[MTG:スタンダード:WOE] ボロス召集
はじめに
先日のジャパンオープンでオリジナルのボロス召集を持ち込み Round2 にて元 MPL プレイヤーの茂里プロと対戦したあとに取り上げていただき話題になりました。
また晴れる屋のスタン神挑戦者決定戦において上記のボロス召集を参考にして頂いたリストで優勝され、さらに注目していただけるようになりました。
僕自身はジャパンオープンが初めて参加した競技大会で実績もないプレイヤーですが、オリジナルデッキがここまで話題になる経験はそうそうできないのでせっかくならデッキガイド的なものにも挑戦してみようと思ったのがこの記事の動機です。
間違っていることも多々あると思いますが生暖かい目で見守って貰えればと思います 。
ボロス召集ができるまで
個人的にイーオスの遍歴の騎士が好きかつ、スタンダードの中でも上位に入るであろうカードパワーを感じていて、前環境ではパイオニアのボロス召集を参考に緑白人間ベースのタッチジェトミアデッキを組んでいました。
しかし当時はクリーチャーの強化手段が豪胆な敵対者を始めとしたロードしかおらず除去に弱いという弱点を抱えていたため、店舗イベントで 3-0 できる程度には勝てたもののあくまでファンデッキレベルでしかありませんでした。
しかし新たにエルドレインの森にてイモデーンの徴募兵が登場しイーオスで探せるクリーチャーかつ除去されても問題ない強化手段を手に入れたことで、イーオスとイモデーンを軸にデッキを組み始めました。
検討したカード
■ <上機嫌の解体> <毅然たる援軍>/<ヴォルダーレンの美食家><ヨーティアの前線兵>
パイオニアのボロス召集でも採用されている横並びカードと上機嫌の解体の種となるアーティファクトであるカード達です。
ヨーティアの前線兵はスレイベンの検査官の代用カードではありますが、蘇生能力により 2 回上機嫌の解体の対象となれたり、アタック時能力が攻撃的でこのデッキに合っているなど優れている面も少しあります。
■ <威厳あるバニコーン>
大量のトークンが並ぶため簡単に 5/5 ~ 10/10 くらいになります。
しかし周りが除去を打つに値しないクリーチャーばかりなため真っ先に除去の的になり、生き残ったとしても基本的な勝ちパターンであるフルパン時にチャンプブロックされるため不要という結論に至りメインからは抜けました。
しかし除去が少なくチャンプブロックもしづらい白単人間のようなデッキに対しては有効だったためサイドボードには採用していました。
■ <レッドキャップのどぶ住まい>
横展開をしながらアドバンテージを取れるため検討してみたものの 4 マナが重いことと、バニコーンと同じく真っ先に除去られてしまうため不採用になりました。
■ <婚礼の発表>
トークン生成、全体強化とデッキにも噛み合いパワーカードではあるものの裏返る前にゲームが終わってしまい、結果的に 3 マナで 1/1 トークンを 1, 2 体生成するだけで終わってしまうことも多かったため不採用としました。
■ <魅力的な悪漢>
上機嫌の解体用のアーティファクトがヴォルダーレンの美食家とヨーティアの前線兵の 8 枚のみで少し心もとないこともあり、宝物を生成できるこのカードにも注目しました。
結果的に宝物生成以外のモードも強く土地を捨ててイーオスやイモデーンを探しにいったり、最後の押し込みに 2/2 速攻 + 1 点ライフルーズが活きたりとマルチに活躍してくれたため採用しました。
■ <忠義の徳目>
婚礼の発表を不採用とするとデッキ全体のカードパワーが下がりイーオスかイモデーンが引けないと弱いという問題があったため解決策を探したところこのカードに白羽の矢が立ちました。
試してみると初手に来た場合にイーオス & イモデーンで勝つプランの邪魔をせず 2 マナクリーチャーとして振る舞え、それらがない場合は自身がフィニッシャーになることでキープがしやすくなったので採用しました。
■ <怒り狂う戦闘ネズミ>
軽いデッキであるためマナはそれほど伸びなくてもいいものの、2 マナ域が多いので 3 マナで止まってしまうと 2 アクションが取れず展開にもたついてしまうことが気になったことと、バニコーンの使用感が微妙だったこともあり他のカードを検討したところこのカードを見つけました。
使ってみると予想以上に相性がよく 3 マナで 2 + 2 マナのアクションが取れることはもちろん祝祭の +1/+1 能力も環境に多い 2 マナ 3/2 クリーチャーを 1/1 トークンが乗り越えられるようになります。
