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企業分析:Ubicomホールディングス

国策を背に大きな業績成長を期待している Ubicomホールディングスの分析記事です。主力の一角として保有しています。
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企業概要

  • 証券コード3937

  • 2016年マザーズ上場、2017年一部へ市場変更、現市場はプライム

  • いわゆるSlerで、フィリピンを拠点にしたオフショア開発と、医療分野でのレセプト点検などの業務効率化ソフトの2本柱。

事業内容

テクノロジーコンサルティング事業

事業2本柱の内の1つ目。
いわゆる顧客のシステム開発を請け負っているSlerです。大きな特徴は、開発拠点が主にフィリピンにあること。
一般的にシステム開発は海外への委託も多く、日本企業も中国企業へシステム開発を依頼することがあります。2022年施行の経済安全保障推進法により、中国への開発委託から他国への振り替えが進んでおり、フィリピンを開発元とするUbicomにとって大きな追い風となっています。
そのため大きく先行投資を行っており、23年、24年利益は大幅に計画未達。(後述)
※今期より名称が「グローバル事業」→「テクノロジーコンサルティング事業」に変更となりました。

【経済安全保障推進法とは】
Ubicom関連部分でものすごく平たく言うと「お前らチャイナリスクあるからシステム開発は中国依存すんなよ」ってことです

メディカル事業

この事業はサブスク方式のためSaaSと言っていいと思います。メディカル事業単体の営業利益率は驚異の61.4%。粗利じゃないですよ。
3つのカテゴリに分かれます。

  • Mighty Checkerシリーズ
    メディカル事業内での売上比率は75%と主力。病院で保険診療を受けた場合は患者は全額負担ではないですよね。診療報酬は病院から保険者(健康保険組合など)へ申請しないとお金になりませんが、この申請は誤りがあると差戻や報酬減額があり、医療事務の大きな負担となっています。Mighty Checkerは診療報酬申請(レセプト業務といいます)のチェックや効率化を図るソフトです。

  • Mighty Cubeシリーズ
    売上比率は17%。こちらは電子カルテと連携し、医師の業務効率化やAI監視による薬誤投与防止を図るソフトです。Mighty Checkerシリーズが医療事務向けに対して、Mighty Checkerシリーズは医師向け。労働時間削減が期待できる両シリーズは、いずれも2024年適応の働き方改革関連法の施行が大きな追い風となっています。

  • 保険ナレッジプラットフォーム
    2021年より実装。売上比率は8%(その他を含みます)。保険は申請から支払いまで多くの手続きを経る必要がありますが、このプラットフォームはその作業を大幅に効率化します。こちらも人件費削減など導入企業にもメリットがあります。保険処理は医療やカルテの知識が必須となるため、これまで病院への支援サービスを行ってきたUbicomだからこそできる事業だといえます。

業績

売上・営業利益推移

基本的に右肩上がりですが、営業利益は2022年~2024年でほぼ横ばい。
創業以来の「第2成長フェーズ」に入ったと会社はアピールしており、営業利益の横ばいは「創業以来の需要増」に応えるため先行投資を行った結果、となっています。今期予想だけ見ると今年伸びる!と思えますが・・・

営業利益:期初予想と実績

気になるのは直近2年連続で大幅な下方修正を出している点。予測を超える先行投資を繰り返しています。
なぜここまで無理な予算を組むのか?「創業以来の需要増」にしては売り上げもそこまで伸びていないのでは?といろいろと疑問が湧きます。おそらくそうした部分が大きく嫌気され、株価は天井から数年間下落基調。
(純利益についてはVC運用損やフィリピン通貨である対ペソ円安も要因)

セグメント構成

事業ごとの構成比を見ていきます。
メディカル事業は売上高割合の27%しかありませんが、利益の内70%を稼ぎ出す超優良事業です。ここはゆっくりと安定して伸びており、伸びしろもまだまだあります。
テクノロジーコンサル事業(システム開発)の大規模先行投資は予定より前倒して24年3月期でほぼ終了。今期は利益をお見せする(社長談)ということで業績チェンジのドライバーになりえます。要はこの「TC事業の先行投資が本当に一定分終了」していて「今期利益を出せるか」を信じるか、信じないかということになると思います。

各種指標

時価総額:180億円
株価:1475円
自己資本比率:68.2%
PER:17.8倍
PBR:3.8
ROE:21.3%
※指標は今期業績予想ベースによる
社長の青木氏が38%の株を株主筆頭として保有


今期業績予想の通りとなる場合、PERは過去相対水準比で相当に下まで来ています。が、計画数値通りになるかで全く話が変わってくるのであまりあてにはできません。同様にROEも高水準ですが計画達成できれば、という形。

