みんなもLive2Dでゲームモデル(等)も作ろうって話
Live2D=Vtuberモデルというのが当たり前みたいな風潮が一部あるので、Live2Dモデラーもっと他にも目を向けて制作の幅広げようぜってお話です。
ご挨拶
こんにちは。山田です。
Live2D Advent Calendar 2023、15日目担当させていただきます。
名古屋の方で、フリーランスで主にLive2Dで色々制作したり絵を描いたり、それらの技術を教えたりして食べてるものです。
ゲーム・その他アプリや映像用のキャラクターモーションやVtuberモデリングetc……、制作・監修・技術指導等Live2D何でもお請けしてます。(※営業)
↓↓↓↓HP↓↓↓
私自身のLive2Dの経歴としては、たまたま機会をいただき(*1)VtuberのVの字もない頃からLive2D触ってるので、まずはゲーム用モデルの制作から始まって、現在はVtuber用のモデリングもお受けしてますが、半分くらいはゲーム用、たまに動画用のキャラモーション作成させていただいたりしています。
ゲーム関連から入った身としては「Vtuberモデル」が特殊という意識でずっといるので(多分これはVtuberから入った方とは認識逆かも)、ベーシックな古来から続く制作もできるようになろうよ、制作の幅も広がって楽しいよ、という話をずっとしてきたこれからもしていきたいので今回のテーマにしました。
昨今はVtuberモデルしか作ったことないという方が多いので、目標は仕事でゲーム用等の制作もできるとよいね、受けれる仕事増えるしね、色々できると生きていきやすいのでおすすめだよ、じゃあそのためには何を気を付けて目指していけばいいのかという話です。
ゲーム用制作は難しいって聞くけど結局何が難しいの?っていう方に向けた簡単な説明でもあります。
(※V用トランジション動画とかはちょっとクオリティラインが特殊なとこあるのでそこは省いた話)
Live2D制作の種類
Live2Dデータの用途について
一言でLive2D製作といっても
で全然違います。
Vtuber、というかトラッキングモデルの特徴で一番大きいのは、なんといってもモーションつけなくても動く!!という事かと思います。
そこも含めて、トラッキング用モデルしか作ったことない人には、独学や商業的なルールを叩き込まれてない場合が多く、それ以外の仕事(アシスタント的な位置以外で)は怖くてなかなか依頼をふれないというのは業界内で多くの同意もらえるのではないだろうかくらい違います。
トラッキング用途以外で必要なスキルを簡潔に言うと
※最終的に動画や連番で書き出すアニメーション作品の場合は②負荷の部分はあまり考えず、作業効率を考えたデフォーマ構造できればOKなので、以下特に負荷にかかわる部分はゲーム等のモーションも必要とする組み込みモデル制作の話になります※
「自然な」「キレイな」というのがかなり重要なので、一番のハードルはそこかも、とは思いますが
これらをさらに深堀していきます。
Vtuberモデル以外の制作で必要なスキル
①手打ちで自然なアニメーションを作れる
モーション、つまりアニメーション付けですが、これがモデリングできる人より貴重です。が、ほとんどの場合、モデリングとモーション付けはセットになってます。
※この場合のできるは、必要なクオリティで作成できるという意味です※
モデリングは数こなせばなんとかできてもアニメーションが出来る人が少ない、というのがよく聞く話だし私自身も感じてるところです。
アニメーションは形の自然さだけでなく、人の動きのタイミングをおさえるなどより一層の観察力とアニメーションの知識など頭に叩き込む必要があります。
また、揺れを物理演算でつけることもありますが、すべて手打ちでつけることもあるので、どちらも対応できるとベスト。
まずは作ろうアニメーションポートフォリオ。
とゆっても、ただ作ればいいのか、というとそんなことは全然なくて、
少なくとも「必要なクオリティ」があるのが最低限ですので
アニメーションの勉強をしなければいけない。
その辺は過去の記事にも記載してますので是非。
またLive2D公式のYoutubeチャンネル「Live2D JUKU」でもモーション制作についての解説回があるので、独学だけど確実に力を付けたいぜという方、ダイジェストが無料で見えますが、メンバーシップに入るとすべての解説がフルで見れたりサンプルデータが手に入るのでとてもとてもおすすめです!!確実な知識とクオリティの知見を得られます!!
