[MTG:スタンダード:MKM] ボロス召集 採用カード考察
はじめに
カルロフ邸殺人事件が発売され、ひよっこ捜査員をはじめとした多くの強化パーツを手に入れたことで一気に注目されるようになりました。
今まで以上にいろんな人のリストを見かけるようになったので、今回は個人的にボロス召集でみかける各カードの個人的な見解をまとめていこうと思います。
注1) おすすめ度を☆で評価していますがカードの組み合わせ次第で評価はもちろん変わるため特に定義はせず、カード単体の強さや組み合わせやすさ等を加味して独断と偏見でつけています。
注2) イーオスの遍歴の騎士などほぼ確実に採用されているようなカードにはあまり触れず、採用不採用が分かれていると感じるカードを中心に紹介します。
メインボード
《月皇の古参兵/Lunarch Veteran》
おすすめ度 : ★★☆☆☆
青白兵士に採用されており、ボロス召集で大量のライフゲインが期待できます。
が、強力な 1 マナ域も増えライフゲインという消極的な手段を用いる必要が薄くなってきているためわざわざ採用する必要はないように思います。
しかし対赤単などのサイドボードとして検討する価値は十分ありそうです。
《魅力的な悪漢/Charming Scoundrel》
おすすめ度 : ★★★★★
魅力的な悪漢のモードって 200 種類あんねん。
一見地味に見えて実はボロス召集の回りを支えている影の立役者でほぼ確定枠と言ってもいいと思っているカードです。
使用頻度としては宝物 > ルーティング > ひねくれものなイメージです。
#1 色事故回避
ボロス召集はマナベースが厳しいデッキなためシンプルに宝物を使って色事故を緩和させることができます。
魂の洞窟(人間指定) 山山な状況から宝物を生成し、次ターンに福音者をキャストなど実質的にマナフィルターとして活用できます。
#2 マナ加速
こちらもシンプルですが 2 マナしかない状況から次ターン 3 マナにつなげることができます。
また 5 マナでイモデーンの出来事をキャストしたり、6 マナでイモデーンを 2 連続で唱えたりマナの使い道は案外多いです。
#3 上機嫌の解体の対象
ひよっこ捜査員の登場により比較的安定してアーティファクトを用意することができるようになったものの、それでも上機嫌の解体を複数引いてしまうなどアーティファクトが足りないケースで宝物を使うこともあります。
#4 内なる空の管理人のコスト
内なる空の管理人にいかに早くカウンターを 3 つのせ飛行をつけるかが重要になることもしばしばあります。
宝物 + 本体で 1 度に 2 つのパーマネントを用意することができるので起動の助けになり、またルーティングよりも占術で十分であれば宝物が出る分得といったケースもあります。
#5 テンポを邪魔しない
上述の活用方法はどれも次ターンに宝物を持ち越す前提でしたが、貯めずに即宝物を使うことで実質 1 マナ 1/1 速攻クリーチャーとしても振る舞うことができます。
例えば 1 ターン目 1 マナクリーチャー 2 ターン目 悪漢 + 1 マナクリーチャーで 3 体のクリーチャーを展開でき、3 ターン目に福音者 + イーオスとブン回りの動きを邪魔しません。
#6 ドロー or ルーティング
慣れていない人は忘れがちですが「カード1枚を捨てる。その後、カード1枚を引く。」モードは手札がないときはシンプルに 1 枚引けます。
また無理にドローせずとも多めに引いてしまった土地を捨てたり、あえてヨーティアを捨てて即蘇生させることでひねくれものよりも瞬間的に高いクロックを出すという小テクもあります。
#7 ひくれものトークンによる強化
このモードはあまり小技はないものの、シンプルにクロックを強化できます。
福音者のコウモリトークンを強化したり、最後の押し込みなどに有用なモードです。
また 2 ターン目に 2/2 速攻として使ってもあまり強くないので頻度は少ないですが、ブロッカーのいない対コントロールなどでは序盤から攻めるために 2/2 速攻として運用することもあります。
上記のように多くの活用方法がありながら、ブン回りの邪魔をしない優秀なカードなため採用をおすすめします。
《門道急行の事件/Case of the Gateway Express》
おすすめ度 : ★★★★☆
イモデーンが 3/2 を出しながら全体強化を行うカードであるならば、このカードは 3/2 の代わりに除去を行ってくれるカードです。
現環境にはコウモリ、デニック、説教者、シェオル等々ライフを回復してくるクリーチャーが多く 3/2 よりも価値の高いケースが多々あります。
そんな厄介なクリーチャーを除去りながら、次ターンからとはいえ恒常的な強化が受けれるのは破格です。
