見出し画像

駐妻キャリアの問題はビザと会社の規則だけじゃない

ツイッターでよく話題になる駐妻のキャリアが途絶える問題。

1.就労可能なビザの取得が難しい

2.夫の会社の規則で就労が禁止されている

という2つの問題点はよく指摘されている。

では、この2点が解決したら駐妻のキャリアは継続されるのか?

答えは「NO」

そこで、駐妻のキャリア継続のためには何が必要か?考えてみる。

就労可能なビザ

これは既に問題視されている点。

ビザの問題は現地国の規定に依るところが大きいので、解決はなかなか厳しい。

夫側の会社の規則

夫側、つまり駐在員の勤務先の規定で"帯同者の就労禁止"となっている会社は少なくない。

これは帯同者が働かないという前提で手当を出していたり、海外で働く駐在員を支えてほしいという企業側の願いからくる規則と考えられる。

解決策は、

①帯同者の就業自由

②その場合は帯同者の収入に応じて手当て変動の可能性あり

③帯同者の税金、役所手続き関係は一切夫の会社のサポートなし

このあたり。

ちなみに、私の場合、ビザと夫の会社の規則の2つは有難いことにクリアできています。それでもキャリア中断の悩みは絶えません。

帯同者の言語の問題

まず必要だと思うのは、「夫側の会社による帯同者の言語サポート」

就労可能なビザがあり、就労禁止の規則もないという状態でも、そもそも言語ができなければ働ける場所がない。

そこで、帯同者の語学学校費用を全額負担、または社内研修の一部などで長期の語学研修(現地から受講できるようにオンラインなど)を実施するなどの対応が必要だと感じる。

また、言語は現地語と英語どちらかを選べる方がベター。マイナーな言語の場合帰国後はほぼ役に立たないといえるので、駐在期間によっては高レベルの現地語習得は必要ない場合も。

英語の選択肢をいれておけば、英語であれば帰国後もプラスになる可能性が高いので夫の駐在国による差がなくなる。

業界によっては現地で就職する場合ビジネスレベルの英語または現地語が必要になるので、上限はない方がいい。

もしコストがかかりすぎることが問題なら、今出している手当の一つと言語サポート費用、どちらか選べるようにすればいい。

1.手当(現金)で欲しい場合、使い方は自由だけど少し額が下がる

2.言語サポートの場合、使い方は制限されるが手当より支給額は増える

などの制度にすればそこまで問題はないように感じる。

オンライン語学研修なら一度録画してしまえば追加のコストはかからないので会社の負担もそこまで増えない。

これまでのキャリアを生かせる求人

就労可能なビザがあり、就労禁止の規則もなく、言語に問題がない場合も、現地にマッチする求人がない可能性が高い。

ある程度言語ができれば飲食店などサービス業のアルバイトをすることはできるかもしれない。でも、それは”キャリアを継続している”といえるのだろうか?「キャリアの継続=なんでもいいから仕事をする」ではない。

そもそも「これまでのキャリアを生かせる求人」を探すのが大変で、探せたとしても駐在ではなく現地就職なのでそう簡単に採用されるとも言えない。

現地の会社からすると、駐妻は夫の赴任についてきているだけでいずれ帰国(退職)する可能性が高く、駐妻を採用することは現地人の採用枠が一つなくなるということになる。

そのため、"その駐在妻にしかできない業務"でない限り積極的に採用しようとはしないはず。

そこで、日本企業側が海外からのリモートワークに対応できるように変化することが求められる。

これは夫の会社ではなく主に駐妻の雇い主の問題。今の勤務先が海外からのリモートワークに対応していれば、休職することなく仕事が続けられる。

また、今の勤務先が海外からのリモートワークに対応していない場合も、他に対応している会社があれば転職してから夫に帯同し、海外でキャリアを継続させることができる。

事務作業より人と接するサービス業務が多い業界の場合、リモートワークが厳しいこともあり得るが、一業界の中には一つの業務しかないわけではなく、一つの業界の中で必要な業務は複数あるはずなので、少し内容をずらせばリモートワーク可能な業務はある。

例えば税務業界の場合、メインは月次監査や申告書作成業務だけれど、記帳代行や税務コンサルなど、少しずらして考えると、会計ソフト関係の仕事もある。(会計ソフトはIT系ですが、税務会計知識がないと会計ソフトの改良点などがわからないので)

もちろん実際に日本の事務所にいて働いている人たちより任せられる仕事は少ないので、その分勤務日数が減ったり給料が少し下がることは駐妻も理解できるはず。

ただ週3、週4でいいし給料も下がっていいからキャリアを途絶えさせたくないという人は一定数いるのではないか。

また、日本企業の海外リモートワークをすることに特化したビザであれば、現地の人の仕事を奪うわけではないので現地国も前向きに検討してくれるのではないかと感じる。

まぁ、海外からのリモートワークに対応する場合、諸々の制度を整えるだけではなく海外でリモートワークをする駐妻の税金問題も出てくるので、そう簡単に変わることを企業に求めるのは酷だと思うけれど。。


こう考えると、夫の会社、妻の会社、あるいは別の会社、そしてビザの面では日本と各駐在先国が協力して制度を変える必要があり、先は長い・・・(というか不可能なんじゃないかとすら感じる)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?