■ <かきたてる炎>
除去としてつかうこともありますが、想定としては最後の押し込みや不意のリーサルを出す目的でプレイヤーも対象に取れるこのカードを採用しました。
上記の検討を経て魅力的な悪漢、戦闘ネズミ、忠義の徳目を採用し最終的にジャパンオープンに持ち込んだリストに落ち着きました。
反省点
マナベース
赤白ミシュラランドは色があっていて 1 マナ域が多いためタップインも多少許容できると考え 3 枚採用していましたが、タップインがやはり厳しかったこととアタックに行くときはイモデーンを出したときでありミシュラを起動する機会はほとんどなく無駄でした。
逆にミレックスはイモデーンを出す前のターンに起動し頭数を増やすことができ、ダニトークンはアーティファクトでもあるため上機嫌の解体の対象にでき非常に使いやすかったです。
しかし初手にミレックスと山のみで白が出ないハンドが来てしまうなど問題もあったため 1 枚程度の採用にすべきだったかもしれません。
エスパーレジェンズ・ミッドレンジが苦手
ジャパンオープンの Day2 に進んだデッキは赤単、ゴルガリ、ドメインランプ、エスパーミッドレンジであり、その中でも後の世界選手権でも優勝を果たすエスパーレジェンズ・ミッドレンジ(以下エスパーと呼びます)に不利でした。
実際ジャパンオープン Day2 の初戦でエスパーに当たり敗退しました。
ボロス召集は早いデッキに見えますが実際は 1/1 しか並ばないためブロッカーを出してくる相手には遅く、出してこない相手には早いという相手に依存してゲームレンジが決まります。
特にエスパーはイモデーンの +1/+0 修正で突破できないタフネス 3 の絆魂持ちのデニックが非常に厄介でラフィーンと揃ってデニックが育ってしまうと何もできず負けてしまいます。
ゴルガリに関しても除去よりも質の高いクリーチャーが多く、またグリッサの存在により徳目を設置するプランも取れないためエスパーほどではありませんが苦手でした。
ジャパンオープンではそれらのデッキに対するサイドプランが甘く勝ちきれませんでした。
改善リスト
世界選手権でエスパーレジェンズが優勝し名実ともに Tier1 となり上記の反省点を自分なりに改善したリストが下記です。
デッキリスト https://www.hareruyamtg.com/ja/deck/604903/show/
マナベース
海外の方が MO Standard League に <スランの門> を 4 枚採用した形のボロス召集を持ち込んでいて目から鱗ということでミシュラランドと置き換える形で採用させてもらいました。
検討したカード
■ <婚礼の発表>
一度不採用としたものの対エスパーでは中 ~ 長期のゲームレンジを強いられるためメインから採用しました。
■ <月皇の古参兵>
世界選手権のアゾリウス兵士を参考に採用しました。
1 マナであるため怒り狂う戦闘ネズミが抜けてもテンポよくプレイでき、シェオルからのダメージを相殺し、婚礼が裏返るまでの時間を稼いでくれます。
また白の 1 マナクリーチャーであるため 1 ターン目にヴォルダーレンの美食家 2 ターン目に月皇の古参兵 + 上機嫌の解体 + イーオスのブン回りパターンが強化されました。
■ <怒り狂う戦闘ネズミ>
デッキに合ったカードではあったものの、対エスパーではテンポよく手札を使い切っても殴りに行けず稼いだテンポを失ってしまいます。
また祝祭能力も 1/1 トークンがタフネス 3 以上のクリーチャーを乗り越えることができないため不採用にしました。
■ <忠義の徳目>
最終的にクリーチャーを強化するという点では婚礼と役割が被っており非クリーチャーカードが増えすぎるため不採用としました。
■ <塔の点火>
wis さんのカスタマイズを参考に赤単などの早いデッキにはもちろんデニックや駆け抜け候などの 3 マナ域までを 1 マナで追放できため、かき立てる炎より優先して採用しました。
■ <威厳あるバニコーン>
月皇の古参兵と婚礼の発表の採用により白単人間にも自然と有利となったため、これ以上の対策カードは不要と判断しました。
将来的に緑単のようなデカくてトランプルを持ったクリーチャーが多いデッキが出てきたら採用を検討する可能性もあります。
デッキ相性
個人的に感じている相性なので間違っている可能性がありますが、各デッキに対する相性も紹介させてもらいます。
また不利なデッキはもちろんありますが、 2 ターン目イーオスなどブン回りが決まれば相性を無視しておおよそ勝てるのがボロス召集の強みでもあります。