株主還元

将来的に配当性向30%以上を目指す。24年3月期は直近最高の配当性向29%となるも、大幅計画未達での配当性向29%のため今期がどうなるかは未知数です。

その他ポイント

有償ストックオプション

23年9月に有償ストックオプション(新株予約権)発行の適時開示。
行使された場合の希薄化は3%。
有償SOのため、行使に条件があります。
26年3月期に営業利益17億以上達成で予約権の40%、30年3月期までに営利23億以上達成で全額行使可能。※ちなみに25年3月期の営利計画は15億
また新株予約権の行使価格は1298円。

噛み砕いて説明します。
Ubicomの対象従業員に、利益達成したら1298円の株を売る権利をやろう!
仮に26年3月期に業績を達成して、新株予約権を行使してすぐ売却すると
行使日の株価2000円(仮)-行使価格1298円=702円の儲け
ということになります。
行使日の株価が行使価格よりも高くなっていればいるほど、行使する人は利益が出る形です。株価が行使価格を下回っていれば、行使しなければよいのでほぼリスクはありません。
一般的に行使価格は、会社が自信のある価格水準でないと発行しない(割高だと儲からないから)ため、1298円は一つの基準価格とも言えます。
また、業績を上げる(株価も上がる)モチベーションにもなる制度です。
今回は取締役以下17名に権利が割り当てられています。

上場維持基準適合に向けて

  • 株価下落により、プライム市場上場維持に必要な流通株式時価総額が足りなくなり、6月に充足計画を発表。25年3月末までに上場維持基準に適合するため取り組みを進める

  • 時価総額充足に必要な株価は1480円以上、現時点(1475円)でも未達の状態

  • 対策として本業の計画達成と、過去2年マイナス影響の大きかった円安為替損のヘッジなどを発表

「このところROEと株価が連動してるから、純利益計画達成してROE向上させて、配当で還元するね!」
ちなみに、上場維持基準を充足する株価は1480円となりますが、発行体はもっと上を目指しています。(ギリギリじゃ危ないので)
目標時価総額から株価を算出すると基準株価(3月末1299円)比63%増の2117円。ほんまかいな。発表から9か月しかないで。

チャート・需給チェック

チャート

週足・5年チャートでは2021年の4070円が最高値、
コロナ後でバブってた時のため参考にはなりませんが、その後下げ続け。
日足・6か月チャートでは底打ちしたようにも思えますがどうでしょう。
昨年10月安値の1009円まで下落しても絶望しない資金計画が望ましいです。

需給

年末株価1669円から5月末1098円までズルズルと下がり、信用買い残は
(年末)36万株→(3月末)81万株→(7月現在)49万株
と若干の需給改善。1日の出来高は平時ざっくり6万株ほどのため、出来高増で信用買い残を解消しながらの株価上昇が理想です。はっきりいって買い残はまだまだ多いです。
価格帯出来高も1170円~1350円あたりで特に多く、現在の1475円は最多部分を抜けてきたという印象。ただし、1700円程度までは比較的出来高の多いゾーンのためヤレヤレ売りが発生する可能性もあります。

コメント

リスクとしては下方修正です。2度あることは3度あるのか。
現在はプライム上場基準抵触となるほど株価が低迷したため、発行体もお尻に火がついている。昨期は投資を前倒し実行した。だからこそ今期は利益を出してくるのではないかと踏んでいます。
テクノロジーコンサル事業では今期は中途採用を停止し、稼働向上での利益達成を目指しているのも今までとは違う点。
とはいえ個人的には信じ切れていないところもあり、前期比40%増計画の営業利益は30%増くらいいければ御の字かなと思います。それでも株価は上昇するかと。計画達成ならサプライズです。

2つの事業とも、国策の追い風が吹いています。
テクノロジーコンサル事業は経済安全保障推進法によるフィリピンオフショア開発への移行、メディカル事業は働き方改革関連法が24年4月から医師の残業規制、業務効率化が必須となりました。
シンプルに考えればそのまま持っておけばいいのかも知れません。

おわりに

このnoteは100%混じりっけなしのポジショントークです。
自分の投資力向上のために作成していますので、正確性や予測は保証できません。間違いがあればご指摘ください。
Ubicomを煽ってた煽り屋もいますが、普通に考えたら煽った直後に多少なりとも売り抜けます。上がったら上がったでSNSでドヤって情弱信者を増やせばいいだけですから。
私も特に売却を逐一報告したりするつもりはないので、イナゴにはご注意くださいね!


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