アリに運ばれる夢
さっきまで見ていた夢をおぼろげながら書く。
僕は白い床に寝ている。
横を向いて体をくの字に曲げて、両ひざを曲げて、両手を合わせて両ももの間に挟んで、白い床に寝ている。
「ピーーーッ!!」
…ホイッスル?
途端、一斉にアリが大量に集まってきた。
(ぞわぞわぞわぞわぞわぞわ)
アリの押し寄せる音(アリの足音)なのか僕の身の毛がよだつ音なのか、どっちかわからない音が聞こえる。
(ぞわぞわぞわぞわぞわぞわ)
「(いぃぃぃぃぃぃぃぃぃーー)」
僕は声にならない声を上げる。
「(いぃぃぃぃぃぃぃぃぃーー)」
アリが集まってくるところまでは見ていたけど、そっから怖くて目をつむったから、アリがどのように僕の身体にまとわりついたかまで見届けていない。
「(いぃぃぃぃぃぃぃぃぃーー)」
声にならない声を上げ続ける。
自分の声にならない声で少し目が覚める。
「どうしたん?」
妻がそう言っている。僕は再びアリの元へ戻る。
「(いぃぃぃぃぃぃぃぃぃーー)」
アリがどう僕の身体にまとわりついたかは分からないけど、
たぶんアリに運ばれている。
体をくの字に曲げて両ひざを曲げて両手を両ももに挟んで寝たまま、たぶんアリに運ばれている。
「うぅぅぅ…」
布団を脱いでいて少し寒かった。
夢で良かった。