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「ギルド型組織」を前提に会社設立を考えている理由

現在、年明け以降を目安にマーケティングファームの設立を目指しています。そもそもどのような形で法人を設立するか(株式会社??合同会社??)という問題はあるものの、チーム自体は「ギルド型組織」で構成していきたいと考えています。

「ギルド」とはなんなのか。

本題に入る前に、「ギルド」や「ギルド型組織」の整理からまず進めていきたいと思います。


現代に蘇る「ギルド」


"現代版ギルド"、もしくは "ギルド型組織" というものに、まだこれという定義はないですが、まずは「個人の自由や裁量を尊重しつつ、ひとつの団体として仕事をうけたりこなしたりする集団」という形で個人としては捉えています。イメージで言うと、従来型の「カイシャ組織」に比べてカチッとしてない、ゆるふわっとした組織かと。

Wikipediaから引用させていただくと、こんな感じ。

ギルド(英: Guild、独: Zunft、伊: Arti)は、中世より近世にかけて西欧諸都市において商工業者の間で結成された各種の職業別組合。商人ギルド・手工業ギルド(同職ギルド)などに区分される。一般に封建制における産物とされる。

ギルド型組織が、同時多発的に発生している


少しネットで調べてみると、"ユーザーの行動を設計するデザイナー" 深津 貴之さんが2013年に立ち上げた THE GUILD を皮切りに、大企業の中にギルド的な組織を志向した事業部が立ち上がったり、大企業から独立した個人が組織的なブランディングを仕掛けていたりしていることが分かるかと思います。

個人事業主が複数の企業や団体に属したり、会社を経営している人が他の会社に所属したりして、組織の壁が薄くなっているような印象ですね。

参考 : ギルド型組織のイメージ


「ギルド型っぽい」組織を参考までにいくつかピックアップしてみました。もちろん、他にもたくさんあるかと思いますが一部抜粋という形で失礼します。

UZUMAKI
web系の最前線で活躍するプロのエンジニアやデザイナー、ディレクターが所属しており、それぞれが、個人事業主や副業が許されている正社員。
ONNE / BizConcier
デジタルマーケティングや事業開発のプロフェッショナルが所属。メンバーに重複があるため併記したがそれぞれ独立した組織。組織を構成するのは個人や小規模法人など様々。

ギルド型組織とはどんなものか


現時点では「ギルド型組織」というものを以下のように捉えています。

【ギルド型組織】

ギルド型組織とは、市場に対してオープンな、束縛されることのないタレントによって構成された、関係性を軸とした人的集合体です。株式会社、合同会社、有限責任事業組合、または企業の一部門など多様な形態を取りますが一様ではありません。

中でも「オープン」「束縛されない」「関係性」という点はポイントだと思いますが、ギルド型組織の特徴について、以下でもう少し詳しく解説したいと思います。

ギルドは、縛らない


"組織が個人を縛らない" ことはギルド型組織の最大の特徴です。ギルドのメンバーは、個人で仕事をしたり、他のギルドに所属したり、かなり自由な働き方を許容されています。

個人と組織の力関係が従来と逆転したかのような感覚を受けますが、この動きの背景には大きく以下の3つがあると考えています。

①人口動態による若手人材の希少化
②テクノロジーを扱える個の生産性が飛躍的に増加
③ネットによるつながり構築・維持コストの無償化


このような環境下において、ギルド型組織は従来型組織の特徴である「終身雇用」や「経済的安定性」とは異なる価値を提供することで飛躍できる可能性を示唆していかとも考えています。

「異なる価値」とはなんでしょうか。

ギルドは、市場から識別可能なビジネスマンで構成されている


ギルド型組織の中心メンバーは、顔や名前を出して仕事をしています。名前で検索すると何かしらヒットするような人たちです。彼らは単にオープンであるだけでなく、オープンであることを武器として利用しています。

ギルド型組織のメンバーは、ギルドによって個人事業主だったり、法人だったりと、さまざまかと思います。逆に言えば、構成員が個人事業主であるか法人であるかは、あまり重要な意味を成さないです。

「個人」と「ギルド型組織」の関係は業務委託が比較的多く、株式会社・LLC・LLPでは中心メンバーは株主/役員相当。ギルド型組織の中でも前に出る、ロールモデルのような人物はボードメンバーが多いかと思います。ただ、一般的な会社組織より敷居は低く、流動的であるように感じています (LLCやLLPは特に)。