このカードのおかげてメインから除去を積みやすくなり対ミッドレンジ性能が大きく向上しました。
ただし複数枚引いてしまうとその分クリーチャーを展開できなかったり、サイド後は全体除去のケアのため全力で展開しづらく除去としての性能が下がり、解明も難しくなるため採用枚数は 2 ~ 3 枚程度が適切なのではないかと思います。
《威厳あるバニコーン/Regal Bunnicorn》
おすすめ度 : ★☆☆☆☆
実質 2 マナ 1/1 バニラと同じ非常に弱いカードです。
ボロス召集のメインの勝ち筋は相手よりも多くのクリーチャーを並べて +1/0 修正により 2/1 となったクリーチャーを 8 ~ 10 体程度通すことです。
つまりリーサル計算で重要なのはクリーチャーの数でありクリーチャー単体のサイズは関係ありません。
インティと組み合わせることでトランプルを付与することができますが、どちらも 4 枚投入できるカードではなく揃うことも稀なためロマンコンボに近いと思います。
また除去を打ちたいクリーチャーが少ないため、腐っている除去がすべて飛んでくることになるため場持ちもよくありません。
ただし緑単のような除去が薄くサイズで押してくるようなデッキが出てくれば巨大なサイズを活かすことができるかもしれません。
また逆に除去を全体除去に頼っている重いコントロール相手にも 1 度でもアタックを通すことができれば大ダメージが期待できるためサイドから採用できる可能性はあります。
《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》
おすすめ度 : ★★★☆☆
現環境はミッドレンジであってもクリーチャーが中心で、装飾庭園を踏み歩くものがクリーチャーであるため刺さらず、総じてクリティカルに刺さる相手が少ない印象です。
サイドボードに少数採用する可能性はありますが、サイド後はこちらもスペルを増量する可能性があるので優先的に採用する必要はないのかなという印象です。
《血滾りの福音者/Sanguine Evangelist》
おすすめ度 : ★★★★★
毅然たる援軍に 1 マナ足したら喊声と飛行と死亡時誘発がついてきました。
3 マナはボロス召集において少し重いですが 1 枚で横展開 + ロードの役割をこなすスーパーカードです。
ほぼマスト除去クリーチャーでありながら除去られても全くアド損せず、重ねれば重ねるほど強いです。
出したターンに即イーオスにも繋げやすく、自分自身を含めデッキのすべてのカードと相性が良いため採用をおすすめします。
《戦導者の号令/Warleader's Call》
おすすめ度 : ★★★☆☆
弱くはないものの非クリーチャーであるなど相応のデメリットもあり、他の 3 マナ域であるイモデーン、福音者と比べて特別強いカードではなく一長一短な性能であると考えています。
メリット
3 マナで出したターンは何もしない寄りのカードでありどちらかというとロングゲームで効果を発揮するカードです。
長期戦ではバーンダメージだけでも勝ち得ますし、シェオルの回復を帳消しにできるためクリーチャーを並べていれば自然と勝てます。
また継続的な強化なため 2/2 をブロックできない相手であれば毎ターンアタックが可能になります。
デメリット
非クリーチャーであるため召集の種にならず、イーオスで回収できず、イモデーンのバリューも上がらずブン回りに全く寄与しません。
非クリーチャーであるため魂の洞窟も採用しづらくなり打消し耐性も下がります。
また 3 マナのこのカードを 2 マナで邪悪を打ち砕くされてしまうとターンを丸々損したうえで盤面も弱いままとなりかねません。
個人的には総じてイモデーンと役割が被っていて相性もそれほど良くないため、このカードを採用するのであればイモデーン 0 福音者 4 号令 4 のような採用がおすすめです。
福音者は最大 3 体クリーチャーを生成してくれるためこのカードとも相性が良いです。
《千番目の月、アニム・パカル/Anim Pakal, Thousandth Moon》
おすすめ度 : ☆☆☆☆☆
号令との相性が買われて最近ボロス召集に少数見かけるカードですが、イモデーンの強化がノームトークンには乗らず、周りの 1/1 クリーチャーを活かすことができるわけでもなくデッキと全くシナジーしていないため採用しないほうがいいと考えています。
土地
《眠らずの露営/Restless Bivouac》
おすすめ度 : ★★☆☆☆
色があっているミシュラランドですが、タップインが致命的でおすすめできません。
序盤 ~ 終盤いつ引いても嬉しくなくアタックを仕掛けるときはイモデーンを出してフルパンするときなので起動するタイミングもほぼありません。
