残っていません。
司法書士、建築士など、弁理士試験どころではないものばかりです。
こうなったら、選択科目の民法を合格するしかありません。
予備校で基礎から学び直し、答案練習や模試を受けます。
出題された問題は、何度も解き直しました。
また、予備校の先生から「選択科目は、公務員試験の民法と同じレベル」と聞き、過去問を購入しました。
問題を覚えるくらいまで、繰り返し論文の構成を行いました。
そして迎えた当日。
試験問題冊子には、予備校の答案練習でも公務員試験の過去問でも見覚えのある、代理人に関する論点が載っていました。
問題文にしっかり答える形で、解答につながる論点を構成し、答案用紙にペンを走らせます。
試験終了後、今まで選択科目で味わったことのない達成感が込み上げてきました。
その感覚通り、合格点に到達することができました。
まとめ
弁理士試験の論文選択科目は、必須科目と同じかそれ以上に、手強いです。
特に、文系で免除資格を持っていない人は、苦戦します。
せめて理系科目のように、複数種類あればいいのですが……。改善して欲しいものですね。