従来型組織とは異なるギルドの強力な提供価値のひとつめが「短い商流による、メンバーへの高い経済的還元」です。

ギルドは、個人とその関係性に中心を置く


ギルドは、「参加メンバー個々人間の関係性」や「組織とメンバーの関係性」を基本にしている。どのギルド型組織と会話しても、組織であることの規模的なメリットよりも、関係性を重視しているように感じます。

例えばIT業界でも、昔から首都圏コンピューター技術者組合 (現 : PE-BANK) や首都圏ソフトウェア協同組合など、個人事業主や中小法人の集まりはありました。彼らの提供価値は共同受注 (大きな仕事をみんなで請ける)、共同宣伝、確定申告代行や共済などの福利厚生、信頼性の担保など中小個人ではカバーできない機能を果たしてきました。先ほどの "規模的メリット" はつまりそういうことです。

現代のギルド型組織も同業者や異業種の集まりとして前述のような組織であることの規模的なメリットは提供していますが、それ以上に "価値観" への共感、一緒に働きたい仲間としての "人柄" や "スキル" のアセスメントを非常に重視している点は大きな特徴です。

ここでいう "価値観" は、「世界をより良くしたい」という、ちょっと前に流行った壮大な "ビジョン" や "理念" というより、モノゴトや世界で起きる事象に対する感じ方や仕事の流儀といった、もっと身近なものである。同じものを見て同じように楽しみ、憤り、変えていきたいと思う。そういう感性の共有を大切にしているのではないかと思います。

従来型組織とは異なるギルドの強力な提供価値、ふたつめは「高次元かつ重複的関係構築がもたらすコミュニケーションコストの排除」です。

ギルドは、持続的な関係性の中で個にアセスメントを与える


「"価値観" 、"人柄" はわかるがスキルは関係性ではないのではないか」と感じる方がいるかもしれないが、そうでもありません。いまギルド型組織が勃興しているエンジニアリングやデザイン、マーケティングといった領域では知識レベルを定量化することは容易ですが、スキルレベルを定量化することは難しく、「あいつはこの分野に強い」「私はこういった流派だ」というように組織の中で相対的に評価することが分かりやすいです。逆に組織に所属していないビジネスマンは、クライアントからすると自己申告と実績だけでしか評価できません。実績が公開されていないと怖くて発注できないし、実績の評価も過去クライアントとの相性によって揺らぐので必ずしも正しい指標とは言えないでしょう。

その意味で、ギルド型組織は、組織と個人の持続的なつながりによって個人のアセスメントを分散ネットワーク的に担保できると言えます。

クライアントサイドにとっての価値


このような組織は、発注側にとってどのような価値があるでしょうか。簡単にまとめてみたいと思います。

◼︎信頼性
前述のアセスメント効果により、個人に頼むよりは人材の質を想像しやすい。また、ギルド型組織の多くは会社や団体といった形態をとっているため契約やコンプライアンスの面でも使いやすい。

◼︎視認性
ギルド型組織は個々人がばらばらになっているより見つけやすい。また、統一的なブランディングがなされており、目的にあったチームかどうかを確認しやすい。

◼︎流動性
多くのギルドにはチームをコーディネートする機能が備わっている。ギルドは、クライアントの目的に応じて構成メンバーや外部人材をアサインし、適切なチームを組成する。発注サイドがコンサルティングやプログラミング、デザインといった機能別に会社を選定し発注するのに比べて簡単にチームを組成できる。


これらは、ギルドが持つ「関係性」や「自由」 といった本質的な力によってもたらされています。いずれの面も、動的個人と静的従来型の静的会社組織の中間に位置する特徴的な機能だと考えている。

「ギルド型組織」を前提に会社設立を行う

個人単独よりは公共性があり、いわゆる「カイシャ」より自由。

そんな「ギルド型組織」の存在や、それを支える「関係性」が、個と企業との関係をもっとなめらかに、そしてアクティブにしてくれるのではないかと考えています。

組織というものは、ともすれば再現性を求めるあまり個人を型にはめがちで、それゆえに市場の変化への柔軟性を犠牲にしてしまうこともあります。変化のスピードが早い現代に適応できる新しい組織のあり方を、厳格なルールではなく、関係性によってしなやかに形を変えるギルド型組織は、経済的・精神的・技術的に、深く複雑に環境に適応しています。

このような組織のあり方を応援することで、個のポテンシャルにより大きなレバレッジをかけ、社会・経済に貢献する。そんなことができたら素晴らしいと考えていて、私が組織を作る際に「ギルド化」を前提に法人を作る理由です。

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