《スランの門/Thran Portal》
おすすめ度 : ★★★☆☆
かなり弱いカードではあるものの 1, 2 ターンにアンタップインできるかどうかが非常に重要なデッキなためできれば採用することをおすすめします。
しかし 1 点のダメージは無視できないため可能な限り 3 枚目の土地として置くようにし、不要になれば魅力的な悪漢や、血トークンのルーティングで捨てられるようにしましょう。
また相手が分派の説教者を出してきた場合に、可能な限り 1/1 絆魂トークンを生成させないためにあえてこのカードでダメージを受けて相手にドローさせるといった選択肢があることは覚えておきましょう。
《日没の道/Sundown Pass》
おすすめ度 : ★★★☆☆
初手に来た場合にタップインとなる可能性が高いランドです。
初手土地 2 枚はおおよそタップインになり、3 枚でも 山 + 山 + 日没の道のような場合でタップインせざるを得ないケースがあります。
また 4 枚目以降の土地がアンタップインである価値は序盤に比べて低いので、序盤の展開を重視するのであれば少数であっても採用はおすすめしません。
《ミレックス/Mirrex》
おすすめ度 : ★★★★☆
アンタップインかつダニトークンがアーティファクトであるため、上機嫌の解体の対象にできる、相手のターンエンドに起動 -> イモデーンの動きができるなどシナジーもあり採用をおすすめします。
《魂の洞窟/Cavern of Souls》
おすすめ度 : ★★★★☆
キーパーツがほとんど人間に寄っており、それ以外も吸血鬼で統一されています。
打ち消されなくなることはもちろんマナベースとしても安心感があるため採用をおすすめします。
ただし戦導者の号令を採用している場合はこのカードからは色マナを出せないため採用できない可能性があることは留意しましょう。
サイドボード
《塔の点火/Torch the Tower》
おすすめ度 : ★★★★☆
トークンをアド損せず簡単に用意できるため、協約もしやすく非常に使いやすい火力です。
赤単、グルール、白単人間、毒などなどほとんどのアグロ相手へのサイドボードとして優秀なため採用することをおすすめします。
《石術の連射/Lithomantic Barrage》
おすすめ度 : ★★★☆☆
塔の点火と比較して落とせるクリーチャーの差としては、おおよそラフィーンとエーデリンの 2 種が代表的だと思います。
アグロに対しては塔の点火でよく、タフネス 4 以上は後述の邪悪を打ち砕くのほうが汎用性が高いためそこまで優先的に採用する必要はないのかなと思います。
《電圧のうねり/Voltage Surge》
おすすめ度 : ★★★★☆
塔の点火と比較して 4 点にレンジが伸びたことでラフィーンやエーデリンを始め、ボロス召集の天敵である分派の説教者も範囲に収めることができます。
協約よりも厳しい条件ではあるものの塔の点火もなるべくアーティファクトトークンをサクリたいことを考えるとあまり変わらない可能性もあるためこちらを優先したほうがいいかもしれません。
《祭典壊し/End the Festivities》
おすすめ度 : ★★☆☆☆
ボロス召集ミラー対策としてよく見かけるカードです。
ただし号令を設置されたりひよっこ捜査員、管理人等元からタフネス 2 以上のカードもそこそこあり、このカードでシャクろうと待っている間にイーオスからリソース補充されるなどこのカードだけで簡単に勝てるほどではないためわざわざ採用することはおすすめしません。
《ランタンのきらめき/Lantern Flare》
おすすめ度 : ★★☆☆☆
ボロス召集ミラーにおいてリーサルが出ないにもかかわらず先にフルパンしたほうがおおよそ負けになりますが、このカードはその状況を作り出すためのカードです。
膠着状態から相手が除去 1 ~ 2 枚だけなら勝ち確定という計算でフルパンしてきたところにこのカードを打つと大量のライフゲインで計算が狂いそのまま返しで勝つことが狙えます。
対赤単対策も兼ねて採用しているケースも見かけますが、赤単に対しては除去として利用できるのが最短でも 3 ターン目であり、それまでは赤単のアタックをすべて受けながら、展開を優先しなければならずライフゲイン以上のダメージを受けることになります。
また兄弟仲の終焉や吸血鬼の復讐のような全体除去をサイドインしてくる可能性があり、除去として全く機能しなくなるケースもあるため赤単対策にはならないカードだと思います。
上記の通りほぼミラー専用サイドボードかつ門道急行と除去としての性能が被っているため採用はあまりおすすめしません。
《邪悪を打ち砕く/Destroy Evil》