vs 白単人間 ◎
白単人間側は 1/1 トークンと相打ちを取るわけには行かないクリーチャーばかりで殴られず、月皇の古参兵のライフゲインもあるため最終的に婚礼やイモデーンの全体修正からのフルパンで勝てることが多いです。
注意点として白単側のサイドに鋼の熾天使があると飛行や絆魂の付与でダメージレースで負けてしまう可能性もあるので、上機嫌の解体を温存したほうがいいケースがあります。
vs 赤単 ◯
月皇の古参兵によるライフゲインや、全力展開からのイモデーンでダメージレースでも勝てますが、中途半端な回りだと普通に負けもします。
またサイド後に赤単側が祭典壊しや、兄弟仲の終焉等を採用しているケースもあるため注意が必要です。
vs エスパー △
イモデーンの強化で突破できないタフネス 3 以上のクリーチャーが多く、特に序盤のデニックが突破できないため苦手な相手です。
序盤に攻めることができないため、婚礼を設置し相手よりも多くのクリーチャーを展開し脇から抜ける打点でリーサルを狙うことになります。
サイド後は除去を増やしデニックやシェオルなどのライフゲインにより実質的に複数体分のブロッカーとして働くクリーチャーを優先的に除去しつつ、メインと同じく相手よりも多くのクリーチャー展開して殴り勝つことを目指します。
vs ゴルガリ ◯
2 マナ域が 3/2 ばかりでイモデーンの強化で 1/1 と相打ちを強いることができるためエスパーほど厳しい相手ではありません。
サイド後は危難の道やギックスの命令などの全体除去が入ってくることが予想できるのでケアして動く必要があります。
vs ドメインランプ ◎
メインはイーオスや婚礼など遅いカードを重ねてしまうと厳しくなってしまいますが、基本的には速攻や瞬速持ちが多く全体除去をケアして動くことができるため有利です。
サイド後は遅いカードを抜くことでより有利に立ち回れます。
サイドボーディング
vs 白単人間
OUT
ヨーティアの前線兵 x 2
IN
魔女跡追いの激情 x 2
鋼の熾天使やスクレルヴでエーデリンがブロックできない状態になることが負け筋なため少し除去を増やします。
上機嫌の解体は鋼の熾天使やスクレルヴに対する除去として利用する可能性がありアーティファクトカウントが減っても問題ないので、ヨーティアの前線兵を少し減らします。
vs 赤単
OUT
婚礼の発表 x 4
IN
魔女跡追いの激情 x 4
婚礼の発表を置いている暇がないので除去と入れ替えます。
vs エスパー
OUT
ヨーティアの前線兵 x 2
魅力的な悪漢 x 2
イモデーンの徴募兵 x 2
IN
魔女跡追いの激情 x 4
聖戦士の奇襲兵 x 2
イモデーンは最後のフルアタック時に 1 回だけキャストできれば良く手札に溜まってしまうと展開できないため減らします。
更に横展開に直接的に寄与しないヨーティアと悪漢も少しづつ抜き、代わりにデニックやシェオルなどライフゲインができるクリーチャー用の除去を追加します。
聖戦士の奇襲兵は不用意にアタックしてきたデニックと相打ちしたり、トークンをまだ出していない婚礼の発表や、忠義の徳目などのエンチャントの対策としてサイドインします。
vs ゴルガリ
OUT
婚礼の発表 x 4
IN
魔女跡追いの激情 x 2
ウラブラスクの溶鉱炉 x 2
グリッサがいる都合上エンチャントを出しづらいため婚礼の発表は抜き、シェオル用の除去を少しと、黒系で対処し辛いウラブラスクの溶鉱炉を追加します。
ただし相手も羅利骨灰などをサイドインしている可能性もあるため過信は禁物です。
vs ドメインランプ
OUT
塔の点火 x 2
イーオスの遍歴の騎士 x 4
婚礼の発表 x 4
月皇の古参兵 x 1
IN
束の間の霊魂 x 3
ゴバカーンへの侵攻 x 3
ウラブラスクの溶鉱炉 x 3
聖戦士の奇襲兵 x 2
除去と遅いカードをすべて抜き、全体除去耐性のあるカードに置き換えます。
相手は束の間の霊魂を対処することができないためこれを 2 ターン目に展開しその後他の瞬速クリーチャーや速攻クリーチャーで 5 点クロック程度を維持していれば勝てます。
ただしゴバカーンと溶鉱炉の相性が良くないこととドメインランプに枠を割きすぎているのでここは要見直しかもしれません。
おわりに
このデッキは婚礼、徳目を別のカードの置き換えればかなり安く 1 万円前後程度で組めつつしっかり勝てるデッキなので、これから紙のスタンダードを始めようとしている方にもおすすめです!
ここまで読んでくださりありがとうございました!