『LICENSE』
1.「泣いてチンピラ」
意味やメッセージ性を排して、語感や言葉遊びとリズムで構築された歌詞
意味不明な曲名も泣いてとなりてえのライムだし、金子正次の名作映画「竜二」からてらいなくそのまんまの引用はサンプリング的に曲に組み込まれているし、
音楽の知識や教養からではなく、経験と感覚でヒップホップ的な手法に行き着いている
ポップ&ユーモアがテーマのLP
2.「PLEASE AGAIN」
十八番の破局バラード
曲名はもう一度服や靴を脱いで裸になって下さいというそのまんまの意味
直接的な言葉は使わずにセクシャルな雰囲気を出す情景描写の上手さと、
ここでも語感を重要視したワードセンスによるフレーズ作り
3.「パークハウス701 in1985」
同棲カップルのマンネリズムを描いた歌
「一緒にいることが結構つまらない〜」インパクトのある歌い出しで、リスナーを一気に曲の世界に引き込む
同棲中のマンション名と部屋番号をそのまんま曲名にしたり、どこか人を食ったようなユーモアセンス
この頃の長渕は、自分の才能で遊んでるフシがある
4.「ろくなもんじゃねえ」
主演ドラマ「親子ジグザグ」主題歌
思春期の男の子の焦燥感や葛藤の歌(ドラマの内容にも沿っている)
有名なぴーぴーぴーの擬音や、ろくなもんじゃねえと叫ぶサビもキャッチーなだけでなく、どこかファニー
5.「He・La-He・La」
人間って無様やな神様もヘラヘラわろてはるわとレゲエビートに乗せてヘラヘラ歌う
達観を描いた歌詞と明るいレゲエビートが完全にマッチしてて、なんかおちょくってる
すべてがポップ
6.「SITTING IN THE RAlN」
曲名は「SINGING IN THE RAIN」のパロディ
ふざけてる
「どっぷりどんぞこおいらすっからぴん」とか聴いても口にしても気持ち良いフレーズ連発
※追記、映画「時計じかけのオレンジ」の劇中で主人公が「SINGING lN THE RAIN」を歌いながら暴行をはたらくシーンにインスパイアされたとの説が浮上。だとすれば、やはりポップなアルバムだなと。
7.「花菱にて」
酒の席で友達と口論になったというだけの、取るに足らない題材を凛とした完成度の高いポップスに仕上げてみて遊んでる
曲名はその居酒屋の店名だし、とことんポップ&ユーモア
8.「LICENSE」
五分間で一冊の長編小説を読んだ気にさせる、ストーリーテラーとしての本領発揮
湿っぽくなりそうなストーリーを静謐に聴かせるマッドスキル
曲名はそのまんま運転免許証のことでアルバムタイトルにまでしており、やっぱりどこかユーモラス
9.「何の矛盾もない」
人間も地球も矛盾だらけだけど、君が存在するということだけは何の矛盾もないんだよという、
奥さんに捧げる最上級のラブソング
純文学のようでいて抽象や難解さで誤魔化さない歌詞と、シンプルで綺麗なメロディ
完璧なポップLPを美しくシメる
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