おすすめ度 : ★★★★☆
対ミッドレンジではシェオル、ラフィーン、エーデリン、対ランプにおいても力戦の束縛、一時的封鎖、怒りの大天使などなど対象には事欠かない使いやすい除去です。
ミラーにおいても号令を割ることができるためサイドインすることも考えられます。
総じて汎用性が高く幅広い相手にサイドインを検討できるため優先的に採用してもよいかなと思います。
《ゴバカーンへの侵攻/Invasion of Gobakhan》/《光盾の陣列/Lightshield Array》
おすすめ度 : ★★☆☆☆
対ドメインランプにぶっ刺さり気持ちよくなることはあるものの、このカードを出すために展開を遅らせることになるため、その間にマナ加速からの一時的封鎖でまとめて流されるなど、実はあまり効かないカードです。
危難の道など破壊系の全体除去には裏面が有効ですが、そういう相手は説教者やシェオルと言ったブロッカーがいるためそもそも裏返すことが難しいケースが多いです。
ハマれば強いものの全く効かずテンポロスになるだけなこともあり、汎用性が低いためあまり採用はおすすめしません。
《失せろ/Get Lost》
おすすめ度 : ★★★☆☆
ボロス召集において相手のサイズが大きくなることはあまり関係なく幅広い範囲をさわれるこのカードは便利です。
ですがデニックやコウモリなど絆魂クリーチャーを大きくされると困りますし、ミラーにおいては管理人のタップコストや上機嫌の解体の対象など地図トークンの活用方法が非常に多いため、除去をすべてこれに頼るという採用の仕方は避けたほうがいいかなと思います。
《痛烈な一撃/Knockout Blow》
おすすめ度 : ★★★☆☆
おおよそ対赤単専用カードです。
対赤単では序盤はなるべく軽量除去でさばきながら、後半からクリーチャーを展開していき徐々に巻き返すという展開になりがちですが、このカードはその時間を稼いでくれます。
塔の点火などのほうが汎用性が高く便利ですが、対赤単を重く見るのであればこちらも合わせて採用することをおすすめします。
《危険な爆風/Hazardous Blast》
おすすめ度 : ★★★☆☆
ミラー専用ではありますがどんなに負けている状況であっても、相手のライフ以上のクロックを展開できていればそのまま勝てるカードです。
ミラーはブン回ったほうが勝つので互角程度の回りになった場合に引けば勝つカードを 1, 2 枚採用するプランも有効ではないかと考えているため紹介しました。
《エリシュ・ノーン/Elesh Norn》/《銀白の刻文/The Argent Etchings》
おすすめ度 : ★★★☆☆
ミラーで強い可能性のあるクリーチャーです。
イーオスで探すことができることと、クリーチャーを展開しきったあとにフルパンで相手はブロックもできず、アタックを通すこともできずで勝てる可能性があります。
ただし除去に弱く、押されている盤面では 4 マナの重いクリーチャーで終わってしまう可能性があるため互角以上の展開でなければあまり強くはない可能性があります。
ちなみに上機嫌の解体で生成されるトークンは「ファイレクシアン・ゴブリン」トークンであるため変身後の 3 章の効果では破壊されないことと、門道急行の事件でこのカードを除去ってしまうとクリーチャーの数だけエリシュノーンの能力が誘発することは覚えて置きましょう。
デッキリスト
環境初期であり今後頻繁に変えていくと思いますが、参考までに上記の考察の上でのデッキリストも貼っておきます。
個人的に前環境のリストと比較して徴兵士官、ヨーティアがいなくなったことで単体のクロックが細くなり対コントロール性能が低くなったと感じているのでサイド後のゲームプランをどうするかが課題だと感じています。
終わりに
今まで一番ボロス召集が注目されているタイミングなので、参考にしてもらえばと思い書きました。
他にこのカードはどう?というカードがあれば優しくコメントいただけると嬉しいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
追記
2/12
《月皇の古参兵/Lunarch Veteran》の記述を追記
《電圧のうねり/Voltage Surge》の記述を追記
稲妻 ボル子さんからコメントいただきました。
《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》の記述を追記
《痛烈な一撃/Knockout Blow》の記述を追記
土地の章を追加
2/13
《エリシュ・ノーン/Elesh Norn》/《銀白の刻文/The Argent Etchings》の記述を追記
とりにくさんから note のコメントいただきました。