ゲーム用Live2Dデータに必要なこと
ゲーム用制作のルール
②負荷を意識した構造が綺麗なモデルを作れる
ゲーム等組み込みモデルはさらに負荷を考えてNG項目さけつつ綺麗な構造のモデルを作成しなければいけない、という縛りがあります。
これを出来るようになるのオススメ。
他気を付けることとして、ゲームモデルは1つの画面にキャラクター以外のいろんな要素を写したりいろんな処理しないとなので、キャラクター自体の負荷は極力小さくしなければいけない(ハード側の能力が年々上がってるのでポリゴンやtexture上限など少しずつ緩くなってる部分はあります)ので、そこも加味して気をつけねばならない暗黙の(案件によっては仕様書にばっちり書いてある)ルールがあります。
ゲーム用で負荷的な注意点
仕様が決められてる場合は、大体下記の項目の前半くらいはルールとして記載されてるはず。(決められてない場合は決めておきたい)
前提の必須スキル
また、商業ゲーム制作/動画制作で最低限欲しいスキルとして
がないと難しいのですが、ここは独学で学ぼうとするとなかなか難しく、デッサン的な見る目あげようぜっていう時間もかかる話になってきます
一番手っ取り早いのはプロの人に何度かしっかり添削してもらう、という機会があると自分で気づけない修正点を具体的に教えてもらえるので、成長が早いです。
この時ポイントは、歪みや不自然さに関しての指摘を受けたいならそうでもないけど、ゲームモデルとして通用するデータを作れるようになりたいのであれば「ゲームモデルの経験/知識がある」人を選ぶことかと思います。
モーションだけなら「商業アニメの経験がある人」に見てもらうのもいいかもしれません。
Live2D JUKUでもメンバーシップに入ると添削の機会があります。
オススメなのでもっかい貼っとく!!
(じつは私もsessaに登録してますがあまり積極的に受け付けてないので割愛)
クオリティ不安な場合は、人型キャラであればモデリングであれモーションであれ、人間の動きとして不自然なとこ全部つぶす気持ちで!!
前述で「※V用トランジション動画とかはちょっとクオリティラインが特殊なとこあるので~」と書きましたが、次のステップにつなげるポートフォリオ兼で制作するのは全然ありだと思います。
ただ、報酬いただいて制作した場合でも、商業ゲーム業界で通用する動きになってないものも多く見かけるので、ここは特に自分の目で確認してどこを直せばよくなるのか、まずは見る目付けないとなかなか判別しづらいので、人に見てもらうのまじでオススメ。
私自身、お仕事でフィードバックいただいて修正しまくって伸ばしてもらったので、ダメだし食らうのが一番の近道派。(Live2Dモデラー少ないころは外注でも育ててくれるつもりで振ってもらえるお仕事がある良い時代に入ってるのでありがたかった。ありがとうございます)
負荷にはならないが気を付けたいところ
負荷にはならないが玄人ぽくないと思われる要素/少なくともきちんと監修が入った商業ゲーム案件で求められる基本
↓パーツパレット整頓参考↓
場合によっては、付加や今後の展開などを加味して構造レベルでもクオリティ保てるよう、メッシュ割り直し&デフォーマを先に一通り設定した時点で一度監修チェック入ることもあるので、
先にある程度必要なデフォーマセッティングできる(前提としてデフォーマの理解ができている)とつぶしが効くと思います。
やらないで欲しい
デフォーマ親子順が基本から外れた構成になっている
(髪関係で特によくあるので注意:髪の角度XY用のワープデフォーマを子にしないで!!!!大きく動いたときに意図しない動きが出る可能性があります!!)
基本的な構造=効率よく、パラメータ組み合わせたときのずれが少なくなる構造なので、これをきちんとした監修のもとで行うと、まずNG食らう率高いです。
※公式モデル基準で!!
デザインによっては基本の構造とは??みたなあてはめようがないデザインも出てくるかと思いますが、効率とパラメータ組み合わせたときのずれのなさで決めれば大体問題ないです
パーツ分けについて
昨今は、すでにパーツ分けされたデータをいただいて「モデリング~モーション~組み込み用に書き出し」のみ担当、あるいはいただいたpsd少しだけ手を入れる程度の場合も割とあって個人的には親切な世の中になったものだなあと思うのですが、パーツ分けはできるに越したことはないです。
「パーツ分けできません」だと受けれる仕事の幅がだいぶ減ってしまう。
自分でできなくてもできる人(修正にも対応してくれる)を確保することで対応でも行けるのではないかなと思います。
ただ、商業案件、の場合は大抵の場合
・統合前のデータ
・統合後のデータ
それぞれ取っておく必要があり、統合する際はLive2D公式が配布しているphotshop用スクリプトを使用するので、その基準に合わせたレイヤー/グループ名のルールで名づけをする、
統合後に何のパーツかわかるレイヤー名になるようにする(キャラから見ての左右であることを間違えない)、
統合後にレイヤー名かぶりが起こらないようにする、
原画と1ピクセルも狂いがない状態のパーツ分けをする、
というのが必要なことが多いので、普段からその基準でのpsdデータを作れるようしておくとよいです。慣れると効率よいです。
修正の話
いざ仕事もらえたぞってなった場合、多分慣れてないとめちゃくちゃ修正食らいます。なのでそのつもりで早め早めに作業、提出しないと追いつかない。(個人的な考えでは、最初は修正加味して2週間前行動したいくらい)
まじで時間かかる修正指示とか来るんだけど、それは確かに直すべきだねおっしゃる通りですというのがほとんどなので(それだけ求められるクオリティが高い)、そこで心おれずに勉強になります!!という気持ちで取り組んでほしい。本当に勉強になります。
あと、たぶんですが、せめて一度で言われたことは全部直す、次からは(次があれば)大分精度上がってるというくらいしないと、同じとこからの継続はないです。何とか巻き取りなしで仕上げて。
慣れたら修正なくなるのかというとなくならないんだけど、最初に食らってたような基本部分の修正はなくなって細かいすり合わせがものによっては何回もある感じ(修正があることになれる)
修正重なると申し訳ないのだけど、ひきつづきお仕事もらえてるので、何とか満足はいただけてるという理解でおります。
その点、Vtuberモデルは大概修正というのがほぼない(あっても微量)なのですごい楽ではあります。
ゲーム用の開発具体例参考
なお、Live2Dの公式カンファレンスであるalive2023でのセッションで
株式会社Colorful Paletteさんが
『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』におけるストーリーシーンのLive2D表現について
ゲーム用組み込みモデルのお話しされてるので、ご興味ある方は是非!!
キャラがたくさんいて着せ替えもあるので、全体を見たら工数やクオリティを保ちつつ規格にずれのないLive2Dデータを複数人で作る場合に共通点が多い内容です。(仕様書超分厚そう、読み込むの大変そうって思った)
まとめ
とまあ色々ありますが、正直これら気を付ける点はほぼ「基礎」の話なので、公式のチュートリアルでもこの辺の大半が抑えられてる部分になります。
身についてなければ忘れてるか、基礎抑えてない独自のチュートリアルで学んだかどっちかかなと思われます。
基本知識で出回ったない項目があっても結構基本扱いの事ばかりです。
基礎おさえてからVtuber モデル制作に入ってほしいって(Live2D JUKUの)ハカセも言ってた!!
言ってた!!
最後に
と、ここまで書きましたが、最近は、Live2Dの仕事自体が外に出回る機会が減ってる(内製で人員揃えたっぽかったり、以前は個人にも仕事出してたとこが個人ではなく法人にまとめて出してるぽい)気配を感じるので、V以外の経験ゼロから仕事を得る/コネを構築するチャンス掴みづらいと思われます。
だからこそ機会があれば是非しがみついて欲しいし、そのためのサンプルとしてしっかり作りこんだもの出すのがいいと思います。
どれだけの物が作れるか、目で見えるサンプルがあるかどうかが最重要かと思うので、それなりのクオリティの、
例えばゲームのADV画面想定のアニメーションサンプルや、
しっかり動くけど不自然さは極力排除したサンプル
作ればアピールポイントになると思うのでぜひ精進して欲しい。
やみくもに大きく動いて目立つよりは、とにかく破綻なく、不自然なところのないものが作れる方がベストかと思います。不自然なところがないって結構ハードル高いので。
(大きく派手に動くのはVtuber的にはウケるのであってもいいけどアピールしたいターゲット層が違う)
NGルールについてはいざやるぞとなってから仕様書読み込めばいいのではないかなとも思います。(できるならやらない癖をつけるに越したことはない)
トラッキングモデル以外作れるメリットとして、受託する仕事量が安定しやすいというのが一番かなと思います。
例えば開発中のゲーム案件にリスインできて、必要なクオリティのデータ制作できてれば、継続で数か月レギュラー案件を得られて数十体制作できたりということも割とあります。
また、モーションまでちゃんと作れる(&見せれる作品がある)ならゲーム系に限らずあらゆるところに営業かけれるし。「御社のキャラをweb上やPVで動かすことも可能」とかは幅広い業種に向けて言える!!(私はこの辺の弾もあるのでたまにふらっとよくわからん異業種交流会とか行きます)
デメリットは、実績公開できることが少ない、というのがありますが……。
(年末年始で珍しく映像系とゲーム系で公開できるやつあるので後日追記させてね)
私も最初に機会があってしがみついたから専業でやっていけてる今があります。Vtuberモデル以外の制作も楽しいよ!!